ゼネルディア編 前編
初投稿です。
解りづらいだろうし、まだまだ、下手くそですが、面白いと思ってくれる人がいるといいなと、思います。
「ここが、ゼネルディアか・・・噂通りのでかさだな〜」
様々な人が行き来する大通りのど真ん中で、聳える巨大な城を見上げ、シドは感嘆の声を上げた。
黒い衣服と黒いマント。髪の毛はあちこち痛んだ、背中まで届く長い黒髪。黒づくめの格好ではあるが、目の色だけは違ってルビーのように鮮やかな赤色の瞳だった。
歳は二十代から三十代前後でかなりの長身の男。それがシドの外見だった。
ぜネルディアは大陸南部の大国だ。
大陸南部は、蟲や獣の生息率が、大陸のどの地域と比べても、ダントツのトップで大陸南部には金を稼ぐために、様々な傭兵や使いが出入りする。
ましてや、ゼネルディアは大陸南部でも、指折りの巨大な国家を誇っているため、それらの出入りが半端じゃない。
ここなら、何か解るかもな……
シドは早速、捜索を開始した。あの男の手ががりを求めて……
「はあ〜……結局、何にも見つからなかった」
日はすでに沈み、あたりは真っ暗。空には太陽の代わりに、月と星が輝いている時間だった。
そんな時間で、シドは城の近くにある大木の根元に座り、大木にもたれかかっていた。
昼間は様々な商人にあたり、日が沈んでからは酒場などを行き来してみたが、結局、あの男の手がかりは見つからなかった。
イライラしたように、長い髪をかきむしると、シドがぼやいた。
「あいつは一体何処に……何処にいったんだ……セルゲイ」
その時だ。
爆音とともに、見上げていた城の一角から、煙が上がった。
「まさか、あいつか!?」
立ち上がりざま、地面を蹴る。
たった一度、たった一度の跳躍で、シドは何メートルも高く飛んだ。それだけでも、有り得ないのになんと、シドは空中を蹴るような動作をすると、方向を変えて例の爆音と煙がおきた部屋に飛び込んだ。
飛び込むと同時に、すばやく受身を取って起き上がって、部屋を見回す。
部屋にはめちゃくちゃにされた、天蓋つきのベッド。角にはこれまた壊れているが、やたらとばかでっかい、洋服ダンス。ただのメイドや召使いの部屋にしては、あまりにも不自然な豪勢さだ。
そして、部屋の真ん中には対峙する、青年と少女。
少女は純白の豪華なドレスを身に纏い、額にはサークレットがはめられている。どうやら、城の姫のようだ。
続いて、その姫に相対する青年だが、その青年は闇に溶け込む紺色の服に、肩にかけているマントも紺色。徹底的に、目立たないようにしたらしいが、あんな大爆発を起こせば意味が無いと思う……
二人とも、いきなり飛び込んできた、シドを驚いたように見ている。
どちらも、気を配って見たが、残念な事にシドの探している人間じゃなかった。
その内、青年が我に帰ったように顔をハッとさせると、声を張り上げる。
「なんだ、おまえは!?おまえも俺の邪魔をするのか!?」
「邪魔って言うけど、ここまで派手にやればすぐに衛兵が飛んでくると思うぞ?」
当然だ。ここまで、派手に暴れれば絶対に、衛兵が駆けつける。
だが、青年は凄んだ。
「やかましい!!!馬鹿な王率いる、貴族の衛兵なんざ、恐れるか!」
そうして、青年は懐を探ると、何か球のような物を三つ、指に挟んで取り出す。
それが、どういう代物かはシドにはすぐに、理解できた。
