プロローグ
西暦2038年2月17日 午後13時32分
場所:国立精神科病院閉鎖病棟―134号室
ここに隔離されてから十数年は、経っているであろう。
物心のまだついてない4歳の頃にここに隔離されて外にも出たことがなくあったとしても自由時間のときに病棟内を動きまわることができるくらいだ。だから外の世界に少し憧れもあるのだが、この願いは叶うことは無いんだろうとこの長い時間を掛けて実感した。
「また、ロシア語の勉強をしようかな」
もう8回はロシア語の勉強をしているので飽きてはいるのだが、嫌いになれなかったので暇があるときは、いつもしていたりする。
支給されたタブレットから語学勉強のアプリケーションを起動させようとしたとき出入り口の扉から聞きなれたアンドロイドの声がした。
「黒崎さんあなたに面会者です」
***
「あなたは、誰ですか?」
最初にその疑問しか浮かばなかったのは、人との関係を持った事が無かったからだろう。
そうするとレディススーツと思しきものを着た女性は答えた。
「私の身元は、明かせないんだ。すまない」
「そうですか…信用できませんが、話は聴いてあげます」
「それは、ありがたいね。君に日本の特務機関に就任してもらいたい」
女性の言っていることが、一瞬分からなくなり動揺してしまう。
「詳しく説明すると、Japan peacekeeping stationという名前の組織で、
主に複雑化・高度化したテロリズムに対抗する任務をしているから高度化・過激化するテロ行為に対抗し、常に即戦力となる高いプロフェッショナリティを持つ人材を、公務員を引き抜き・推薦・志願により集めているのだが、優れた民間人を抜擢することもある。言ってること分かるかい?」
「はい、なんとなくですが…。つまりその一人が僕ということですか?」
「そういうことだね。それで、J.P.Sに就任してもらってもいいかな」
「……変なこと聞きますけど…世界を見ることが出来ますか?」
女性は、少し笑ってからごめんなさいと言ってこう答えた。
「それは、あなた次第よ…でもJ.P.Sに入れば分かるかもしれないよ」