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ギレイの旅  作者: 千夜
2章
49/561

『黒獅子』情報

 雑貨店を出た儀礼。帰り道がてら、アナザーにメッセージを送る。

 手袋につけた小型のキーを叩き、モニター(色眼鏡)に文字をつづる。

 ”アナザー、剣の眠る町ってわかる?”

 ”ドルエド国のトロウって町だろ、『光の剣』が封印されてる。”

 すぐに答えが返ってくる。

 ”そこで行方不明になってる人と、コレクターの老人を調べられない?”

 ”なんだそれ? 俺は探偵でも警備兵でもないぞ。”

 そう言いながらも、今頃検索をかけてくれているのだろう。

 ”僕はもう、この町を出ないといけないから。”

 ”また何かやったのか……?”

 ”……犯人ぽいじいさん眠らして来ちゃったよ。”

 ”そのまましょっ引け。”

 ”無茶言うなよ~、アナザー、頼む。”

 ”どこにいるって?”

 ”管理局の待合室に寝かせてきた。家は近いって、60超えたじいさん。”

 ”あぁ、こいつだな。人はわかった。行方不明者は若い女3人と子供1人だな。”


 ”子供?”

 ”浮浪児が一人消えたみたいだ。画像が有る、見た目はいいな。”

 ”……たぶん、蝋人形収集家だ。ごめん、一仕事できたみたい。”

 ”こらっ! お前、自分も子供だってわかってんのか? 行くの禁止。”

 ”でも……。子供じゃないし……”

 歩いていた足を止め、悔しそうに唇をかむ儀礼。

 ”俺より10歳も小さいじゃねぇか。今トロウの警備に証拠送って要請出したから。”

 ”……わかった。サンキュ、アナザー。”

 少しほっとしたような顔をする儀礼。

 アナザーが、出動要請すっとばして、強制突入にデータ改ざんしたことは儀礼に内緒だ。


 ”そんで? 仕事料は?”

 しっかり請求してくるあたりもアナザーだ。苦笑する儀礼。

 再び足を動かしながら、メッセージをつづる。

 ”情報で、どう? 獅子が光の剣を抜いた。”

 口の端から笑みがもれてしまう儀礼。

 ”・・・は??”

 やはり信じられないらしい。

 ”疑うなよ、本当だって。獅子が抜いちゃったんだよ、『光の剣』。”

 ”特級情報じゃねぇかよ、いつだ?”

 ”今日の夕方。獅子はランクBに昇格したよ。ランクBの人型魔物倒したから。”

 ”……ちょっと待て。まじで待て。何やってんだお前ら。”

 宙に浮かぶ文字からでも、アナザーが動揺しているのがわかる。

 くすくすと、一人笑う儀礼は、はたから見ると怪しい人だろう。

 その横を、物々しい様子で、町の警備兵たちが駆け抜けて行った。


 ”人型って、悪魔だろ。高位モンスターじゃねぇか。それを獅子が倒したって?!”

 ”そう。僕も参戦したけどね。”

 ”……さすが『黒鬼』の子だな。『黒獅子』は伊達じゃないってか。”

 ”『黒獅子くろじし』? って獅子のこと?”

 ”そ。なんだ、知らないのか? 最近言われてきたんだけどな。ドルエドで武術大会優勝したとか、ランクCの魔物狩りまくってるとか、有望視されてるぜ。”

 ”へぇ、知らなかった。『黒獅子』か。結構合うかもね。もう二つ名がつくって、すごいな。”

 ”まぁ、『黒鬼』が有名すぎるからな。ギレイだって、『蜃気楼』持ってんじゃん。”


 『蜃気楼』とは、管理局ランクSの儀礼に誰かがつけたものだ。

 追いかけても、追いかけても、追いつかない。そんな意味らしい。派遣される護衛を次々巻いているからだろうか。

 ”もっともあんまり名が売れすぎるのも困り物だけどな。ましてや『光の剣』って……お前ら危ねぇじゃねぇか!!”

 語尾の強くなったアナザー。


 ちなみに『アナザー』も二つ名だ。ハンドルネームは「穴兎」。

 神出鬼没で、掴んだと思っても丸きりの別人だという、ネットの超人。

 お互い少々違法ぎりぎり(?)の所にいるが、すでに10年程になるネット仲間だ。

 ”大丈夫、ちゃんと対処するから。黒獅子の連れって、僕と黒髪の女の子だけ?”

 ”許婚の長い黒髪少女と、金髪の少女と、金髪の少年だな。”

「そこまで流れてるのか……っていうか金髪の少女って訂正してよ」

 つぶやく言葉は独り言になる。まぁ、そっちはどうでもいい。連れと認識されているのがまずい。


 ”ありがと。そしたらしばらく連絡できないかも”

 ”わかった。こっちも気が向いたらフォローしとくよ。”

 ”きっと会いに行くから。その時は名前教えてね。”

 ”オッケ、気が向いた。待ってるからな。迷子になるなよ。”

 ”ちょっと待って、何、その扱い……。”

 ”はは、じゃあな。”

 ”うん、ありがとう。”

 ちょうど、どこかの家と、管理局の待合室での捕り物が終わったところだった。

2018/12/12、修正しました。

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