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【番外編 ショート】妹、愛里の
さらさらの金髪に、黒曜石の瞳、エリによく似たエリの娘、愛里。
この春3歳になった愛里は、おしゃべりも上手になり天使の笑みを浮かべては、舌足らずな様子で会う人会う人に話しかける。
19歳になった儀礼は、目に入れても痛くない程に、歳の離れた妹を可愛がっていた。
この可愛い妹には、生まれた時から張り付いている悪い虫がいた。
こういう時、世間一般でなら、
「僕より強い男でないとうちの娘はお嫁にやらない」
と言うところだろう。
しかし、儀礼より強い男はたくさんいる。
だから儀礼は言う。
「重気さんより強い相手じゃなきゃ愛里はお嫁にやらない」
どうだとばかりに両手を広げて、儀礼は拓の前に立ちはだかる。
世界最強の男、黒鬼。
それ以上に強い者など現段階ではいない。
「儀礼、そんな化け物にうちの娘はやれない」
儀礼の言動を止めたのは父親の方だった。




