『異能力』とは?
次の日、また殺人事件が起きたらしいので、久しぶりに現場に向かってみると・・・。
「っ!!これは・・・」
見覚えがある。この女の顔。何故なら、つい先日見かけた女だからだ。そいつは、殺人を犯した犯罪者で、そして組織の情報を吐いたから代わりとして釈放させた女だ。つまり、つまり・・・だ。
「むごいことをするんだな」
おそらく、指示を出したのは組織のボスだろう。まぁ、考えた内容は大体わかる。しかし、
「これは、やりすぎなんじゃないだろうか」
首を切断するなど・・・あまりにも残酷だ。
「危うく、私吐くところでしたよ」
「でも、今回の殺人はいつもと違ったタイプだ」
何故なら、組織の人間が殺されているから。しかし、どうしようか。アジトの場所も、組織の情報も大体は聞いたが、俺は無能力者だ。ボスが異能力の使い手であるなら、俺に勝てる見込みはない。
「そうですね。おそらく、これは組織の人間が殺された感じですよね」
「だな」
自分の組織の人間を殺すくらいだからな。それほど本気ということだろうな。しかし、もし抗争に発展したらどうするのだろうか。警察側に、異能力を扱える人間はおそらく進治郎しかいない。そして相手は、異能力者の集まり。そんな状況の中で、我々警察に勝てる見込みはあるのだろうか。
「いや、今は、そんな話をしている場合じゃないか」
まずは、進治郎に話をするべきか。そうして俺は、警察署へ向かうのであった。
数分かけて、警察署へと到着して、
「おや、大和じゃないか」
「奇遇だ。おい進治郎。話がある」
「なんだい?とりあえず、署長室に来てもらおうか」
そうして署長室まで歩いて、
「それで、話ってなんだ?」
「俺が話した組織の内容は覚えているな?」
「あぁ。アジトの場所や、組織の内部情報のことか?」
「そうだ。それで、俺たちはもう既に組織の場所の突き止めは終わっている。しかし、わかるな?」
「あぁ。組織の人間は異能力の使い手で、我々の勝ち筋はほとんどない・・・」
「そうだ。それで、異能力の方はどうなんだ?」
「あぁ。そういえばそうだったな。一応、異能力は放てるそうだ。しかし、転生してから1000年以上の時を経ているから、腕前はすごく落ちていた」
「なるほど。鍛練は積んでいるのか?」
「隙間時間でなんとか練習はしているが、俺も仕事が忙しくてな。中々上達は出来ていない」
「まぁ、仕方ないか」
しかし、こいつ一人で組織の異能力者に立ち向かうつもりか?こちらには、一応銃といった武器があるが、流石に異能力者の肉体に効くかと言われたら、それはわからない。捨て駒の中でも、最下層のレベルだったら通用はするかもしれないが、異能力者ということは、自然的に肉体も常人離れした身体能力とタフさを持っている。だから、もしかしたら銃ごときの威力じゃ歯が起たない可能性がある。それが、幹部以上の異能力者となれば。
「俺に、考えがある。しかし、それは最終手段だ」
「なんだ?教えてくれ」
「それは、警察官全員が異能力を覚えること」
「本当に最終手段だな。しかし、それは出来るのか?」
「おそらく、出来ると思う。しかし、これは賭けだ」
もし、今の世界が異能力に対応していなかったら終わりだ。
「この世界は、俺たちが生きていたあの異能力が常識の世界と同じ世界だ。だから、もし当時と今が変わっていなければ、無能力者でも異能力が覚えられるはず」
それは、細胞の話だ。当時は、微かにでも異能力の魂が宿っている『有能力者』と、1ミリも異能力の魂が体に宿っていない『無能力者』の二つが存在した。
「もし、世界が変わっていないのであれば、そこらへんに生きている人間でも異能力を扱える可能性を秘める人間がいることになる。しかし、あくまで魂とは言ったが、『異能力』というものは細胞だ。元は魚類しかいなかった世界から形質が変化して行き、やがて哺乳類が生まれたように、長い年月が経てば異能力細胞も変わっているかもしれない。それが、人間は異能力細胞を持たない生物に。だったら、なんで組織の人間は異能力を持っているのか。そこで、矛盾が生じるだろう。しかし、考えられる事が二つあるのだ。
一つは、『代能』。代能は、その文字通り、どこかの代で途切れない限り、永遠的にその異能力は継承されていくのだ。そう、永遠的に。だから、もし組織のボスが代能で異能力を引き継いでいるなら、他の代能と結婚をして、異能力の遺伝子同士を結合させて、新たなる異能力者を産み出したという可能性だ。
そして二つ目は、『バグ』だ。ゲームをやったことがあればわかるだろう。それは、システム障害だ。ネットの回線やゲームの設定の不具合で、不可解なバグが発生してしまうこと。それに、この世界は創世者が設定をして、運営している。だから、バグが起こってもおかしくないのだ。バグにより、何故か異能力を宿した人間が生まれてしまい、その人間たちが結託して、群がっている可能性」
「なるほど。しかし、どちらにせよ・・・。それまた面倒くさい話だな」
「まぁ、結局はそれに変わりはない」
しかし、あちらが異能力者で固めてくるなら、こちらもなにかしら対策をしないといけない。
「はぁ。どうしたものか・・・」
俺は、そうため息を吐くしかないのであった。




