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Virann  作者: 柴田優生


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良い奴

それから、また事件は起きた。これもまた、うまく行った犯行だ。他殺であろうことはほとんど確定しているのだが、その証拠となる痕跡がひとつも見当たらない。

「ほんと、面倒くさいですね」

「まぁ、そうだな」

これには知夏も呆れているようだった。しかし、なんでこんなにも隠蔽が上手いのだろうか。そんな有名な犯罪グループなんか聞いたことないし、何かしらの組織があることは確定しているが・・・

「ま、俺は俺で調査してくる」

「あ、一人でやった方が成果出せるんだっけ」

「まぁ、行っちゃ悪いけどそういうこと」

「でも、成果が出るだけすごいと思うけどなぁ。実際私たちはまだ何も成果が出せていないわけだし」

「仕方ないさ。今回の騒動は難解事件なんだから」

俺も、才能がなかったらあいつを捕まえることが出来ていなかっただろうから。

「そういえばさ、大和さんってそこそこ頭良いわけじゃないですか」

「よく知ってるな」

「監長から聞いたんですよ。どうして、そんなに頭良いんですか?」

「どうしてって、別に。面白い過去があったわけでもないぞ」

「それは、勉強漬けだった過去だからですか?」

「それも、一理ある」

「他に何かあるんですか?」

まぁ、話したところで俺に何の害もないから、話すとするか。


皆も知っているとおり、俺は転生者だ。だから、どの世界でも、過去に習った内容が、全く同じ形でその世界でも出てきたから、自然と覚えてしまっていた。だから、俺はどの世界にいても天才だった。しかし、この世界は違った。今まで習った内容も、ほとんど出てこなかった。初めて習う内容ばっかりだったから、子供の頃は俺は馬鹿だった。

「そんな中、親は毒親だった。どのテストが返ってきても点数を取らない俺に、勉強を強制させた。その結果、俺は頭が良くなりすぎてしまった」

「辛い過去を生きたんですね」

「んまぁな。俺は、そんな親が嫌いだった。だから、俺は・・・」

「まさか」

「あぁ。そういうことだ」

「でも、もう時効ですよね」

「ん?」

「貴方が殺しを行うような人間だとは・・・」

「は?いや、普通に生きてるぞ」

「え?」

「俺は親を殺してなんかいないぞ。ただ、親が嫌いだから親を売ったんだよ。人身売買ではないぞ。普通に、親子の縁を切っただけだ。今ごろ、どっかの田舎で畑でも耕してるんじゃないか?」

「いや、その話し方だとそう勘違いしちゃうじゃないですか」

いや、普通だったと思うけど。


そんなこんなで、俺はあの牢獄にやってきていた。

「元気してるか?」

「そんなわけねぇだろ。退屈なんだよ」

「だろうな。だが、そんなの知らない。死刑囚らしく、お似合いの生活だ」

「あぁ。わかってるよ」

「それで、話は変わる。情報を吐いてくれないか?」

「はっ。サツに言ったところで何になるんだよ。それなら一生黙るぞ」

「だったら、黙った分拷問を受けることになるぞ」

「まぁ、だろうな。しかし、おれは本当に何も知らないぞ」

おそらく、こいつは知らないの一点張りだ。だから、これは仕方ない。

「ぐっ・・・!!」

「これが、拷問内容だ。俺はお前じゃないから、実は知っているのか、本当に知らないだけなのかはわからない。でも、裁判で判決が下された以上、お前を疑わざるを得ないんだ」

俺だって、一度は世界を救った転生者だ。人のありがたみや、人の心は持ち合わせている。だから、拷問することの罪悪感は、一生俺の身体中を蹂躙し続けるのだ。

「なぁ。お前、本当は良い奴だろ」

「・・・」

「お喋りはしてくれないのか?」

「業務上、囚人と駄弁ることは業務違反だ。けど、別にいいよ」

「はぁ?なんでだよ。お前、解雇されるかもしれないんだぞ?そんなリスクを負ってまで、俺と会話なんかしてもいいのか?」

「警察長とは、友達なんだよ」

「え?」

「まぁ、秘密の関係って感じだ。俺も、あいつには恩があるし、あいつも俺に恩がある。だから、少しくらいの業務違反は目を瞑ってくれるんじゃないか?」

「そ、そうか」

「んで、良い奴って話か?まぁ、良い奴。を演じてるだけだ。実際は、そんないいやつでもねぇよ」

「だったら、俺に拷問をするとき、あんな表情なんかしねぇだろ」

「ははっ。バレてたか」

出来るだけ、顔に出さないようにしていたんだがな。

「そういう、お前も・・・本当は良い奴だったんじゃないか?」

「俺はちげぇよ。人を殺すような人間だから、優しくなんかねぇよ」

こいつは、嘘をついている。長年の勘・・・というやつだろうか。表情さえ見れば、嘘をついてるなんかお見通しなわけだ。

「そっか。まぁ、これからも、こういうことは続けていく。俺も、出来るだけ拷問は行いたくないんだ。だから、はやく吐いてくれよ」

「だから、何も知らねぇっての」

俺はその言葉を聞いて、その場所を後にした。


結局、あいつから情報は何も得られなかった。警察たちの捜査も、結局今日は未発見のままに終わった。

「ほんと、この一連の事件はなんなんでしょうねぇ」

「わかっているのは、全て他殺ということだけ・・・」

まず疑問なのが、なんでそこまで隠すのがうまいのか。ということ。でも流石に、異能力者がいる・・・ということは、ないよな?

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