第2話
「しんじ、られ、ない…」
2限の授業を受けながら、わたしは頭を抱えていた。文字通りそして慣用句の通り。何が信じられないって、なぜ私は学部の友人と寝ていたのか? しかも裸で? ベッドの下には下着が脱ぎ散らかされて?
一緒に寝ていた男・桐生凪砂は、目覚めて起き上がると悠長に背伸びなんかしてこういった。
『昨日? あー覚えてないならいいや別に。いいから2限行こうぜ。お前もあるだろ?』
そう、何も説明されていない。分かることは私はパンツしかはいてなかったこと、桐生くんもそれは同じだったこと。そして大学2年生にもなればなんか大体想像ついちゃうってこと。
どーなってるんだーと授業中に頭を抱えている私。ブー、とスマホが鳴り、LIMEメッセージ。相手は桐生くんだ。
≪昨日寝かせたの遅かったけど、授業起きてるー?≫
寝かせたのが、遅かったって、どーゆーことよ。
ひくひくと頬がひきつるのを感じながら、開く。
≪起きてます≫
≪偉い偉い≫
≪昨日の事説明してよ≫
≪今日、バイト10時ごろ上がるから。飯よろしく≫
…何、“飯よろしく”って。まさか作って待ってろってこと?
≪口止め料な≫
既読スルーしておいた。どーゆーことよ。どーなってるのよ。
ぐるぐると頭の中で嫌な想像が膨らむ。しかもなんで、よりによって、桐生君なのよ。