「人形……おまえ、人形使いか」
シドの独白には気づかず、青年が人形と呼ばれた弾を投げる。
すると、その三つの球が光を放ったかと思うと、巨大化して一瞬で姿を変えた。
一つ目の球は人と同じぐらいの背丈で、スラリとスタイルのいい、少女の姿。
二つ目の玉は二メートルを超える巨大な、男の姿。
そして、三つ目はこれまた、二メートルを超えるような巨大な男の姿。
人形。それは、魔力の波動を信号として、送り込む事で動く人間型の兵器だ。種類も様々で主な物は攻撃用、近接格闘用、砲撃用、捕獲用、防御用など、他にもいくつか種類がある。
そして、その人形を操る人間を人形使いと呼ぶ。
青年が出した人形は、どれも、人に似せて作ってはあるが、所詮は人形。体の繋ぎ目の線が丸見えだった。
「ほ〜……一度に三体も扱える、人形使いなんてそうそういるものじゃないのに、やるもんだなな〜」
感心したように、手をポンポンと叩く。
「余裕ぶってんじゃねえ!!!いくぞ!」
叱声とともに、手を動かすとまず、一体目の少女の姿をした人形があっという間に、シドと間合いを詰める。
別に驚かなかった。一目見た時から、この人形は近接格闘用だとすぐに解った。
人形が振りかぶる拳をシドが片手で、受け止めた。
青年が目を見開く。
「馬鹿な!ディラの拳を人間が、しかも片手で受け止められるなんて有り得ない!」
シドがディラと呼ばれる人形の拳を握る手に力を込める、ミシミシと軋む音がする。
「俺を普通の人間とおなじにすんな」
握り締めた拳を引くと、ディラの腹部に拳、続いて膝蹴りを一発、そして全力の拳の三連コンボを叩き込んだ。
ディラは見事に吹っ飛んだ。普通、人形というのは重さが何百キロもあるのが多い上に、耐久力も半端じゃない。
人間が相手に出来るようなものではないのに、シドはそれを簡単にやってのけた。
青年が手を動かすと、残っていた二体の大男の人形の内、一体が動き吹っ飛ばされたディラを受け止めた。
「くそっ!だったら、これでどうだ!」
続いて、手を動かすとディラを受け止めた人形とは違う、大男の人形が痙攣するように震えたかと思うと、口の中から砲口が現れた。
「砲撃用の人形か」
シドが呟いたかと思うと、その時には既に走り出し、拳を突き出す。しかし、シドとその人形の前に先ほどの大男の人形が割り込み、シドの拳を受け止めた。
「こいつ!防御用の人形か!?」
「防御用、兼、捕獲用だ!」
その言葉とともに壁の役割を果たす人形の着ている服が、バタバタと翻ったかと思うと、ロープのように伸びてシドの体を縛り付けた。
「ちっ、厄介な物を持っていやがる」
その直後、シドと砲撃用の人形の前に立ち塞がっていた、人形が飛び退く、さっきまで壁の人形のせいで、見えなかった砲撃用の人形が姿を見せる。
人形の口から出ている砲口からは、チカチカと光が覗いている。どうやら、砲撃の準備が終わったらしい。
「いいっ!」
「これで、終わりだ!!!」
叱声とともに轟音を上げて、砲撃が放たれた。
城を、大地を揺るがす轟音と爆風による煙が部屋を包み込む。
シドがいた所からは、煙が上がっていて何も見えない。
「よし!逃げるぞ、アル!」
青年が少女に手を差し伸べる、そして少女はその手を取ろうとする。
その時、煙の中から三本の風の矢が三体の人形の胸の中心を、貫いた!
