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Virann  作者: 柴田優生


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New Deal

そうして俺は、手慣れた手付きで拷問を始めた。

「毎度毎度思うが、拷問されてて辛いって思わないのか?」

「思わないわけねぇだろ。だったらおっさんが泣きながら叫んでいる姿なんて見せねぇよ。そのくせお前は真顔で拷問するしよ・・・。なんなんだお前は。サイコパスか?」

言っちゃえば、サイコパスなんだろうな。相手は、罪を犯した犯罪者であるが、そんな奴にでも平気で拷問を行っているからな。まぁ、前世も関係してくるから仕方のないことだが。一応説明しておくが、俺は転生者だ。人が死ぬところなんて、もう見飽きるくらいに見てきた。故に、こういうことをしても罪悪感が一切湧かないのだ。

「でも、これは仕方のないことだ。俺からしたら、世界のためにやっていることだから。お前らが吐いてくれるまで拷問を続けるしかねぇんだよ」

「だから、俺は何も知らないっての・・・」

「知らないなら、そのまま拷問を受け続けるだけでいい。結局、お前たちの未来は変わらない」

人殺しを行った以上、こいつらの残された道は情報を吐かずに一生この狭い牢獄で過ごすか、自白して処刑されるかの二択だ。

「どちらにせよ、辛いのは変わらないぞ」

「わかってるよ。俺は、このままでいい」

救ってやりたい。という気持ちは心のどこかにはある。しかし、救いようがないのだ。この二人の犯行は、しっかり俺が目にしてしまったから。

「俺もさぁ、そろそろ疲れてくるんだよ。嘘でもいいからなんか言ってくれよ」

すると、俺がそう言った、次の瞬間、

「じゃあ、交換条件を取り付けよう」

今まであまり口を開けてこなかった女が、突然そんなことを言い出した。

「は?交換条件だ?」

「簡単な話だ。お前が私の命令を聞く代わりに、私が知っている情報を教えてやる。それでいいか?」

「その、お前の命令がどういうものかによって変わってくる。先に、お前からその内容を言え」

「わかったよ。じゃあ、言うぞ」

一泊をおいて、その女は告げた。

「私の命令は、刑期を軽くしてくれ」

「は?出来るわけねぇだろ。どちみち情報を吐いたらお前は処刑なんだぞ?そこしっかり理解しているのか?」

「あぁ。だからだ。私が知っている情報を教える代わりに、刑期を短くしてくれって言ってるんだ」

「くっ・・・どうすれば」

俺は、あくまで探偵だ。だから、勝手な行動は許されない。それが、警視監長が俺の知り合いであっても。

すると、その瞬間。

「よいだろう。その命令、受けてやろう」

廊下の奥から、俺の知っている声が聞こえた。

「は、はぁ!?いいのかよ!!人を殺してる犯罪者だぞ!?」

「別に、情報を吐いてくれるなら我々にとってプラスな状況だろう。だったら、刑期を短くしたところで構わない。仮に、もう一度、こやつが犯罪を起こしたら、その時は容赦無しに処刑を行うから」

「わ、わかった。それでいいんだな?」

「あぁ。だから、大和。その女を一度牢獄から出せ」

「わ、わかった」

言われるがままに、俺はそいつを一度出した。

「じゃあ、ついてこい」

そうして、俺は別の場所へ移動するのであった。


俺ですら、どこかも知らない場所へ着いて、

「それで、約束通り。情報を吐いてもらえるんだろ?」

「あぁ、私は、嘘は吐かない主義さ。お前たちが知りたいことは教えてやろう」

「じゃあ、言ってくれ。お前の知っていることを」

そう促すと、そいつは話し始めた。

「まず、連日の不可解な事件は、お前たちも知っている通り、私だけの犯行じゃない。ニュースで報道されているほとんどが、何者かによる殺害であることが確かだ。そして、その何者かというものは・・・。それは、とある組織が関係してきているんだ」

まぁ、大体予想はついていた。

「そして、私も、その組織に加入をしていた、捨て駒の一員だ。その、組織の名前こそが『New Deal(ニューディール』だ」

「ニューディール・・・」

日本語で、新規巻き戻し。それは、何を巻き戻すのだろうか。

「その組織の名前の由来は、私も教えられてない。けど、組織自体の目的はある。その目的というのが、”世界征服”」

世界征服と、新規巻き戻しになんの意味があるのか。考えられるとしたら、世界を征服して、元々は異能力が存在していた世界であることから、またもう一度異能力が日常と化す世界へと戻そうとしているのだろうか。いや、だとしたら新規の意味がわからない。

「あとは、組織に加入しているほとんどの奴が、異能力の使い手ということだ。ちなみに、私とあの男は無能力者だ」

「やっぱり、異能力者がいるのか」

しかし、どこから異能力者が生まれた?代能しろなうは俺が最期だったはず。そして、世界は繋がっているにしても、もう一度俺が生まれたことから必ずどこかで代能は途切れているはず。それか、他に代能の異能力者がいたのか?

「私が知っていることは、それくらいだ」

「ボスについては何も知らないのか?」

「あぁ。私は何も知らない。まず、ボスは姿を現さない。私たちの階級は、捨て駒だ。ボスが姿をあらわにするのは階級が幹部の人間だけだ。だから、私はまずボスの情報は何も知らない」

「そうか。わかった。じゃあ、刑期を軽くするでいいんだな?」

「あぁ。そうしてくれ」

約束は約束だ。

「じゃあ、釈放だ。次の罪を犯したときには、そのときは・・・」

「覚悟してる」

そうして、情報を吐いたその女は、約束通り縄をほどいて、釈放にするのであった。

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