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第1話
アラーム音が鳴り響く。ぼんやりとした頭に入ってきたそれがアラーム音だと気付くまで数十秒かかり、手を伸ばす。スマホらしきものを手にして目の前に持ってきて、スマホだったそれのアラームを解除した。
そのままスマホを置き、ぼんやりと目を開けたまま前を見つめる。
そこには、なぜか人肌があった。
「………?」
ぼんやりとした頭で見つめてて――思わず手を伸ばして触れた。ちょん、と触るけど、温かいし、ちょっと柔らかい。
「んー…」
その人物が身じろぎした。
「あー…今日って、何曜日だっけ」
その人物は手を伸ばし、私のスマホを眼前に掲げた。
「9時…金曜…やべぇ、1限オワタ…」
はぁ、と溜息をつき、スマホを置く。
「2限は間に合うな…起きるか…」
ちょっと、待て。
「おい、いつまで見てんの?」
彼は不機嫌そうに眉を顰めた。
「え…」
「え?」
「…な…んで…いるのよ、きりゅー、…君…」
学部の友人は、口角を吊り上げた。
「そりゃあもちろん」
そういうことでしょ、と。裸体の私に、裸体で言ったのだった。