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ジョブチェンジ!  作者: うなぎタコ


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第35話 ユウの一日パン屋経営

「ユウちゃん今日も手伝ってくれてありがとね」


 明け方からユウはマトラ村にあるパン屋でパンを焼く手伝いをしていた。このパン屋は夫婦で経営している店でユウはよく手伝いに来ている。


「気にしないでくださいよ。わたしパンを作るの好きなんで。それにパン屋さんで働くのが夢だったので。なんならいつかお店を持ちたいなって思ってますし」


 ユウは店主の奥さんのトロナさんと楽しそうにパン生地をこねていた。


「あら、そうなの?じゃあ急なんだけど、明日一日このお店を任せてもいいかしら?」

「本当に急ですね・・・わたしで良ければ喜んで引き受けますけど。明日何かあるんですか?」

「今日のお昼過ぎから主人とラコンドっていう果物やワインが有名な街に行くのよ」


 ラコンドの街は大陸の西にある大地の国フェドルトに属する街で大地の神デュカートの加護下にある街だ。


「だから今日は朝でお店閉めちゃうんですね」

「そうなの。ラコンドまでは馬車で半日から一日はかかるから帰ってくるまでお店を閉めようと思ったんだけどユウちゃんの夢を聞いちゃったら応援したくなっちゃって・・・どう?本当にやってみない?」

「是非!やらせてください!」


 ユウに迷いはなかった。その晩、夕食を食べながらこの話をルイナたちに話した。


「―――ってことがあったんだ」

「ご主人様の信頼は厚いですね~さすが私のご主人様です!」

「それにしても意外な夢を持ってたんですね。ユウさんはてっきり魔族と人間の共存が夢だと思ってましたよ」

「うーん、それは夢じゃなくて目標かな」

「それで私達も明日手伝いに行ってもいいのか?あっ、でも朝早いのか」

「もちろん大歓迎だよ!それと朝は開店時間までに間に合えばいいからいつも通りでいいよ。でも、わたしはパンを作りに行くから早めに家を出るよ」


 こうしてルイナたちが手伝いに来てくれることが決まりその日はいつもより早く布団に入った。


(そういえばわたし、こっちに来て誰かに自分の夢を話したの初めてかも・・・今まで自分の夢を話すのに抵抗があったのにこんなにあっさり話せた。わたしも少しは成長してるってことなのかな)


 ユウは布団の中から窓の外の夜空を見上げ、ふとそう思った。

 翌日、陽が昇り始めたころユウは村のパン屋に行きジョブを【パン職人】に変更し、いつも通りパンをこね、焼いていた。そして開店時間の少し前リリィがルイナとミゼルディアを連れて店に来た。


「ご主人様、私達間に合いましたか・・・?」


 リリィは息を切らしながらユウのもとまで歩いた。


「リリィ、どうしたのそんなにふらふらして」

「それが今朝、ルイナが中々起きなくて・・・ミゼと二人で何とかして起こしてここまで飛んで来たんですよ」

「よく頑張ったねリリィ、少し休んでていいからね」


 猫の姿になったリリィをユウは抱き上げた。


「そろそろ開店するからミゼは厨房から焼きあがったパンをこっちに持ってきて並べて」

「お任せ下い!すぐ持ってきますよ」


 すぐにミゼルディアは厨房に行き焼きたてのパンを持ってきた。


「ルイナにはこれね」


 ユウはルイナに踏み台を渡した。するとルイナは不思議そうに首を傾げた。


「なんで踏み台を渡すんだ?」

「だって前にここで手伝わせてもらったとき背が足りなくてショーケースの後ろから背伸びして接客してたでしょ?だから今回は背伸びしなくてもいいように踏み台をもってきたの」

