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1話

これはある国の不幸なふたりのお話。


聳え立つ沢山の宮殿、天井の高い私の部屋。上を見上げるとシャンデリアが輝いている。窓から下を覗くと馬の蹄音や銃声が飛び交っている。

私はこの部屋(檻)から出られない。どれだけ夢見ようとも。


何度素振りを繰り返しただろう。いつの間にか辺りが暗くなっていた。剣に映る月を見て気づくなんてどれだけ集中していたんだ、と自分で呆れる。

質素な家、質素な部屋、質素な家具。人影も見えなくなるほど森の奥深くに建てられた小さな家。ここだけが私の居場所だ。

御国の為に、と言われ戦士としてこの国に携わって居るが、居心地がいいとは言えない此処では成るべく人と関わらず独りで暮らしている。

「こんな所じゃないと使えないからな」

手を翳し力を込めるときらきらと美しい星が舞った。思わず見とれてしまう程綺麗だが瞬きをする間に消えて無くなった。

我が家系では代々魔術が使える。都市の言い方をすると私達は魔法使いの様なものだ。好奇の眼で見るもの、煙たがるものと沢山の人間を見てきたが、懐に入れて利用しようと考えるものか売りものにしようと企むものの二択だった。だから私は人間とは関わっていない。

魔術が使える為物理の攻撃手段は略必要ないのだが、稀に高位魔術を使い人間に歯向かおうとする愚かな魔物がいるから取得している。要は暇潰しだ。

今世は王に利用される運命の様だ。別に嫌悪感は無い。重宝し神の様に私を扱う珍しい性格の傾向だ。

「セアリネス殿。魔術が使える様で。

不躾な願だと承知しておりますが、我が娘、リュセアンネの保護、監視をして頂きたく存じます。」

そんな願を聞き受けてからは数ヶ月。ずっとこの国に滞在している。王の下僕が宮殿の部屋を幾つも用意してくれた様だが断った。代わりにこの小さな家を建てて貰った。


「王の遣いとしてやって参りました、セアリネス様

王女の用意が出来ましたので明日宮殿にお越しください。」

保護、監視を願われたものの未だ一度も王女に会っていない。どんな娘かも分からない。そんな事を呟いていると王の遣いだと言うものが現れた。

どうやら明日宮殿に向かう馬車が迎えに来るらしい。

_もう憂鬱とも感じなくなった。


翌日早朝、壮大な馬車が家に迎えに来た。怯えられているのか、操縦士は一度たりともこちらを見なかった

窓を覗いていると都市に入った。見るからに高級そうな宮殿の数々。大きな噴水。幸せそうな人々。


ぜんぶぶっこわしたくなった。


はじめまして、しおりと申します。

これから宜しくお願いします

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