開戦
その時、俺の名前が呼ばれた。・・・と、同時に、その刹那。
「・・・は?」
さっきまで立っていたはずの進治郎と知夏が、倒れていた。
「まぁ、戸惑うだろうね。だって、彼らは世界最強じゃないから。俺の圧に押されて気絶しているんだろうね。・・・今は、そんなことはどうでもいい。大和君。久しぶりだね」
「は、はぁ?久しぶり?誰だよ、お前」
「そうか。声だけじゃわからないか。じゃあ、顔を見たら分かるかな?」
その瞬間、そいつが素顔を露にした。
「・・・は?な、なんでお前が!!」
「おぉ、覚えてくれてたんだ!!」
そいつは、見覚えがあった。だって、前世で出会っていたから。
「ずっと、会うことを楽しみにしていたんだよ。夢叶大和君。数千年ぶりに会えて嬉しいよ」
「なんで、お前がこの世界にいる」
「そりゃあ至って単純だろう。俺は、転生をしたからだ」
・・・神童 カズ。前世で、俺の親友となった男だ。
「まぁまぁ、久しぶりに会えたんだし。お話しないかい?話したいこといっぱいあるでしょう?」
「あるにはあるが、戦うつもりはないのか?」
「もちろんあるよ。だって、相手は世界最強なんだよ?そんなの、実力を確かめたいに決まってるじゃん」
「じゃあ、質問だ。なんで、俺が世界最強だってことを知っている」
「調べたんだよ。転生をしたから、過去のことを調べたら・・・明らかにお前の情報が書いてある本を見つけてな。最初は、疑ったさ。だって、前世で君と関わっているときに、異能力を持っていたりだとか、世界最強の素振りを見せていなかったから。でも、どれだけ詳しく調べても、情報はたしかに君のことしか書かれてなかったんだよ。だから、その時点で確信したんだよ。君は転生者で、過去のこの世界では世界最強だったんだって。異能力が日常な世界で・・・君は世界最強として君臨していたんだって」
「じゃあ、なんでお前はこの世界で悪になろうとしたんだ?」
「そりゃあ、君に出会うためだよ。世界最強なんだし、どうせ俺がこの組織を発ち上げた理由くらい知ってるでしょ?」
「俺に出会うためか?」
「ご名答。俺が転生している。そして、大和は既に転生者であるから、大和はこの世界にも生まれているんだろうと思った」
「でも、確証がないじゃないか。転生者であれば、必ず転生するのは間違っていない。しかし、同じ世界に転生するとは限らないだろ?」
「ボクは、知ったんだよ。”神”というものを」
「神?」
「あぁ。創世者って言う、神様がいるんだよ。君なら、知っているでしょ?全知全能、この”宇宙”という概念を創り上げた創設者・・・」
「おまえ・・・知ってるのか」
全て、バレているようだった。じゃあ、隠しても仕方ないか。
「あぁ。そうだよ。知ってるよ。そいつの存在を」
「だよね。君は、過去のあの世界で世界最強となった。そんな君が、創世者のお気に入りにならないはずもないよね」
「別に、そんな根拠はないだろ」
「あるよ。だって、君は転生者だから。宇宙を運営する存在だから、転生させるなら気に入られなければ転生なんて出来ないでしょ?」
一部、正解だった。
「前世で、君と僕は出会った。それを、神様が見ていないはずがないよね?どういう原理で僕たちを同じ世界に転生させたかはわからないけど、とにかく出会うように仕組んだって分けだ」
「ちょっと、よくわからなくなってきた」
「そうだね。面倒くさい話はやめようか。ねぇ、大和君」
そのとき、カズが僕の名前を呼んだ。
「なんだよ」
「僕たちは、この世界においてはこれが最期となるんだ。どうせ、後で戦うことになる。そうなる前にさ、最後に思い出話でもしないか?」
「思い出話か?まぁ、いいよ」
たまには、そういうものだっていいだろう。最近、変に動き続けていて疲れていたのだ。
「前世、君がどういう人だったか覚えているかい?」
「あぁ。とにかくモテていたよな」
「モテては・・・まぁ。いたか」
前世、白夢優希と夢川緩涼という人物がいた。俺は、その二人に好意を抱かれており、最終的に優希を選んで、結婚した。
「ほんと、あの頃は幸せだったよ。前世は異能力が日常な世界に生きていたけど、あの世界では息抜きが出来てよかったよ」
「俺が富豪の家に生まれて、優希と俺は許嫁だったんだよな」
「そうだったな」
「でも、そんな優希は、夢叶大和という男子が好きで、最終的に付き合っちゃったんだよな」
「あぁ。そうだな」
「横取りしやがって」
「ごめんって。・・・でも、意外だったな」
「何が」
「あの後さ、3ヶ月後くらいにみぞれとお前が付き合ったじゃないか」
「そんなこともあったな。俺としては、みぞれを選んで正解だったと思う」
「結果、大人になって生まれてきた子供達も幸せそうだったからな」
「あぁ。あれが、一番の正解だったんだろうな」
やはり、前世仲が良かっただけあって、話が弾んでいた。話してみると、懐かしいことが沢山蘇ってくるのだ。
「それが、今世ではこんな世界になってしまってな・・・。悲しいもんだ」
「本当にな。来世は、もっと平和な世界でありたいな」
結局、この世界では優希とみぞれに出会うことはなかったな。まぁ、あの二人にはこんな不幸せな世界に生まれてほしくない。あと、真愛も。
「さぁ。そろそろお話はやめにするか?」
「いつでもいいよ。俺はいつだって、戦う準備は出来ている」
「そうか。まぁ、そろそろやめ時だろう。それじゃあ、世界最強よ・・・。決戦と行こうじゃないか」
「はっ。なめるなよ・・・。相手がお前だからって、手を抜いたりはしねぇぜ?」
「あぁ。お互いに・・・殺し合うつもりで行こうぜ」
前世で親友だった奴と、命運を賭けた最期の戦いをすることになった。俺は、ナイフを突き出して、言い放った。
「始めよう。最期の頂上決戦を」




