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ジョブチェンジ!  作者: うなぎタコ


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第38話 冒険者ランクをBに上げたい

「ランクを上げたい?」


 王立ウェルネシア学園の課外実習課外実習の引率兼ローゼルの護衛が終わった翌日ユウはルイナとマトラ村のギルドハウスへ来ていた。


「そうなの。わたしってまだDランクでしょ?この前色々あったからBランクくらいまで上げたいなって」

「Bランク!?ユウさんならAランクはおろかSランクまで行けますよ!」


 ギルドハウスの受付嬢ライムは興奮気味にそう言った。


「落ち着いてライム、別にわたしはそこまでランクを上げたいわけじゃなくて人並みのランクがあればいいんだよ」

「そうなんですか・・・ルイナさんはどうします?」

「我もユウと同じのBランクを所望する。というかユウと同じならなんでもいい」

「分かりました。ではこちらに記された魔物を討伐し魔石を持ち帰ってきてください」


 ライムに渡された依頼書にはこう書かれていた。ウィンドウルフ三匹の魔石を持って帰る。それがBランクに上がる条件だ。ウィンドウルフの生息地はルイナの館のある森を抜けた先の平原に群れで生息していて人間を見つけると容赦なく襲ってくる。

 ユウとルイナはさっそくギルドハウスを飛び出し森を抜けた先にある平原まで移動した。


「見ろユウ、あれがウィンドウルフだ。今はちょうど川の水を飲んで休憩してるな」


 そこには灰色の毛のウィンドウルフが六匹固まって水を飲んでいた。


「狩るなら今がチャンスだね。さっさと終わらせて帰ろう」


 ユウは杖、ルイナは魔剣を取り出してウィンドウルフに襲い掛かった。だが四匹倒したところで残りの二匹が茂みの中に逃げていった。


「逃げられちゃったね」

「仕方ない、次の場所に・・・」


 アォーン!!


 二匹のウィンドウルフが逃げた茂みの方から遠吠えが聞こえてきた。ユウとルイナは遠吠えがした方を見るとそこには一匹の大きな灰色と黄色の毛の狼がいた。その狼はバチバチと電気を放電し唸りながらユウとルイナの方にゆっくりと歩みを進めた。


「ねぇルイナ、ウィンドウルフってあんなにバチバチしてたっけ・・・」

「いや、あれはストームウルフ、ウィンドウルフの上位個体だ。しかもあのサイズはボス級だな、手ごわいぞ」


 ユウとルイナの目の前にいる魔物はウィンドウルフではなく上位個体ストームウルフだった。ストームウルフは雷と風の魔法を操る魔物で討伐推奨ランクはAランク以上。今回のようなボス級の個体ではSランク冒険者が数人がかりで討伐に挑むレベルの強さをしている。


「どうするユウ?倒すか?」

「もう目をつけられちゃったみたいだし倒すしかないかな」


 二人は杖と魔剣を構え戦闘態勢に入った。ルイナは魔剣を振りかぶりストームウルフの頭上から攻撃した。だが、魔剣で一撃を入れることはできたがストームウルフにはかすり傷程度のダメージしか与えることはできなかった。


「ユウ、こいつ意外と固いぞ」

「魔剣が通らないならわたしの魔法ならどう?」


 ユウは杖に魔力を溜め思いっきり炎魔法を放った。しかしその炎魔法はストームウルフの起こした風魔法の渦に飲み込まれてしまい炎の渦となりストームウルフの咆哮と同時にユウに襲い掛かってきた。


「ヤッバイ!」


 炎の渦の勢いはすさまじくユウは一歩も動けずにいた。


「ユウ!」


 炎の渦に巻き込まれる直前でルイナがユウを抱えて飛んでくれたおかげで炎の渦を回避することができた。


「ありがとう、ルイナ」

「ユウが無事でよかった。それよりどうするんだ、魔法も魔剣もあいつには効いてないぞ」

「魔法と魔剣が効かない・・・なら使わなきゃいいんだよ!ジョブチェンジ!【剣士】」


 ユウはジョブを【魔法使い】から【剣士】に変更した。【剣士】能力は鋭い切れ味を持つ光の剣、聖剣を生み出し人並外れた剣技を得る。ユウはその剣を二本生み出し一本をルイナに渡した。


「これならあのストームウルフにも効く攻撃ができると思う」

「そうか、なら存分にこの剣を使わせてもらおう」


 二人は剣を構え再び攻撃を始めた。対するストームウルフも咆哮を上げ天から複数の雷を降らせてきた。それを二人はすべて避け、息の合った連撃でストームウルフにダメージを与え、とどめをユウがさしストームウルフの討伐を成功させた。


「いえーい!やったねルイナ!」

「まさかあれを倒せるとはな。さすがユウだ」


 ユウとルイナはハイタッチをし喜びを分かち合った。その後ユウジョブを【剣士】から【魔法使い】に変更し通常の魔石より一回りほど大きなストームウルフの魔石を手に入れアイテムボックスへしまった。


「さて、ウィンドウルフを後二匹倒して村のギルドハウスに帰ろっか」

「そうだな。ところでこの剣はどうするんだ?消える気配もないし」


 ルイナの持っているユウから貰った聖剣は消えずにまだルイナが握っている。普段ならユウがジョブを切り替えるとジョブチェンジの能力で生み出された道具、結界は消えてしまうが何故かルイナに渡した聖剣だけ消えなかったのだ。


「ルイナさえよければ貰ってよ」

「いいのか!?」


 ルイナは嬉しそうに聖剣を握り追加で魔剣も取り出し二刀流となりウキウキで残り二匹のウィンドウルフを狩りに行った。

 数分後、ルイナはウィンドウルフの魔石二個を持って帰ってきてくれた。そして二人はマトラ村のギルドハウスへ帰った。


「ライム、Bランクに上がるために必要なウィンドウルフの魔石、持ってきたよ。それとおまけにもう一つ・・・」

「お疲れさまです。ユウさん、ルイナさん。ウィンドウルフの魔石計六個確かに受け取りました。これにてお二人はBランクに昇格です!」


 二人はライムからBランクに上がったギルドカードを受け取った。


「それではも一つの魔石の方を・・・ってこれ!ストームウルフの魔石じゃないですか!しかもほかのより大きいってことはボス級の個体じゃないですか!普通ならたった二人で勝てる相手じゃないのにどうなってるんですかお二人の強さは・・・」


 ライムはユウの持ってきたストームウルフの魔石を見て頭を抱えていた。


「あー、わたし達そろそろ帰るからまたねライム。お仕事頑張って・・・」


 ユウが逃げるように帰ろうと後ろを振り返るとガシッと力強くライムに腕を握られた。


「逃がしませんよユウさん・・・あなた達はAランクいや、Sランクまでランクを上げさせていただきます。良いですよね」

「嫌だよわたし達はBランクで十分なの、Bランクがいいの」

「ダメです!あなた達をBランクでとどめておくのはギルドとしてもったいなさすぎます。なので今すぐSランクに・・・」

「ちょっと待ってライム、落ち着いて・・・」


 暴走するライムをユウは必死で抑え小一時間の交渉の末、ユウとルイナはBランクではなくAランク冒険者としてギルドカードに記録された。


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