とある組織
「ふふん。警察は馬鹿だねぇ」
なんで、もっとはやく異変に気付かないんだろうか。こんなこと、すぐ考えたら分かるだろうに。
「パンパン」
「はっ」
俺が手を鳴らすと、部下がやってきた。
「次の家もしっかり頼むよ」
「はい。仰せのままに」
そうだそうだ。自己紹介がまだだったな。おそらく、知っている人もいるんじゃないだろうか?俺の名前は、神童 カズ(しんどう かず)とある組織を運営する組の長だ。この世界において、俺は世界征服を目指していた。それには、理由がある。
「どこに行ったのかね。大和は」
・・・無叶大和。前世で、俺の友達だった人物だ。俺は、自分が転生をしたことを知ってから、この世界の理について気付いた。人は、必ず輪廻転生する。つまり、その事実からして、無叶大和という人間は必ずこの世界に存在する。ただ、俺は、
「ボス。今回は3人殺めてきました」
「そうか」
大和に出会うためなら、なんだってする。だから、大きな目的として世界征服を掲げる。この世界で、大和がどんな役職に就いているかはわからないが、世界征服を行ううちに大和に出会えるかもしれない。まぁ、出会ってから何をするかはわからないが。
「ノルマ達成だ。明日も頼むぞ」
「はい。ありがとうございます」
正直、人を殺す意味はあるのかと思ってしまう部分はある。あくまで、俺の本来の目的は大和に出会うことだ。だから、無差別な人間を殺める必要はないのである。しかし、
「人は、醜いもんだからな」
すくなくとも、前世はこんな醜い存在じゃなかった。だというのに、
「でも、それだったら。殺してもなんの罪にも問われないか」
だったら、いいだろう。
何故、俺がこんなにも人間を醜いと思うようになったのか。遡ること、10年ほど前。
当時、俺は小学3年生だった。
「お前きたねぇな!!近寄るなよ!!」
この世界で、俺は貧乏な家庭で育った。飯を食うこともままならないような、なんとかして生活をしていたくらいには貧乏だった。それであって、小学校時代はいじめられていた。ある日、いじめが先生にバレて、
「いったい誰なんですか!?主犯者は!!やっていいと思っているのですか!?」
教師は、そうやって怒鳴った。
「先生!!本当にこのクラスにいじめがあると思うんですか?」
いじめの主犯格がそう言った。
「この半年間、ずっと仲睦まじい光景が広がっていましたよね?それでも、いじめがあるって思うんですか?」
「たしかに、そうね。青葉君が言うことなんだもん。そんなはずないよね」
いじめの主犯格、青葉は先生のお気に入りの生徒だった。それもあって、いじめ疑惑は完全に否定されたのだ。人は、自分が救われるためならなんだってする。偽りの事実を創り上げる。本当に、醜い存在だ。
「何が、楽しいのやら」
正直、こんな世界なら生きている意味だってない。唯一の生きる糧は、大和だ。あいつにさえ出会えれば、もうなんだっていい。この世界で俺は、悪者だから、罪を償って死んだっていい。どうせ、人は輪廻転生を繰り返すから。
「そうだ。いっそのこと、部下に捜索させるか?」
その方がはやいんじゃないだろうか?俺だって、はやくこんな人生終わらせたい。だったら、はやく大和に会って手っ取り早く死んだ方がいいんじゃないだろうか?いや、でも。
「まだ、面白さを求めてもいいかもしれない」
前世から、求めていたもの。それが面白さだ。せっかく人として生まれたなら、人生の面白味を感じてから死にたい。だったら、まだ警察の動きと、大和の動きを観察しながら過ごすのも悪くないか。
「ふふっ。楽しみにしてるよ。大和くん」
いつか出会うときには、楽しくお喋りしようね。
それから、何日が経っても自殺は続いた。なんでこんなにも自殺が多いんだろうか?それも、自殺の手口は人によって違う。統一して首吊りなら、他殺の可能性は高くなる。しかし、自殺の仕方も異なり、指紋検証しても被害者の指紋と一致するのだ。中々、手口が見つからない。唯一統一されているのは、夜に死亡が確認されたことが多いということ。それも合間って謎で仕方がない。
「他殺だとしたら、相手は相当なやり手であることがわかるな」
「でも、流石に厳しいんじゃないですか?1日一人ずつ自殺者が出ているならまだ他殺の可能性も疑えますが、多い日は1日5人以上に昇るんですよ?それに、各都道府県で自殺が確認されていますから、一人で全部やるのは流石に無理があります」
たしかにそうだ。異能力者であったら、まだなんとか出来るかもしれないが、この世界に異能力者がいるはずがない。だから、その可能性が完全に否定されるのだ。しかし、犯行に及んだ人数が1人ではなかったら。もし、集団で犯行に及んでいたら、1日で5人は可能である。しかし、一人一人が中々に離れている。仮に、とある組織があって、部下に命令を下して犯行に及んだとしても、拠点に帰るまでの時間がある。それを、全て1日で終わらすと言うのか?
「だめだ。わからん」
可能性が広すぎて、推理がうまく行かない。
「そういうことか。創世者」
前世で、創世者が言っていたことがわかったような気がした。




