『神』
刹那、俺の予想以上の事が起きてしまった。赤い糸は消え、二人の体が合体して・・・
「さぁ。始めようか」
そう言い放った瞬間、
「っ・・・!!体が、動かねぇ!!」
見えない何かが、俺を拘束している。しかし、本当に見えない。回避のしようがなかった。まずいまずいまずい。どうしたら、逃げられる?大天使に匹敵するような異能力を解放させるには、どうしたらいい?考えるうちに、そのエネルギー玉は溜まっていく。そして、
「発射」
そのエネルギー玉は、俺を目掛けて飛来してきて・・・
そのとき、聞き覚えのある、”何か”の声が聞こえてきた。
『お前は、まだ死んではいけない。この世界の物語を完遂させるまで、死なないのが約束だろ?』
・・・。分かっている。そんなことは・・・。そんなこと、分かりきっている。だって、俺はこの世界でも、別の世界でも・・・。どの世界に行っても、俺は・・・
『主人公』だからだ。だから、
「異能力、『神』」
俺は、それを発動させた。と同時に、何かが沸々として、沸き上がってくるような感覚がした。
「ありがとうよ。”創世者”」
俺は小さい声で、そいつに感謝をした。あぁ、本当に。あいつがいてよかった。あいつに気に入られていなかったら、俺はどの世界でもただのモブで、こんな状況に置かれても、ただ何も起きず死ぬだけの脇役のキャラクターだった。
「か、神!?何故、その異能力を・・・!!」
そのエネルギー玉が、俺に被弾するその瞬間、
<<バチバチバチ!!!>>
大きな音を立てて、そのエネルギー玉は消えた。
「なんで、消えた・・・?お前は今、何をした?」
「はっ。見えてないのか?動体視力、終わってんじゃねーのか?」
こんな簡単なこと、答えはひとつしかないだろ。俺は、切ったんだよ。そのエネルギー玉を。何故、そんな動作すら見えてないんだよ。大天使なんだろ?それくらい、視認するのは余裕なはずだろ。
「お前たちの方が、弱いんじゃないか?」
「なっ・・・なんだお前!!たまたま生き残っただけで、何故そんなにイキれる?」
「たまたま・・・と言えば、偶々かもしれないな」
だって本来は、生き残れる未来がなかったんだから。しかし、創世者が手を差し伸べたことによって、俺に生き残る未来が創られた。そういう見方で考えてみると、たしかに俺はたまたま生き残ったのかもしれない。
「黙れ。黙れ・・・」
「何を黙れば良い?俺は、何も言ってないはずだ」
「何故。お前は生き残った?」
「あ?そんなの、答えはもう既に出ていることだろ」
俺は、地を思いっきり蹴って、ナイフを構えてそいつの首に向けながら、言った。
「世界最強だからだろ」
そうして、俺はそのナイフを振りかぶす。
「異能力・・・」
そうして、俺はそれを放つ。
「輪月斬り」
「うがぁぁぁ!!!」
しかし、流石は大天使・・・。俺はたしかに首を斬り落としたが、なくなった首はすぐに再生していた。
「はぁ、はぁ・・・。いった・・・」
「痛覚はあるんだな。しかし、良いヒントだ」
こいつは、大天使だ。簡単には死なない。殺そうというのなら・・・
「すまんな。痛め付けることになる」
「はぁ・・・あ?」
手段は、一つしかない。一度、地面に降りてから、
「おい、大和。小人化は使えるか?」
「は、はぁ?小人化?なんで」
「いいから、出来るか?」
「まぁ、出来る」
「だよな。今すぐ、やってくれ」
「わ、わかったよ」
そうして、進治郎はその錠剤を取り出す。そして、それを口に含んだ瞬間・・・
「うっ・・・!!」
進治郎は、小人化した。
「これで、いいのか?」
「あぁ。それじゃあ、早速行くぞ」
「は、はぁ!?どこに!!ってちょ、おい!!」
進治郎が何かを言っているが、そんなこと知ったこっちゃない。俺は手に進治郎を乗せ、そうしてまた地面を強く蹴った。すると、宙を舞い、もう一度大天使の首元まで来た。
「何をしている?はっ。片手に足手まといを乗せて・・・自ら危機的状況に乗り込んでいるじゃないか」
「それは・・・どうかなっ!!」
そうして俺は、もう一度ナイフを構える。同じ異能力を使うのは、流石に予測されているだろう。だから、
「なぬっ・・・!?」
俺は、ナイフを縦にして、
「異能力、半月斬り!!」
刹那、大量の血を吹き出しながらそいつの首は真っ二つになり、
「いってこい!!進治郎!!」
「なるほどな。ようやくわかったよ!!」
俺は、小人化して俺の掌に乗っていた進治郎を、大天使の首目掛けて投げつけた。すると、大天使の首が再生するよりも前に、進治郎は大天使の体内に入っていった。
最初は、なんで小人化しないといけないのかが分からなかったが、大天使の体内に投げ入れられる瞬間に、ようやく理解した。そして、俺が着地したその先には、
「なっ!!なんでお前が!!」
「さぁな。しかし、恨むならあいつを恨めよ?」
「世界最強が・・・くっそ!!なんでこんなにも厄介なんだ!!」
「俺がやるべきことは・・・それか」
そいつらの後ろには、ボタンのようなものがあった。おそらくそのボタンは、大天使化を解除するものなんだろう。
「俺にそのボタンを押させないために、その道を塞いでいるようだが・・・申し訳ないな!!」
俺の異能力は、そんなの関係ないんだよ!!そうして俺は、異能力を発動した。
「異能力、止まれ」
俺が指を鳴らすと、
「っ!!」
世界の時は、止まった。さぁ。今のうちだ。
「や、やめろ!!」
「わりいな。こっちも必死なんだ」
そうして、俺はそのボタンを押した。と同時に、異能力は切れてしまった。しかし、
「よくやった。進治郎」
気づけば、俺は外へ出ていた。そして、俺たちの目の前には、
「っ・・・」
ソフィアと、ラフが倒れていた。




