最終話『世界最強が敗北を喫した』
「俺は、俺は・・・!!」
俺の中の何かが、沸々と沸騰している感覚を覚えた。本当に、キレている感覚だ。そりゃそうだ。彼女が、なんでこんな残酷な死に方をしないといけないんだ。
「死ね。カズ」
そうして、俺は異能力を発動させた。のだが、
「全て、準備は整っている。融合異能力は、まだ続いているんだぞ?」
その瞬間、見えない速度で何かが俺の体を襲った。
「は?どうして・・・」
「天使と神の融合だ。勝てると思うな」
次々と、攻撃は繰り出されていく。何度も、また何度も・・・。
「っ・・・がぁ」
気づけば、血を吐き出していた。
「世界最強、お前はもう、ここまでだ。これ以上、戦うことは出来ないだろ?」
「い、いや・・・!!俺は、まだ、いける!!」
「ふーん。そっか」
また、また・・・。分身を!!
「もう、いいよ。楽になりたいでしょ?はやく、楽になりなよ」
刹那、そいつの右手には霊魂のようなものが湧き出ていた。あいつの、固有スキルか。だが、俺はもうそんなのにも負けない!!
「世界最強を、なめるな!!」
脳の血管が千切れてもいい。人格が死んだっていい。俺は、俺の全てを引き出す。
「陽ノ神・廻転!!」
俺のナイフの先端からは、炎が吹き出し、名の通り、円を描くように廻転して、俺はカズへ突進した。
「うわぁぁぁぁ!!!」
おもいっきり、ナイフを振り回す。腕の腱が千切れそうになりながらも、そのナイフを振りきる。
「千変万化!!」
炎は青紫の炎に変化し、先端はカズの眼球の目の前へ持っていかれた。突き刺せ!!ここで、仕留めるしか・・・!!
「っ・・・!!」
何か、してくるだろうとは思った。しかし、カズは何もせず、俺の攻撃を受け入れた。
「・・・は?」
何が起こったか分からなかった。俺の視界に映り込んでいたのは、カズの目からダラダラと滴り落ちる血。
「な、なんで・・・」
「そりゃ、避けれなかったからだろ。やるじゃねぇか」
なんで、防御をしなかった?俺と互角のこいつなら、あれくらい止めれたことだろう。なのにどうして・・・。
「ガハッ・・・」
あぁ、限界を迎えた。で、でも・・・立ち上がらないと!!
「よく、立つね。もう、起き上がる体力もないのに」
「これは、世界最強の根性だ。なめるなよ・・・!!」
また、無理矢理異能力を放つ。出せ!!出せ・・・!!隻眼を、出せ!!でも、どうしたらいいんだ?封印を解かないと、俺の隻眼は発動することが出来ない。となったら、根性だ。出せ!!はやく、出せ!!
「大和!!一旦俺に任せろ!!」
「進治郎!!あぁ、任せたよ!!」
進治郎が応戦してくれている間に、なんとかして討つ術を繰り出さないと。どうしたら、いい?どうしたら、勝てる?いや、もう。とにかく戦いに行こう。出来るだけ、あいつに傷を負わせるんだ!!
「火龍炎天!!」
正直、腕はもう震えている。でも、このナイフを今落としてしまったら終わりだ。だから、俺は落とさないように強く握りしめる。
「あぁぁぁぁ!!」
口から、そんな唸り声が漏れる。でも、やらないと!!
「いけ!!炎の龍!!」
「グワァァァァァ!!!」
「くっ・・・!!霊壁!!」
龍が吐いた炎の柱は、その霊壁さえも破って、カズに命中した。
「いった・・・」
「や、やった!!傷を与えた!!」
「ははっ。やっぱり、やるねぇ。でも、もういいよ。そこにいるー・・・えっと、なんだっけ?進治郎・・・と、言ったか?少し、二人で戦いたいから、眠っててくれないか?」
「・・・は?」
刹那、進治郎は突然倒れた。
「何を、した・・・!!」
「俺は、元々キミと戦う予定しかなかったんだよ。君以外の有象無象に、興味はないんだよ」
「だったら、俺が仕留めてやるよ!!」
見せてやろう・・・世界最強の実力を・・・!!壊れても、稼働し続ける世界最強の底力を・・・見せてやろう!!
