異能力を取得するには
これは、もう二度と、起こり得ることのないと思っていた世界の話。
世界は、戦争の世の中というのが日常と化していた。あちこちで、異能力という能力が駆使されて、殺し合いを行う日々。平和、なんて言う文字はなかった。だって、戦争して頂点を決めることが当たり前だったから。
しかし、そんな世界は変わって、気づけば一人の人間が、世界の頂点に立っていた。その男は『世界最強』と唱われた平和主義者で、元々は異能力という概念すらなかった無能力者だ。しかし、そんな人間がなんで頂点に立てたのか・・・。それは、世界を1個跨いだ今、その理由について追跡していた。
「おい、大和」
「あ?どうした?」
こいつは、陽村進治郎と言う。こいつは、俺が初めて生きた世界で幼馴染だった奴で、異能力が日常と化した世界で最期に戦い合った敵だ。だが、現在こいつは警視監長という、警察官の中でも最高ランクの役職に就いている。
「そんなに悩んだような顔をして・・・。どうしたんだよ」
「あぁ。自分は、異能力を封印したわけだろ?でも、封印をしただけで、覚えれないというわけではない。だから、あの世界にいたとき、どうやって異能力を覚えたか。それを今思い出しているんだよ」
「あ、そうか。その手があったのか!!」
そうなんだ。わざわざ、封印した異能力を解除するよりも、覚えた方が手っ取り早いのだ。しかし、
「もう忘れちまったんだよな。だから、そこが懸念点なんだよ」
「なるほどな。まぁ、俺はまだ異能力が使えるわけだし、教えてやることも出来なくはないが?」
「いや、それもまた難しい話なんだよ」
「それまたどうして」
「お前も知っている通り、俺の隻眼は、俺の父親から受け継いだ異能力だ。つまり、代能ということだ。代能は、先祖代々伝わる異能力の事だから、隻眼以外の異能力を覚えれる気がしないんだよ」
「そうか。お前が取得していた異能力は全て隻眼の派生のものだからな」
だから、わからないんだ。代能の異能力者が、全く別の異能力を取得できるのか。あの世界を生きた俺でも、そのことは試したこともなかったからわからないのだ。
「でも、やってみる価値はあるんじゃないか?」
「まぁ、何事にも挑戦だよな」
結局は、どんなことにも挑戦は必要不可欠のものだ。人が、言葉を発するようになったのも、2本足で歩くようになったのも・・・。必ず誰かが、挑戦をし始めたからだ。
「で、何を覚えるつもりなんだ?」
「そうだなー」
俺が取得していた異能力の系統が、炎系と、水系だったはずだから・・・そうだな。
「星とか、変わった系統のもの覚えてみるか?」
「星かぁ。例えばどんなものがある?」
「そうだな。彗星とか、アマテラス流星群とか、光線系だったか?」
「それ、全部取得が難しい異能力じゃねぇか」
そこも問題なんだ。まず、体力が有り余っているかどうかの話。
「ま、やってみるといいさ。お前は世界最強だったんだ。お前ならいとも容易く取得することくらい出来るだろ」
「買い被りすぎた」
しかし、やってみないとわからないことだからな。一度、やってみるとしよう。
それから、絶対に誰にも見つからないような裏山に来て、
「本当に、異能力を発動することはできないのか?」
そう思って、俺は一度構えをしてみた。しかし、
「本当に出来ないようになっているんだなぁ」
だが、微かに異能力を発動させるための異能力細胞は残っているようだった。なんだが、そんな感じがした。
「まぁ、なんとかしたらいけるだろ」
隻眼は無理でも、頑張って彗星くらいは覚えるか・・・。そうして、何度か異能力を発動させるために頑張ったわけだが、
「っ・・・はぁ、はぁ・・・。体力なくなりすぎじゃねぇか」
ひとつも異能力を発動させることが出来ないし、その割には体力はすごく落ちている。もしかして、一度世界を跨いだからか?その、跨ぐ間に眠っていた期間が長すぎて、異能力を使うための体力がなくなったんだろうか。
「これは、基礎から積まないといけないか」
また、あの面倒な修行をしないといけないか?そういえば、俺が初めて異能力を発動したとき・・・。ワンチャン死ぬかもしれないという状況に立たされた時に突然覚醒したんだっけか。
「ただ、危機を感じるにはどうすれば良いだろうか」
世界最強にもなった今、一応異能力と同時に生身状態の身体能力も上がった。それと、うまれつき剣術が得意だったわけで、ナイフ一本でもなんとか太刀打ちできるほどの実力はあったりする。
「とりあえず、異能力に集中するか」
強力な異能力を覚えないと、組織に勝つことは出来ないからな。
そして、俺は久しぶりにそこへやって来ていた。
「なんだか、久しぶりだな。ここに来るのは」
「何言ってんだ。昨日も来て、俺に拷問したじゃねぇか」
「そんなことあったか?」
「あんた、それでもほんとに警察か?」
「いや、違う。俺は警察じゃない。探偵だ」
「どちみち警察と一緒に捜査してんだろ。だったら、警察と同じようなもんじゃねぇか」
「で、だ。そろそろ情報は吐かないのか?」
「吐いたところで、もう全部知ってるんだろ?」
「まぁな。あの女から全部聞いたから」
「だったら、俺から引き出す意味もないだろ」
「さぁ。知らねぇ。これは約束だ。吐かないって言うんなら、俺は拷問をし続けることしか出来ない」
俺だって、正直この行為に意味はもうないと思っている。ただ、仕方ないことなんだ。と、俺は自分にそう言い聞かせることしか出来ないのであった。




