並行世界線移動
パラレルワールド。それは、本来存在するはずのない世界線の話。別の次元からやってきた人物などのことを、パラレルワールドと言ったりするらしいのだ。そんな、この世界には・・・。
「あった!!」
書物通り、パラレルワールドというものは存在した。あくまで、これは一説をまとめた本でしかないが、しかしあまりにも俺が経験した世界と一致しすぎている。たしかにそうだ。ヒントは、前世から出ていたはずだ。未来から本来産まれるはずのなかった息子達がやってきたのも、それはパラレルワールドが存在したから。俺たちは、数々存在する世界線の中で生きているから。だから、パラレルワールドは存在するのだ。だったら、だったら・・・だ。
「・・・並行世界線移動」
たしか、あのときの世界の異能力にもあったはず。別の次元に強制移転すること。まさか、創世者が俺にかけた呪いもその一種なのだろうか。あの時、創世者が俺にかけた呪いは『輪廻転生異術』それに罹ったものは、ほぼ永久的に死を迎えることが出来ないという呪い。そうして俺は輪廻転生を繰り返しているわけだ。だったら。
「おい大和。どういうことなんだよ」
「たしか、前世ではお前と俺は出会ってなかったよな?」
「は?前世って、異能力の世界じゃないのか?」
やはりそうだ。人は、必ずしも転生をする生き物。だから、前世があれば、今世もある。しかし、進治郎が前世の記憶が異能力止まりとなってくると、矛盾が生じるわけだ。だって、俺は平和な学園生活が送れるほどの世界を前世で生きてきた。
「じゃあ、知らないってことだよな?」
「だからなにが」
「戦争のない、平和な俺が知っている前世を」
「は、はぁ?なんだそれ」
全てが、わかった気がする。
「進治郎。一旦事務所に戻るか」
「は、はぁ?待て待て。理解が追い付かん」
「務所に戻ってから話すから。とりあえず戻るぞ」
「お、おぉ」
そう言って俺らは、図書館を後にした。
そうして事務所に戻った俺は、進治郎に説明を始めた。
「それで、何かわかったのか?」
「あぁ。まず、俺とお前で、生きた前世に違いが出てきているのだ」
「はぁ?違い?何が違うんだよ」
「お前でいう前世は、異能力が存在した世界。しかし、俺からしたら、その世界は前々世なんだよ」
「待って。そういうことか?」
「ようやくわかってきたか?」
「あ、あぁ。つまり、俺の知らない間に、お前はもうひとつの世界を経験したっていうことか?」
「あぁ。おそらくそういうことになる。しかし、そこでまた疑問が生まれてくるのだ」
「今度はなんだよ」
「この世界では、歴史として異能力が存在した歴史があるのだ。その歴史の内容は、あの時の世界と同じ。つまり、地球は滅ばず、俺で言う前々世の世界のまま今世を生きていることになるよな?」
「あぁ、そうだな」
「そして、俺が経験した前世の歴史と、今世の歴史は内容が異なっているのだ。つ・ま・り。だ」
「じゃ、じゃあ。だったら」
「あぁ。チェックメイトだ」
この世界に・・・”異能力は存在するということだ”
「し、しかし。歴史には異能力は滅びたということになるだろ?それに、おかしくないか?お前でいう前々世と今世が同じ世界なのに、じゃあ前世はどうやって生きたんだよ。矛盾が生じているじゃないか」
「俺も、最初はおかしいと思った。だって、世界はまだ滅びてないということはわかったのに、俺は前世をたしかに生きていたから。だが、考えた結果、俺は答えを見出だしたんだ」
「なんだよ。その答えは」
「歴史の書物を見た限り、俺が死んでから産まれるまで、実に1000年以上が経過しているわけだ。だから、その間の千年間で、俺は別の次元で生活をしていたんだろう。・・・いや、別の次元。というよりも、”別の世界線”だ。俺は、前々世で死んでから、何者かによる並行世界線移動で、お前とは違った前世を過ごしたというわけだ。そして、その別の世界線で過ごした世界の中で、俺は別の世界からやってきた息子達から、異能力の封印を促されて、現在に至るってわけだ。そして前世で俺の人生を終えて、また並行世界線移動が行われた結果、また異能力が存在した世界に戻ってきたということになるな」
「ちょっと、説明が長すぎてよくわからんくなったが・・・。まぁ、つまりまとめると。お前は異能力の世界で死んだあと、別の世界に移動して異能力を封印してから、また異能力がある世界に転生したってわけだな」
「あぁ。そういうことだ。そして、この世界は異能力が存在する世界。歴史では、絶滅したと書かれているが、実際はわからないわけだ」
有名な例で言ったら、シーラカンスがいるだろう。元々は、絶滅したと考えられていた生き物だが、ある年に発見されたことによって、歴史が覆った事例がある。だから、それ同様。異能力ももしかしたらまた発見される可能性が高い。それこそ、進治郎は、異能力の世界で死んで、そしてまた異能力の世界で産まれているから。だから、封印が行われずに異能力を所持している可能性が高い。
「なるほど。面白いことになってきたじゃねぇか」
これにて、分かったことを一つ。発表するとしよう。
『異能力は、存在するのだ』




