行動
それからまた翌日も、自殺者の報告が出た。連日引き続き、また自殺者だ。今回も、首吊り自殺。本当に、そんなわけがあるか?連日、死亡者数が続出しすぎて、もう早くも例年の自殺者数を上回った。だから、本当にはやくどうにかしないといないのである。
「流石に私も思ってきましたね」
「まぁ、そうだろうな」
警察だけでなく、日本国民もそろそろ異変に気づく頃だろう。流石に、これだけ自殺が多いと疑問を持たざるを得ない。それでも、まだ他殺の手がかりさえ見つけられていない。やっぱり、この仕事は俺には合ってないんじゃないだろうか?俺はずっと一人で行動してきたから、誰かと動くと制度が落ちてしまうのだ。だったら、
「夜、俺だけで調査してみるか」
そうして、夜になって、警察は操作を取り上げた。結局、今日も成果はなしだった。やっぱり、数日操作を行っても犯行の糸が残らないくらいだから、相当のやり手なんだろう。
「今日は、満月か」
天には、輝く月の光が写っていた。というのに、恐らく今日も空の下では事件が起きるのだろう。まず、俺は推測から始めた。基本的に、事件が起きる場所はバラバラだが、最近は関東の方に集まっていたりする。異能力があれば、探索は簡単なんだが・・・
「前世で、封印してしまったからなぁ」
まさか、こんな世界に来るとは思ってなかった。まぁ、そうだよな。俺の転生先を決めるのは、創世者だ。たしかに、前世で怪しい発言はしていた。なのに、俺は未来からやってきた息子たちの罠にまんまと嵌められたわけだ。その結果が、
「面倒くさいことになってるんだよなぁ」
さて、そんな後悔もしつつ、おそらく事件が起きるであろう場所にたどり着いた。普段は、民家で行われていたが、今回はおそらくこの公園で行われるだろう。人が殺害をする場所は、だいたい決まっている。人目につかない場所。つまり、民家であったり、路地裏。山奥とかの可能性が大いにあり得るってわけだ。そして、この公園は山奥にある、人目につかないような場所。過去の殺害経路に何かのメッセージがあるわけではないが、最近は山奥の民家で行われていたことから、ここだろうと推測した。さぁ、犯人はやってくるのか?と、僕が待ち構えていると、
「お、誰か来たな」
俺の予想通り、ここに誰かやってきた。でも、なにかがおかしい。
「あれは、何かを持っている?」
そのように見えた。大きな人影と、丸い何か。一体、なんだろうか・・・。と、その姿が見えるまで待ち構えていると、
「は?な、なんでここに・・・!!」
「ほう、そういうことか」
俺の勘通りだった。
「一応、聞くこととしよう。その、手に持っている物はなんだ?」
「う、うるせぇ!!しかし、見られてしまったら、もう仕方ない。ここで始末するしかないようだな」
わかる。形で、わかってしまうのだ。ソイツが、手に持っていたのは・・・被害者の生首だ。
「残念だったな。お前さんよ。お前にはここで死んでもらう」
「ふーん。そっか」
するとその刹那、
「っと!!あぶねぇな」
ポケットから武器を取り出したそいつが、俺に襲ってきた。
「なんで避けれるんだよ!!」
「んー。お前に知る必要はない」
しかし、お前がそうやってくるのなら、
「これは、正当防衛だよな?」
おれも、ポケットからソレを取り出した。
「はぁ?お前、馬鹿にしてんのか?それはなんだよ」
「見たらわかるだろ。タバコだ」
「それが護身用のアイテムか?笑えちまうぜ。あ、そういうことか。死ぬ前の最期の一服だって言うのか。ふーん。じゃあ、ひとつ提案をしてやろう」
「なんだ?」
「命乞いをするなら、その命を救ってやらんでもない」
優しいやつだ。しかし、俺にそんなものは必要ない。何故なら、
「喧嘩売る相手を間違えたな」
俺が動き出した瞬間、何かが切れる音が聞こえた。
「いっ・・・!!お前、何をした!?」
「このくらいにも反応できねぇのかよ。それでも、本当に殺し屋か?」
「うるせぇ!!」
そう言って、そいつは突進してくる。それだけじゃ、俺を倒せるわけねぇだろ。
「うがぁぁ!!」
ものの数秒もたたないうちに、そいつは返り討ちにあった。
「喧嘩売る相手を間違えたんだよ。さぁ、それじゃあ。情報を吐いてもらおうか」
武器を投げ捨てて、そいつのことを倒した状態で馬乗りになる。
「んだよ!!お前、サツだったのか!?」
「さぁ。どうだろうな」
「お前に吐くことなんてねぇよ!!」
「豚箱に投げ出される前に最期の言葉くらい吐いたらどうだ?」
「うるせぇよ!!・・・って、なんで拘束が解けねぇ!!」
「俺の力に勝てると思うな。はやく、情報を吐け」
「だまれ!!!俺は、なにも知らないんだ!!」
はぁ。埒が明かない。そうだ。別に、死なさなければ、こいつからなんだって聞き出すことは出来る。だったら、
「よし。豚箱に行くぞ」
「い、いやだ!!死にたくない!!助けてくれ!!!」
関係のない人の命を奪ったカスが、今さら命乞いだなんて・・・。
「恥ずかしい」
やはり、人間という生き物は醜い。そう、実感した日だった。




