最期の戦い
大天使になったことで、一時は敗北の危機へと見舞われたが、状況は一変した。今は、大天使の体は解放され、ソフィアとラフは元に戻った。そして、へばっている今がチャンスなのだ。あいつらを倒すには、
「ま、待て!!それ以上動くなよ!!」
「知るか。こっちも、世界のために戦ってるんだよ」
俺は、ナイフを構えた。何故なら、あの糸をぶった斬るために。そうして俺は、異能力を発動した。
「透視」
すると、先程よりも濃く、赤い糸が見えてきた。俺は、その糸に向かって走り出す。
「本当に待て!!どうなっても知らないぞ!!」
その忠告を無視して、俺は。
「っ!!お前・・・!!やってくれたな!!」
その糸を、切ってやった。これで、一度殺したら復活しないようになった。
「本気で行くぞ。進治郎」
「あぁ。任せろ」
俺は、強い方のソフィアに狙いを定めた。
「はぁ、はぁ。どうせ、これは死亡フラグなんだろ?私は、どうやっても死ぬ未来しかないんだ!!だって、だって・・・。この世界で、お前は世界最強だから。この世界の・・・主人公だから!!死ぬこともないんでしょ!!」
「さて、それはどうだろうな」
実際、正解だ。もし俺が死んでも、創世者は俺を死なせないために復活させてくる。あいつが、その世界に飽きるまで、俺は別の世界に行くための”死”を迎えれないんだ。だから、俺はそういう意味では、死ぬことのない主人公だ。
「だったら、だったら・・・。いいわよ。私の、最期の奮発だ。世界最強と、悔いの残らない戦いをしてやろうじゃないか!!」
「そうこなくっちゃな!!」
そうして、俺たちは同時に異能力を発動させ、それを相手に向かってとき放つ。お互いの異能力がぶつかり合って、互いが打ち消し合いを始めた。
「流石は・・・世界最強。これくらいは容易いご用か」
「まぁな」
「そのくせして、本気じゃねぇんだろ?」
「本気でやっているわさ。俺は、戦いで手を抜くなんてことはしない」
そうしてまた、互いの異能力は相殺し合う。互角なんだ。どこまで行っても。
「あぁ。満足だよ。ずっと、私はボスが世界最強だと思い込んでた。しかし、死ぬ前に・・・本当の”世界最強”を知れてよかったよ」
「死ぬなんて、言うなよ」
「って言っても、私には死ぬ未来しか残っていないんだよ。どう頑張ったって、私は世界の主人公には勝てない。だから、これが最期ってのは分かっている。仮に勝ったとしても、私は時間稼ぎを出来なかった。どちみち、ボスは私たちを圧殺して、死ぬだけだ」
世は、残酷だ。そして、俺が元凶だったりする。世界最強が、創世者という神に気に入られてしまったから。でも、それは仕方がないことなんだ。今やることは、こいつと最後までやりあうこと。
「最期に、私の本気を見せつけてやろう。世界最強には、及ばないんだろうけどな」
「あぁ。見てやるよ」
そうして、そいつは放った。
「異能力展開、天使の一撃」
そうして、目にも見えない速度でそれは、
「うがっ!!」
俺に直撃した。
「はぁ。これでも、死なないんだ。余程、世界最強ってことなんだね」
「これでも、結構食らってはいるんだ」
「もう、おしゃべりするつもりもない。さ、殺して」
全てを諦めたかのように、そいつは手を広げてそう言った。
「もう、やりたいこともない。ボスにみっともない姿を見せて死ぬよりかは、あなたに見られながら殺された方がマシ。はやく、そのナイフで殺して」
「っ・・・わかったよ」
俺は、ナイフを突き出して、異能力を発動した。
「千路切り」
俺が振りかざしたナイフは、しっかりと脳天に突き刺さった。感覚でわかった。・・・即死だ。俺は、天使との戦いに勝利したんだ。しかし、俺はそこで喜んでいる場合じゃない。
「っ・・・」
消えてゆく彼女の体を抱き抱えて、俺は天を見ながら、願った。
「来世は、こいつが悩まなくていいような、そんな平和な世界に転生させてやってくれ」
彼女の体全てが消えるまで、俺は彼女を抱き抱えた。すると、
「・・・え?」
最期に、死んだはずの彼女が、彼女の手が、俺の体に触れた。
「ありがとうな。次出会った時は、こんなことしなくていい世界で会おうな」
そうして、俺が進治郎達の元へ戻ったときには、ラフももういなくなっていた。
「倒したのか?」
「いや、戦っていたら、体が徐々に消えていったんだ」
「なるほど。そういうことか」
おそらく、ボスのテレパシーによって、消されたのだろう。しかし、俺たちは進まないといけない。
「ラッキーだと思うことにしよう。はやく、ボスの元へ向かうぞ」
「あぁ。ついに、最終決戦となるわけか」
ひたすら、森の中を駆け抜ける。走って、走って、走り続けて・・・。すると、ひとつの大きな洞窟が見えた。
「ここが、ボスが居座っているという噂の洞窟ですか」
「おそらく、そうだろうな」
俺たちは、覚悟を決めて中へ入った。今度はゆっくりと、その歩を進める。歩いて、歩くうちに、ひとつの場所へたどり着いた。少し、開けた場所な様だった。そして、その瞬間・・・。
「やっと、来てくれたのか。大和君」




