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雷に打たれて死ねば  作者: 莞爾
2章 地震・火事編
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2-1 小屋のボヤ騒ぎ

 親父に関わる話はまだあるのだが、この程度で切り上げようと思う。というのも本章のタイトル通り、次なる災いが襲いかかってくるのだ。


※本作には、精神疾患、家庭内の問題に関する描写が含まれます。読まれる方の心身の状態に応じて、無理のない範囲でお読みください。

 最初の異変であるボヤ騒ぎが果たしていつのことだったかは思い出せないが、私の年齢を逆算してみると二〇〇一年以降の事件だと思われる。 それなりに大きな事件であるはずなのに、今となっては些細な出来事として影を薄めてしまっていた。


 当時住んでいた私の家は坂の上にあり、二階の自室からの展望はそれなりに広々したものだった(まぁ全部田んぼなのだが)。 家の横を下っていく長い坂道を視線で辿っていくと、民家の途切れるあたりを境にアスファルトの舗装がなくなり、砂利道の農道に切り替わる。勾配も緩やかになった果てに丁字路が待ち構え、左右に広がる田んぼに繋がる。そこにポツンとあるのが件の小屋である。


 兄と二人で遊んでいた昼下がりのことだ。煙が上がっていることに気付いた私たちは窓から身を乗り出して小屋が燃えているのを目撃した。あの小屋は井神家――というか親父――が所有している建物で、農具を保管する物置である。


 私たちも何度か中に入ったことがある。木造建てのボロ小屋で、築年数の古さと手入れのなされていない有様から、柱も内壁も黒く汚れていた。 それが、濃い煙を吐き出して燃えていた。


「どうしよう!? 燃えてる!!」


 兄弟はパニックだった。 警察に通報するというのは大変勇気がいる。小学生がおいそれとやってのけることではない。本当に通報して良いのか? 大人に怒られはしないだろうか? そうこうしているうちに家の電話が鳴った。親父からだった。


〈小屋が燃えちまった。お前たちは家から出るなよ。もうすぐ消防が来て火を消してくれるから〉


 大体こんな内容だっただろう。田んぼで仕事をしていた親父が第一発見者として既に通報済みで、私たちは待機を命じられた。 窓から動かず一部始終を見ていた。消防車が駆けつけて放水、燃え移ることもなく鎮火した。


 出火原因や詳細は一切教えてもらえなかった。あの小屋に電気は通っていないので、あの場所で何が起きたのかはわからない。タバコの不始末……ではないだろう。親父がなんと言って消防士や警察の調べに応えたのかは不明だ。怪我人もおらず、ただ小屋が燃えてしまっただけの小さな事件はそのまましばらく忘れ去られてしまうこととなった。


 そう。始まりの火種は些細な出来事だったのだ。 これから起きる出来事とくらべてしまえば、こんなボヤ騒ぎは忘れてしまっても当然だった。

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