「なにい!?」
黒煙から声がする。
「ふう〜……今のは、ちょっと危なかったなあ。うん」
青年はぎこちなく、まだやまない黒煙に目を向ける。
「ば、馬鹿な!有り得ない!キャノンの砲撃を食らって、生きているなんて、有り得るわけがない!」
青年がわめく、その時一陣の風が吹き黒煙を取り払った。
そこから姿を見せたのは、周りに透明のシールドを張ったシドだった。
「ま、魔法壁だとお!?詠唱なんて、していなかったぞ!?」
シドの周りに張ってあるシールドは、魔法壁という魔法で、魔法だけでなく物理的攻撃も防ぐことが出来る、防御用の魔法だ。
だが、本来魔法というのはどんなに簡単な魔法でも、詠唱をしなければならない。
しかし、シドはそれをやってはいないし、やっている素振りも見せなかった。これは本来、人間に出来る芸当じゃない。
無詠唱で魔法が使える種族など、世界広しといえど、竜しか考えられない。
「お、おまえは一体何者なんだ!」
当のシドは首をコキコキと鳴らして、質問には答えなかった。
「いやあ〜……今のは流石の俺でも、少しヒヤリとしたな。いい物を持ってるな、おまえ」
青年は歯を食いしばる。
「さって……何で、おまえは……」
言い切る事が出来なかった。
ドタバタと忙しい足音ともに、数人の衛兵が部屋に飛び込んできた。
衛兵の一人(おそらく、隊長)が声を張り上げる。
「な,何だ、この散らかり様は!?あ、貴様はロッソ!貴様、また姫様を!」
そして、そいつが剣を抜く。
ロッソと呼ばれた青年は、舌打ちをして少女(この場合は、姫か)に目を向ける。
「アル、俺は絶対に諦めない。絶対に、おまえを自由にしてみせる」
アルと呼ばれた少女が、手を上げて何かを言おうとする、だが、ロッソは自分が開けた風穴から、身を翻した。
シドと衛兵は一斉に、穴の方へと駆け寄る、だがその瞬間、鳥のような物に乗ったロッソが姿を現す。シドはそれがどんな代物か一瞬で見破った。
「飛行用の人形!?そんな物まで、持ってたのかよ!?」
ロッソは睨むようにシドを見ると、背を向けて飛び去っていってしまった。
「馬鹿な……飛行用の人形なんて、有り得ない……」
「おい」
背後の声には気づかず、というより耳に入っていなかった。ブツブツと呟きだす。
「馬鹿な……有り得ない。やつらが……聖霊の連中が、飛行用の兵器なんて……」
「おいいい!!!」
肩を強く引っ張られて、やっと、背後に立つ衛兵の隊長に意識が向かった。
「貴様は何者だ!?」
あちゃ〜……すっかり忘れてたよ、この馬鹿連中……どうしよ
その時、助け舟が。
「その人は私を助けてくれたのです。手荒な事はしないでください」
凛とした声に、衛兵達は敬礼する。
姫と呼ばれ、アルと呼ばれた少女がシドに歩み寄る。
さすがは一国の姫という所か、その態度にはどこか凛とした物がある。
アルはシドに頭を下げた。
「ありがとうございました。つきましては、何かお礼をさせてください。私としても、助けられたままというのは、気が引けますので」
シドは口元に手を当て、眼前の少女を見据える。
そして、上目使いに自分を見る薄緑色の瞳を見た瞬間、直感した。
感心したように、手を叩く。
「そいつは太っ腹ですね。それでは、私を貴女様の近衛兵として、この城に置いてほしいのですが……やはり、無理でしょうか?」
アルは口元に手を当てて、上品に笑った。
「その程度、むしろ、私からお願いしたいですわ」
ささっと背を向けるその時、シドははっきりと見た。彼女の鋭い流し目を。
だが、その流し目はすぐに消えて、好意的な笑みに変わった。
「それでは、お父様に頼んでみます。それから、食事は……」
「いただきます」
即答だった。まだ、夕食を食べていない腹が鳴った。
ええ〜、すいません。
解りづらいのばかりですよね……本当にすいません。出てきた用語については、ちゃんと説明を本編とは別の所で、入れるつもりです。だから、見捨てないで……
更新は週一日、毎週金曜日にやっていくつもりです。ただ、遅筆な上に、完結できるか心配です。
とにかく、完結できるよう、頑張ります!!!
長々と、失礼しました。




