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Virann  作者: 柴田優生


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18/33

覚醒

それから、異能力を覚えるために試行錯誤してみたわけだが・・・。


「はぁ、はぁ。まだ、体力が上がらないな」


かれこれ一週間ほどは鍛練を積んだが、異能力はおろか、まだ基礎体力さえも向上しない。


「知らない間に、すごく鈍っていたんだな」


こりゃ、取り戻すのも大変そうだ・・・。なんて、思っていると、


<<カサカサ>>


と、何やら近くの草むらから物音が聞こえた。俺は虫だと思っていたから、無視をしたわけだが、次の瞬間。


「異能力、発動」


その声が聞こえて・・・!?



「これで、始末できたか?」


こいつは、見覚えがあった。だから、すぐに俺は始末を開始した。


「元世界最強も、こんなもんか」


前世で、見覚えがあった。おそらく、あいつは覚えていないだろう。俺は、前世であいつに殺された。あのときは、俺はモブだった。異能力もそこまで強くなかった、世界最弱の立場だ。そして、最終戦争に発展したとき、俺はあの男に殺された。今でも、鮮明に覚えている。あの顔、あの風格・・・。そして、今出会って、あのときの男だと確信した。だから、全力を出して異能力を発動させたわけだが・・・。


「大したことなかったな」


さぁ、仕事も終えたことだし、帰ろうとするか。そうして、俺が振り返った、その刹那、


「世界最強は、こんな程度で死ぬような人間じゃない」


聞こえるはずのない声が、辺りに響き渡った。


「は?な、なんで・・・」

「お前も、しっかり自分の口で言っていただろ。俺は、世界最強だ。・・・そもそも、なんでお前が知ってんだよ」

「ちっ」


めんどくせぇ。なんで生きてんだよ。しっかり、致命傷を狙って、そのドンピシャに決まった異能力だったのに。


「俺が生きた理由は、お前と俺の差だ」

「は?俺とお前の差?」

「あぁ。全然ちげぇだろ?だって、お前はモブで、俺は世界最強・・・違うか?」


言っていることは正しい。が、とんでもなくイラついた。


「うるせぇよ!!さぁ、数千年ぶりの戦いだ」

「まず、俺はお前を誰だかすら覚えてねぇよ。まぁ、いいよ。やってやろう。さぁ、異能力者か、生身の人間・・・どちらが勝つんだろうな?」


俺がそう挑発すると、そいつは早速攻撃を仕掛けてきた。


陽炎かげろう!!」


「っ!!っぶねぇ」


そうか。俺は身体能力も下がっていたんだった。なんとか避けることは出来たが、


「かすり傷出来ちまったな」


腕から、微かに血が滴り落ちた。


「そんなんで俺に勝てるのか?」


正直、勝算で言えば60%ほどだろう。流石に、生身の人間が異能力を持っている人間に勝てるわけがない。しかし、相手は元世界最強である俺・・・だから、勝算がまだ不明なわけだ。


「お前が来ないなら、俺がお前をやっちまうぜ?」


そうだな。なんだか、今なら行ける気がする。


「よし、やってみるか」


この感覚・・・いつぶりだろうか。今、俺の胸のうちが沸々と、沸騰している感じがした。それは、何かが浮かび上がってくるような、そんな感覚。


「っ・・・」


少し、横腹に痛みが走った。そりゃそうか。この感覚、久しぶりだしな。しかし、本当にいけるんだろうか?


「まぁ、なんとかなるか」


とりあえず、やるだけやってみよう。俺は、大きく息を吸い上げて・・・


「発動」


そうして俺は、


「ぐっ・・・ぐぁぁぁぁ!!!」

「は、はぁ?」

「いける・・・俺は、いける」


なんとか、力は保っていられる。これも、火事場の馬鹿力・・・というやつだろうか。異能力が、覚醒していた。封印してたはずの、異能力が。


「な、なんだよお前は・・・。異能力、使えないはずじゃなかったのか!?」

「前は。だな。今を見てみろ。俺は今、何をしている?」

「はぁ。意味わからねぇ。ただ、お前が発動させる前に殺ればいいんだろ?だったらやってやるよ!!」


そうしてそいつは迫ってくる。


「出落ちだ。小僧」


俺は、そのナイフを構えて、言った。


「剣義・垂乱すいらん


俺が、そう言い放ち、ナイフを振り下ろした瞬間、


「うがぁぁぁ!!!」


目の前にたっている男から、断末魔が聞こえた。鈍い音を立てて、そいつの体が切れた。


「俺に勝てると思うな。なんせ俺は・・・」


一泊を置いてから、俺は言い放った。


「世界最強だからな」


俺は、そう言い捨てて、その場から離れるのであった。

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