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ギレイの旅  作者: 千夜
18章
504/561

儀礼の遺跡探索

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「そっか。アーデスなら、護衛なんていらないんだね。」

「監視は付きますけどね。」

当然のようにアーデスは言った。

「やっぱり、ランク調整してるんだ。管理局に言いつけてやる。」


「ギレイ様、私が護衛でなくなったら、一体どれだけの護衛に囲まれた生活をなさるんでしょうねぇ。」

にっこりと爽やかに微笑んでアーデスは言う。


 アーデスがいなくなったら。

最悪の場合、アーデスのパーティメンバー全てがいなくなったとしたら。

それこそ、儀礼はどこかの研究塔に閉じ込められて、何重にも張られた結界の中に入れられて、自由な行動など許されなくなることだろう。

そして、それでも、儀礼の安全が図れるかといえば、分からないと答えるしかない。


 何十人もの護衛を雇ったとしても、アーデス達のパーティメンバーに匹敵する実力者はいない。

もしかしたら、最も安全だといって、『黒鬼』のいるシエンの村に閉じ込められるかも知れない。

「……やだ! 僕もっと旅がしたい! 遺跡も行きたい! アーデス達と一緒がいい!」

何よりも、アーデスは遺跡探索の先駆者だ。


 儀礼の行けないような遺跡にどんどん入って行って、新しいマップを持ち帰ってくる。

そんな、おいしい人物を、儀礼は手放すわけには行かない。


「私も、当分、Sランクは遠慮したいですね。」

「でも、そのうち、ならないわけにはいかなくなるよ。アーデス優秀だもん。今のうちだけだね。羽を伸ばせるのも。」

「ギレイ様、十分羽を伸ばしているように見えますが。」

「僕は、護衛が優秀だから。」

にっこりと、やはり嬉しそうに儀礼は笑う。


 そして、先程しまった遺跡のマップを再び取り出す。

「ねぇ、アーデス、次はさ、このマップから、こっちの遺跡を連携させて、トラップの位置を割り出せないかと思うんだけど。」

「それもいいですけど、実際遺跡に行ってしまった方が早くないですか?」

数枚のマップを見比べて、アーデスは提案する。


「連れてってくれるの!?」

嬉しそうに、瞳を輝かせて、儀礼はマップを片付け始める。

「Aランク遺跡には護衛2人でしたね。誰を連れて行きます?」

「獅子は仕事に行っちゃってるから、カナルかシュリは? 経験値積ませたい。」

装備の点検をしながら儀礼は言う。


「二人とも、ギレイ様より経験値ありますよ。」

呆れたように、くっくっとアーデスは笑う。

「まだまだ、もっと成長してもらわないと。それに、機械トラップに関しては、負ける気はしないから。」

にぃ、と子供らしいいたずらな笑みを浮かべて儀礼はツールボックスを確かめる。


「分かってますよね。Aランク遺跡にはAランクの魔物が出るんですよ。」

「分かってるって、僕が倒しても、内緒ね。当分は冒険者ランクCでいいから。」

銀色の改造銃を確かめながら、儀礼はアーデスを振り返った。


「違う。もういい。お前に取って、Aランクの魔物も、もう脅威ではないんだろう。」

髪の毛をくしゃりとかき上げて、アーデスは軽い溜息を吐いた。

「だって、遺跡だよ! Aランクの遺跡! 魔物なんて関係ないよ。誰も入ったことのない部屋が見つかるかもしれないんだよ! それに、まだ、誰も見つけてないトラップもあるかも知れない!」

瞳をキラキラとさせて儀礼は真っ白な紙とペンを持っている。

それで、新しいマップを作成するつもりらしい。

もう準備は万端だ。


「わかりました。行きましょう。シュリが暇してるみたいです。自宅で武器の訓練をしているので、連れて行ってしまいましょう。」

「その言い方、まるで誘拐だね。いいよ、行こう!」

楽しげに笑って、儀礼はアーデスの横に並ぶ。

すぐに白い移転魔法が発動されて、二人の姿は消え去った。


「だから、お前ら! 急に来て、急に人を遺跡に連れ去るな!」

薄暗い遺跡の中にシュリの叫び声が響いた。

「大丈夫。必要な物は全部持ってきたし、今日中に帰れるから。」

「俺は何の準備もしてきてねぇよ。」


「シュリは武器と鎧だけあれば大丈夫だよ。トラップは僕と朝月が解除するから。魔物退治お願い。」

「アーデスがいるのに、俺が必要なのか?」

不満そうにシュリは儀礼達を見る。

人数合わせで無理矢理連れ攫われるのは、勘弁してもらいたい。


「だって、シュリも強くなってもらわなきゃ。」

にやりと儀礼は笑う。

「行くだろ。」

どこへとは、儀礼は言わない。

「……ああ。そうだな。」

それだけで、納得したように、シュリは頷く。


「――って、アーデスよりトラップの発見と解除が速いってどういうことだよ!」

魔物と格闘しながら、その先へ行ってしまった少年を見てシュリは叫ぶ。

「だって、見れば分かるし。見つけたら解除しなきゃ。」

言いながらも儀礼の手は素早く動いて、精密な機械トラップを解除へと導いてゆく。


「……私が単独で行くのと大差ありませんね。シュリのマイナス分を差し引いても。」

大量の魔物を切り伏せながらアーデスが言う。

「マイナス俺かよ。」

大きな斧で魔物を一刀両断して、不満げな口調でシュリは訴える。


 魔法トラップに関しては、儀礼が命じるまでもなく、それらしい場所へ腕輪をかざせば、朝月が強制的に壊してゆく。

その遺跡探索速度は並のパーティレベルではない。


 そうして、誰かしらを引き連れて、儀礼は遺跡を探検しまくるのだった。

ある日はクリーム。

「クリーム、クリーム。僕はこっちのトラップ解除するから、クリームはそっちお願いね。数が多いから、手数が多いと助かるね。」

嬉しそうに、トラップの解除を行い。


 ある日はワルツ。

「ワルツ、その紐は明らかにトラップだから。引っ張っちゃダメ!!」

必死で、護衛を引き止めて。


 ある日は獅子。

「だから、どうして、止める間もなくトラップを起動するんだよー!」

二人はひた走る。通路を塞ぐほど大きな岩から逃れるために。

「いや、あの岩、切ればいいんじゃないか?」

振り返ろうとする獅子を儀礼は必死になって止める。


「爆発するからっ!!」

叫んだ後は二人で、解除コードのある操作パネルの部屋まで、一生懸命に走った。


 ある日はヤン。

「この部屋の魔法トラップは全て解除しました。」

広い広い部屋に入って1分。

紺色の服を着た、黒髪に丸めがねをかけ、木製の杖を持った『若き魔女』は、Aランクトラップの多数ある遺跡の部屋において、涼やかな声で告げた。


「僕、魔法トラップがあること確認する間もなかったよ。」

「すみません。次はもう少しゆっくりやりますっ!」

「いや、責めてないし。」

くすくすと儀礼は笑う。


 このように、儀礼は遺跡の探索を楽しんだのだった。

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