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Virann  作者: 柴田優生


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処刑

俺の計画は、順調に進んでいた。しかし、やればやるにつれて、人を殺す意味が見出だせなくなってきた。俺がやっていることは、結局昔のいじめに対する逆襲。それを、関係のない人類を巻き込んでいるだけだ。俺の本当の目的は、無叶大和に会うこと。だったら、素直に会いに行けばいいだけの話なのに・・・何故俺は、こんな悪行を行っているのだろうか。

「ま、なんだっていいが」

どうせ、人は輪廻転生を繰り返す。俺が、また転生を繰り返した理由は、神様が俺を気に入ったからであろう。そして、俺にも数々の経験を積まさせてくれたのだ。

「ボス。報告です。あの捕まった捨て駒の女を知っていますか?」

「あ?知らない」

実を言うと、知っている。だって、部下が失敗を犯したから。だが、警察相手に捕まるような無能の名前を覚えたってなんの意味もない。だから俺は、極力忘れるようにしている。

「どうやら、あの女が釈放されたそうです」

「ほう。そうか」

つまり、何か裏があるっていうことだな?

「じゃあ、任務だ。その例の女が釈放された理由を、突き止めてこい」

「はっ」

そうしてその部下は、どこかへ消えていった。

「さて、どうしようか」

警察が、なんの理由もなしに人殺しを犯した犯人を釈放するはずがない。

「この組織の情報をばら蒔いた・・・とか」

ありそうだ。聞く話によると、我々組織の存在は、警察に知られていないらしい。つまり、他殺であることは判ったけど、それが何者かによって行われた犯行というところまでは判っていない。そして、情報を欲しがる警察は、何らかの方法で捕えた犯人から情報を引き出すことにした。その代わりに、罪を軽くして、釈放した・・・とかだろうか。

「じゃあ、あの女次第ということか」

別に、組織の存在がバレることはそんな重大なことじゃない。俺の目的が達成されるなら、別に抗争で敗戦しても、組織が壊滅してもなんだっていいのだ。俺の目的は、大和に会うこと。別に、世界征服が目的というわけではない。


そうして、数時間が経過した頃、俺の部下が帰ってきた。

「調査が終了しました。ご報告を行ってもよろしいでしょうか?」

「はいよ」

「曰く、組織の情報を吐くことを代わりとして、釈放を交換条件として現在に至るらしいです」

「ほう。なるほど」

予想的中。と言ったところか。まぁ、俺の本来の目的は部下にバレてはいけない。そして、一応組織の在り方として、邪魔物は成敗しないといけない。

「今、どこにいる?」

「例の女でしょうか。現在の居場所は、まだ特定できていません。申し訳ございません」

「いや、いい。それじゃあ、一応捨て駒にも伝えておけ。その女を探し、捕えて俺の元へ持ってこいと」

「っ・・・。はい。わかりました」

例の女が警察の側についたら少々面倒だ。だから、俺はそんな邪魔物を殺すしかないのだ。

「俺の来世は、どうなるだろうか」

この世界で、俺は完全悪の立場に立っている。来世で俺は、ひどい仕打ちを受けるかもしれないな。

「まぁ、なんだっていい」

神様が、またもう一度俺を人間に転生させてくれるなら、俺はやりたいことをする。俺は、その世界にあった生き方をしていくだけだ。


それから、また数時間が経過し、

「ボス。少々遅れました」

「それはなんだっていい。それで、例の女は持ってきたのか?」

「はい。こちらです」

「・・・」

「そこの部下から聞いた。組織の情報を吐いたんだってな?」

「・・・はい」

「よし。少し二人でお話ししようか。じゃあ、下がれ」

そう言うと、そこの部下は下がっていった。そして、この場には俺とその女の二人が残っていた。

「これが、初めてのお披露目になるか」

そこで初めて俺は、捨て駒に対して自分の姿を露にした。

「ボス・・・。お目にかかれて光栄です」

「もう、慕うな。お前は組織を敵に回すようなことをした」

「はい」

「俺は、一応この組織のボスだ。誰かがこの組織の敵につくというなら、組織の人間であっても殺す義務がある。・・・この言葉の意味がわかるな?」

「はい。覚悟しています」

「冥土の土産だ。死ぬ前に教えてやろう。俺の真の目的は、世界征服じゃない。とある人間に会うためだ」

「とある人間?」

「あぁ。無叶大和という、人間だ」

「それは・・・あの刑務所にいた看守です!!」

「それはもうわかっている。でも、俺からは会いに行かない」

「どうしてですか?」

俺は、事情を全て話した。

「そうなんですか」

「あぁ。だから、俺は部下全員を利用していたのだ。昔いじめに遭った腹いせを行っただけだ」

「ボス・・・」

「もう、事情は全て話した。さぁ、覚悟は決めているな?」

「はい。最期に、謝っておきます。組織のお力になれず、申し訳ございませんでした」

「・・・」

俺は、その謝罪を聞いてから、

「っ・・・」

自らのナイフで、その女の首を断った。

「来い」

「はっ」

「この女を、適当な場所に捨ててこい」

「わかりました」

世界は、残酷だ。そして、俺のしていることは、最も残酷だ。だが、これでいいのだ。こうして、段々と警察にヒントを与えていく。

「はやく、俺を見つけてくれよ」

無能警察官よ・・・。

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