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ギレイの旅  作者: 千夜
6章
165/561

古人解析装置

儀礼は広い管理局の廊下を走っていた。

何があってもすぐに対応できるよう腕は振らずにポケットの側に待機。

大きな管理局でよかったと儀礼は安堵する。逃げるための道が多くある。

複数の足音はかなり引き離せたようだった。

今日はよく動く日だ、と儀礼はため息を吐く。朝早くから、獅子と腕試しして疲れたと言うのに。


目の前の角を曲がり、儀礼は息を飲んだ。視界に入る前にわかる、ただ者でない人の気配。

しかし、目の前に現れたのはアーデスだった。

「なんだ、アーデスか。じゃあ、僕急いでるから」

そう言って通りすぎようとしたのに、アーデスは儀礼に並走する。

「切りましょうか?」

儀礼の走ってきた道の方を見て言う。

かなり離れてるのに、不審人物に気付いたらしい。さすが双璧のアーデス。


「いいよ。人違いだから」

儀礼は顔をひきつらせて言う。アーデスの切るは殺すという意味だ。

儀礼を追ってきている連中が何者なのかは知らないが、儀礼のことを「あの娘だ」、と呼んだ。

Sランクのギレイ・マドイを追う者ではない。

それよりアーデスと出会ったことの方が気になる。


「こんなところで何してるの?」

ここは儀礼が現在、宿を取っている大きな街の管理局。

一昨日儀礼が本部に呼ばれた時に、アーデスは一度来ていた。

「それはこちらの台詞ですね。こんな所で何故あんな者に追われてるんです?」

非難を含ませる声で、同じ質問を返された。


「だから、人違いなんだって。研究室じゃなくて、資料室の方にいたらいきなり追いかけてきた」

人違いな上に、勝手に追いかけてくるのだ、儀礼のせいではない。

それにしても最近本当に多い、よくわからない連中に狙われたり、追われたり。

腕輪を一般の店に持って行ったのは儀礼のミスだが、その他にも儀礼の持つ機械を狙ったり、情報を狙いだったり、管理局の本部に呼び出されたら、世界一厳重なはずのそこに変な機械が仕掛けられてたり。


でも、一番油断できない相手は、このアーデス。

儀礼は少し前に借りを作ってしまっていた。人を解剖して調べようと言うAランクの研究者に。


「あ、アーデス。いいこと思いついた。僕、古人解析装置なら入ってもいいよ」

走りながら儀礼は隣にいるアーデスに言う。

「……すみません、いきなり死亡宣言ですか?」

アーデスが理解できない、と言う変な顔をした。

古人解析装置は遺体解析装置の別称。

死んだ人の体を色々調べたり、古代遺跡から出てきたミイラの解析をしたりするもの。


普通、生きている人間には使わない。試験的に中に入った人は健全な状態で出て来なかった。

しかし、生きている人間に対しての解析装置と比べて、解析できる項目や精度がまったく違う。

「そうじゃなくて、別に生きたままでも使えるわけだろ」

儀礼は言う。その試験例を知っていてなお。

「使えないとは言いませんけどね」

勧めはしないと言う心と、やってみたいという衝動、アーデスの声からは両方が伺える。

「どうしてまた、そんなことを思いつくんです?」

呆れたようにアーデスは言う。確かに、儀礼自身、正常な考えとは思えなかった。

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