更正
結局、俺が昨日捕まえた殺し屋は、捕まった。捜査がまだ進んでいないから、裁判はまだ行われないが、まぁ。おそらく死刑は確定だろう。
「よくやってくれた!!大和!!」
「別に。ただ、俺が集団行動は苦手だっただけっすよ」
「それになんで今更敬語なんだ?過去の世界では、幼馴染だっただろう」
「タメでいいんだな?」
「あぁ。許可するよ」
「それで、昨日の事件から、これまでのが他殺だってことがわかっただろ?」
「あぁ、そうだな」
「あの犯人についてなんだが、おそらく、あいつは何かを知っている。だから、吐いてもらうしかないよな」
「まぁ、その方がこちらとしても捜査に大きな影響を催すからな。しかし、昨日は吐いてくれなかったんだろ?」
「あぁ。おそらく、このまま聞き続けても、あいつは『知らない』の一点張りだろう。だから、考えたんだが・・・拷問はどうだ?」
「拷問、か。たしかに、情報を引き出すにしては最もいい方法だろう。しかし、我々は警察だ。市民を代表して、法律の下で事件に携わる存在だ。そんな存在が、拷問という、人権侵害に関わる行動をするのは、どうなんだと思う」
「別に。人殺してる時点で人権なんかないだろ。この世界においての基本的人権の定義、ちゃんとしってるのか?」
「ま、まぁ。これでも警視監長だ。それくらいは把握してるさ。しかし、拷問は差別と同じだ。だから、そんなことは流石に許されないんじゃないか?」
「だったら、俺が拷問を行うよ」
「は?話聞いていたか?」
「俺は、警視監長であるお前と知り合いなわけだろ?」
「そうだな」
「俺は、警察でもない。探偵を任された、ただの一般人だ。だから、俺が拷問をしたら、もちろん捕まる。しかし、そこでお前の権限を使うんだよ。警視監長の名を使って、俺を釈放してくれ」
「そんな簡単な話じゃないんだよ。もし、俺がそんな勝手なことをして、罪人を釈放したら、社会的に問題にもなるし、まず俺が捕まる。そうなったら、意味ないだろう?」
「じゃあ、裁判で犯人の人権を否定するか?」
「それは人の在り方として間違った方法だ」
「んー、でも、この世界の定義として、あいつの基本的人権はもう守られないはずだぞ?」
一応、説明をしておこう。この世界においての法律の一部、基本的人権の尊重は、人を殺害したり、動物の命を無差別に奪わないものが対象となる。あいつは、人の命を無差別に刈り取った。だから、基本的人権の条件とは対象外となるのだ。
「しかし、拷問はなぁ」
「あのなぁ。これは戦争と同じだ。少しでも情報を抜き出せた方がいいだろ」
「そういうもんか。まぁ、だったらいいだろう」
「そうこなくちゃ」
どうせ、裁判で負けることはないんだ。人間としての最悪の生活源さえ用意すれば文句は言われないだろう。
そうして、結局裁判は勝って、これで自由に拷問を行えることが出来る。進治郎が話を付けてくれて、あの犯人は別の牢獄に隔離することになった。
「おい。おれを隔離してどうするつもりだよ」
「そりゃ決まってるだろ。さぁ、吐け。何かしらは知っているだろう?」
「だから、なんも知らねぇって!!」
「これまで、自殺が多く発見されていたのも、何かしらお前と関係あるだろ?吐かないなら、拷問を行うが、それでいいのか?」
「はぁ?拷問?警察がそんなんしていいと思ってるのか!!」
「裁判で、もう決まったんだよ。それに、お前は関係のない尊い命を無差別に奪ったんだ。そんなお前に、基本的人権は適用されねぇよ」
「ちっ。んだよそれ」
「恨むなら、過去の自分を恨め」
そう言うと、そいつは不機嫌そうな態度を取った。なんで、全部こいつが悪いのにこんなにも不機嫌になるのだろうか。あんなことをしなければ済む話なのに・・・。
「まぁ、そういう思考に陥ってしまったからなんだろうな」
結局は、人を殺す衝動に襲われなければ、そんな思考になることはないのだ。
「とりあえず、俺もそんな鬼じゃない。最低限の飯は用意するよ」
「んで、拷問は一生続けるのか?」
「まぁ、そうなると思う。ただ、お前が情報を吐けば、拷問は終了するよ。しかし」
「わかっている」
どちみち、こいつが人を殺めた事実は変わらない。拷問が終わったあとは、死刑が宣告される日を待つだけだ。
「あぁ。いつから、俺はこうなってしまったんだろうか・・・」
これが、犯罪を犯した人物の末路だ。自分の欲望だけで動いてしまった結果、人生を棒に振ったことを後悔するのだ。数々の世界を生きてきたからわかる。結局、どの世界に行っても犯罪者の思考は同じなのだ。
「はぁ。どうせ、俺は近いうちに死ぬんだろ?」
「そうだな」
「はぁ。わかったよ。しっかり、自分の罪を償って最期の刻を生きるよ」
「そうしてくれると助かる」
あとは、こいつから情報を抜き取るだけだ。
人間という生物は、醜い。口だけだったら、平和を願うことなんて、誰でも出来る。結局、人間は自分の欲望でしか動いていないのだ。だから、大体の人間は後悔を知るのだ。
「平和な世の中・・・か」
この世界では、実現は難しいだろう。全ては、元凶を潰すまで___。




