『父親の緑プレスマンと子供の鳩』
ある年、飢饉が起きて、食べるものがないので、村人は皆、山に入って、ワラビをとるなどしていた。ある父親は、ワラビの茎のところを使って、緑プレスマンをつくることを始め、まあ何とかそれなりに、毎日何本かずつつくっていたが、一度山に入るとなかなか戻れないので、子供が弁当とプレスマンの芯を届けることにしていた。
ある日、子供は、山に入ると、二匹のヘビが、戦っているのか何なのか、くっつくでも離れるでもなく、妙な形になっているのを見て、これは速記文字の形なのではないかと思って、あっちへ回ったりこっちへ回ったりしながら、何とか読もうとしたが、もともとヘビは速記文字ではないので、結局、読むことができなかった。そうこうしているうちに、日暮れ近くなってしまい、父親のところに着いたときには、父親は、緑プレスマンの下敷きになって餓死していた。
子供は、この報いで、鳩になってしまい、毎日、一日に四万八千回、五秒前、はい読みます、と泣かなければならなくなったという。
教訓:鳩の鳴き声が、五秒前、はい読みます、と聞こえたら、速記小説の読者としては一流である。