「雷神!!」
ナイフに、電気を宿す。バチバチと、音を立てて稲妻が走るのが見える。
「本当に、これがラストだ。本気でかかってこい!!」
そう言いながら、俺から動き始めた。ただ突進するだけではもう手は討たれてしまう。だから、
「ふんっ!!」
俺は地面を強く蹴って、宙を舞った。
「垂直落下!!」
光の速度で、そいつの脳天を狙う。いけ!!やれ!!
「もう、遊びたくない。大和くん。キミは、世界最強だったんだよね」
「・・・は?」
刹那、異能力の威力が弱まった。何をしているんだよ!!はやく、出せ・・・って、
「異能力が、発動できない」
どうして?体力切れか?・・・いや、違う。この臭いは・・・。まさか。
「しっかりかかってくれたようだね。それじゃあ、初めての”負け”を経験してもらおうか。『世界最強』君」
刹那、俺でも目にしたことがない異能力が発動される。
「超改波動砲」
その爆発は、一瞬の隙も与えなかった・・・。
俺が目を覚ましたその瞬間、信じがたい光景が俺の目を焼きつけた。
「・・・は?」
その瞬間、爆発が起こっていた。そして、その爆発の中心には、無叶大和がいて・・・。そして、辺りを砂塵が覆った。
「いや、まさかまさかまさか!!」
だって、大和は世界最強なんだぞ?まさか、負けるわけが・・・。
「ない、よな?」
そう思いながら、砂塵がなくなるのを待つ。祈りながら、待って。待って、待って・・・。そして、砂塵が解けた先には・・・。
「・・・・・・え?」
地面にこびりついた血が、視界に映った。どこかに、逃げただけだと思っていたのだが・・・。それは、すぐに否定された。俺のすぐ後ろから、ベタ・・・と、鈍い音が響いた。恐る恐る、後ろを覗いてみた。すると、そこには・・・肉片が落ちていた。
「それが、証拠だ。世界最強が敗北を喫した瞬間だよ」
「お前・・・!!」
「あぁ。もう。いいよ」
「・・・は?」
「俺の目的は、あいつなんだよ。無叶大和なんだよ。だから、いいんだよ。もう。この世界には、飽きた。俺の目的は、達成された。だから、もういい」
刹那、世界が閃光で埋め尽くされた。
「世界は、次期に終わる。もうこんな世界なんかいらない。俺は、この世界の悪役だ。だから、もういい」
さぁ、やることはすべてやりきった。俺も、自決するとしよう。
「跳ね」
無駄に発現させたナイフで、俺は自分の首を切った。その、最期の瞬間に世界を見上げる。あぁ。これで終わるんだ。来世へと、繋ぐことが出来るんだ。
「さようなら。世界」
はやく、転生をするべく・・・俺は目を閉じた。
世界最強は、敗北を喫した。おれ自身、初の敗北だ。
「あぁ。終わっちまったか」
為す術もなく、カズによって世界は滅亡した。
「最期にやったな。あいつ」
既に天に昇りきっていた俺は、天界から世界を見下ろす。
「来世は、こうならんことを望む」
もう、戦うのはごめんだ。なんせ、異能力がないから。
「はぁ。疲れた」
流石に、頑張りすぎた。さぁ、次の世界まで眠るとしよう。そうして・・・・・・・・・・・。
『世界最強は、初めて敗北を喫した』
・無叶 大和
・陽村 進治郎
・新城 知夏
・X 神童 カズ
・死刑囚の男・ボスラー
・死刑囚の女
・ラフ・ソフィア
・創世者




