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ギレイの旅  作者: 千夜
15章
417/561

両親の過去1

予約更新が出来ず、更新が遅れてしまいました。

読んでくださっている方、申し訳ありません。

パソコンが使えず、メールで執筆したので、読みにくい部分があるかもしれません。

 ピンと張り詰めた空気が、二人の周りを包んでいる。

下手に動けば集中攻撃の始まるような、そんな危険な雰囲気がその場にはあった。


「獅子、話聞きたいだけだから気を収めて。」

震えそうな声を叱咤して儀礼は隣に座る獅子を宥める。

獅子は別に怒っているわけではない。

どちらかと言うと、楽しんでいるかのようにすら感じる。

大勢の、父、重気を知る冒険者たち。

その実力に興味があるようだった。


 儀礼の方は、周囲から発される針のような集中した気配に、固まりぎみなのだが。

こんな所で試しあいはやめてもらいたい。


「獅子。重気さんと元、チームを組んでた人たちだよ。話を聞こう。」

もう一度、今度は少し強気に言って、儀礼はテーブルの上の水を飲む。

この場において戦う気をなくして、無防備でいるのは儀礼一人である。


「お前、そんな不用心でどうするんだよ。」

怒ったように言いながらも、獅子は闘気を収めて食事を再開する。


 獅子が動き出せば、室内の時が動き出したかのようにあちこちから息を吐く音や、緊張を振り払う気配が沸き上がる。

儀礼たち以上に、周りの大人たちの方が緊迫していたようだ。


 獅子を重気さんと同一視したのだろうか。

それならば、全員が戦闘態勢になったのも頷ける。

重気が暴れたとしたら、こんな集会場、一瞬で粉々になってしまうことだろう。


「お前は、もう少し警戒しろ。」

木造の集会場のことを考えていた儀礼に獅子が注意するように言った。

そうは言われても、儀礼にはここにいる人たちと戦うつもりはない。


「僕にはトーラがあるし。フィオもいてくれるし。」

トーラもフィオも儀礼を守る障壁を張ってくれる。

警戒心の欠片もない様子で儀礼が返せば、獅子は苛立ったように溜め息を吐く。

「またトーラかよ。道具に頼ってばかりいないで、自力で何とかしようと思わないのか?!」

「自力でどうにもならないから道具を使うんだろ。それが僕の、武器だから。」

にっこりと笑って儀礼は言う。

トーラは障壁を張る魔石だ、そして精霊を宿している。

攻撃に向かないそれを儀礼は武器と呼ぶ。

その他にも、儀礼の持つ麻酔薬や痺れ薬も、攻撃的とは言えない。

けれど、それが儀礼の武器。

そして儀礼はそれで間違いなく相手を戦闘不能に追い込む。

ならば、武器と呼んでも間違いではないのかもしれない。

相手を傷つけない武器。

それが儀礼の実力。


 警戒心がないのではなく、警戒に値しないのか、と軽く溜め息を吐いて獅子は料理を味わうことを再開する。

あたりは再びざわざわとした騒がしさを取り戻した。

「それで、聞いていいですか?」

儀礼が質問を再開する。

相手の男はああ、と少し戸惑ったような返事をした後に、ニカリと笑みを浮かべる。

「いや、懐かしい緊張感を味わったな。昔も時々お頭が、あんな風に怒ってな。防いでないと巻き込まれて大ケガだ。」

楽しいことを思い出したような笑顔で男は語る。

「しかし、さすが姐さんの息子さんだな。あの状態のお頭、じゃねぇ、息子さんを言葉だけで止めちまうなんて。」

感心したように男は呟く。


「ギレイです。僕はギレイ・マドイ。彼は、リョウです。」

誰々の息子さん、という呼ばれ方はあまりいい気分ではない。

個人を認められていないようだ。

まあ、間違いなく、彼らにとっては儀礼たちはそういう存在なのだろうが。


「そうか。これは悪かったな。ギレイにリョウさんか。」

何気に獅子にはさん付けだ。

そんなにお頭という存在が怖いのだろうか。

それとも、儀礼と獅子の見た目からの反応だろうか。

確かに、儀礼の方が頭一つ分小さいが、同学年だ。

儀礼だってあとひと月もすれば16歳になる。


「まず、重気さんがこのチームのリーダーだったんですよね。」

「ああ。最強だったよ。」

あごひげを撫でながら男は自分のことでも自慢するように話す。

「俺たちを引っ張って、たくさんの依頼を受けたな。ギルドのAランクの依頼を次々こなして、あっという間に達成数、100件は超えたな。それでお頭は単独でもAランクの任務をこなすようになって、気付けばSランクなんて伝説の存在になってたんだ。」


 そんなに昔にギルドからSランクに認定されて、未だにその強さを誇っている。

やはり、獅子倉重気という人は、人間離れしていると思う。


「かなえがお頭のお気に入りになったのもその頃だな。」

「かなえさん?」

かなえは重気の妻で、獅子の母親だ。

元盗賊だったと言うのは儀礼も穴兎から聞いている。二人はこのチームにいる時に出会ったらしい。


「かなえは元々、別の場所で働いてたんだがな、お頭がそのメンバーを潰したから、自然と残りがうちに吸収されたんだよ。」

盗賊とは言わないんだな、と儀礼は心の中で苦い笑いを浮かべる。


「なんでも、同郷の血を引いてるって言って、お頭の目に止まったらしい。」

確かに、かなえは黒髪に黒い瞳をしている。

しかし、シエンの生まれ育ちではない。

父親か母親がシエンの血を引いていたらしい。

覚えてない頃に両親とも亡くなっているらしいので、はっきりとはしないが、その髪と、瞳の色がはっきりと物語っている。


「そんな頃だったな。お頭が金髪の美女を連れてきたのは……。」

修羅場ですかそれ、と、儀礼は知らず、緊張に息を飲み込んでいた。

読んでくださりありがとうございます。

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