#1 勇者が...これ?
「がんば」
「は...?いや...はああああああ!!??」
軽くね?なにがんばって!魔王倒す?なに?何言ってんの?
「あ..の...?よくわかんない...んですけど...魔王...倒せと?」
「うむ、倒せ、お主が勇者だ」
いや...勇者って、ただの健全な男子高校生なんですが...
あ、これって...異世界召喚ってやつ..?
だとしたら..あるんじゃないか!?あのお約束が!
「...あのもしかして、俺...チート能力とか...あるんですか...?」
「チート能力...?うむ..そうだな...スキルだな、多分お主には《ユウシャ》っていうスキルがある」
勇者..?なにそれスキルなの?ま、いいけど
「鑑定して差し上げろ」
そう王様が言ったら手鏡を持った人が来た
「あの...これは?」
「鑑定鏡だ」
...安直だなぁ
「それを持って鏡に自分を映し出せ、そしてこれを唱えよ」
鏡と同時に言葉が書かれた紙を受け取った
おっも...!何...この鏡...質量バグってる...持てないほどじゃないけど..さぁ...!と、紙紙...と言うか、俺この世界の文字読めんの?あと何で日本語通じんだろ...
紙を見ると
「...カタカナ?」
「かた..なんと?」
鏡を持った人がそう呟く
「いや...何でもない...です」
とりあえず、やるか
手鏡を持って自分を映し出す
そして
「ゲ..ゲセナ..ラユトフトヒラ..」
うお..!すご、これが異世界...!
手鏡には自分の名前、その下に、《ユウシャ》とカタカナで書かれていた。あと...
「なんだ...これ...文字化け?」
《ユウシャ》の横によくわかんない...ぼやけてる?何かが...ある、スキル?かな..?
「あの..これなんですか?」
鏡を持ってきた人に聞く
「...わかりません...見たことない...こんなの」
「我にも見せよ」
王様が椅子から降りて近づいてくる、と同時に置物だと思ってた甲冑が動いて近づいてくる、そして王様は俺が映った鏡を見る
「...我も知らない、すまない力になれなかった」
王様も知らないのか...
「いえ、ありがとうございます」
王様は静かに離れ椅子に座る
その道中、いままで...こんなのは..と呟いていたのを俺は聞き逃さない!
「まあよい、あ、お主にこれを上げよう、この世界の方が書かれておる」
どこからともなく王様は取り出し、辞書並みの分厚さがある本を王様から黒いローブの人、黒いローブの人から俺に渡される
勉強...高校受験以来...
「あと、お金あげる」
またまた黒いローブからくれる、袋の中を見ると金色の硬貨だ
「金貨を100枚ほどだ、金貨一枚で宿を十泊できるくらいだ、有効活用してくれ」
「..ありがとうございます」
頭を下げ
「うむ、では魔王討伐することを期待しておる」
「...日本に帰りたいんだけど」
そう呟く、誰にも聞こえなかったようだ
勇者が去ってから
「あの者のあのスキル...呪い...だな...だが何故..召喚されたばかりだぞ...いったい...何の呪いだ...あれは...あの者は一体..何者だ」
国王は一人、そう呟いた
ナマエ:タチバナ シュン
シュゾク:ニンゲンシュ
ショウゴウ:《ユウシャ》
スキル:《ユウシャ》
《よくわかんね》