「そう言うことだったのか。ありがとうなユウ」


 それを聞いたルイナは嬉しそうに踏み台をもってショーケースの後ろに行き実際に踏み台の上に乗った。

 そして、四人はおそろいの藍色のエプロンを着て焼きあがったパンをすべて並べ終えついに店を開ける時間がやってきた。


「それじゃあ、お店開けるね」


 ユウは外に看板を出し店を開けた。すると開店を店の外で待っていた人たちが続々と店の中へ入っていった。このパン屋のパンは焼き立てが食べれることで村では有名であり中でも【タトルの甲羅パン】という元の世界で言う所のメロンパンによく似たパンが人気でそれが目当てで来るお客さんも多い。


「タトルの甲羅パン三つ頂戴」

「こっちは五つくれ」


 注文を聞いてミゼルディアは素早くパンを袋に詰め客に渡し、ルイナが会計をしてスムーズに客をさばいていた。一方厨房ではユウとリリィでパンをこねて焼き、焼きあがったパンをリリィがショーケースまで運んでいた。こうして四人で店を回すこと数時間、ようやく客足が落ち着いてきた。


「ルイナ、ミゼそろそろ休憩にするよ」

「ようやく一息付けるな」


 四人は厨房の隣にある休憩用の部屋で昼食を食べ休憩した。そして休憩が終わって再び各々持ち場に着いたのだが昼を過ぎてから客は三十分で二、三人ほどのゆったりとしたペースでの来店数となった。


「あれ?ルイナちゃんとミゼルディアさんじゃないですか」


 扉を開け店にやってきたのはこの村のギルドハウスの受付嬢ライムだった。


「ライムさん!いらっしゃいませ。これから休憩ですか?」

「そうなのやっと一区切りついたから。あ、スコーン三つくださいな」

「スコーン三つは銀貨六枚だよ」


 ライムはルイナに銀貨六枚を渡しスコーンを受け取り店を出た。次にやってきたのは メイド服を着た魔王ミリティアに仕えるネクロマンサーのサフィーナだった。


「なんでお前がここまで買い物に来てるんだよ」

「ここのパン、魔王様が好きなんです。もちろん私も妹もエネシアも好きですよ。それにあなた達がここにいるということはおそらくこのパンはユウさんが作っているはず・・・このことを魔王様にお伝えすればきっと喜ばれる・・・」

「あの魔王様なら確かに喜ぶだろうな。それで何買うんだ?」

「タトルの甲羅パンを四つ」


 ミゼルディアからタトルの甲羅パン四つが入った紙袋を受け取りルイナに銀貨八枚を渡し店を出た。


「知り合いの方が良く来ますね」

「本当にな・・・次はだれが来るんだろうな」


 ルイナは頬杖しながらミゼルディアと会話していた。するとやはり見覚えのある少女が店にやってきた。


「ローゼルじゃないか!久しぶりだな」

「ルイナさん!お久しぶりです!ミゼルディアさんも!」


 店にやってきた少女は王都カルミアの王女ローゼルだった。どうやら今日はお忍びでメイドのラミナと来ていたらしい。


「あれから中々会えなかったけど元気そうで何よりだ」

「おかげさまで病気にかかることもなく元気に過ごしてます。それより今日はここのパンを買いに来たんですよ。以前食べた時とてもおいしかったので」

「そうか、何が欲しいんだ?」

「そうですね・・・タトルの甲羅パン二つとスコーン四つと三日月パンと帽子のパンを一つずつください」

「たくさん買うんだな。お会計は金貨一枚だぞ」

「おお父様とお母さまそれに今日ここまで連れてきてくれたラミナの分もあるんです」

「ローゼルは優しいんだな」


 ローゼルは金貨一枚をルイナに渡しパンの入った袋を受け取った。そして陽が落ちる頃、ついに迎えた閉店の時間。ユウは店の前の看板をしまい店を閉めた。


「みんなお疲れ様、今日は手伝ってくれてありがとう」

「まさか全部売れるなんてな」


 ルイナは空になったショーケースを眺めながらそう言った。しばらくするとこのお店の店主のコドルさんとトロナさんが帰ってきた。


「ただいまルイナちゃん。お店ありがとね」

「お帰りなさいトロナさん。意外と早かったですね」

「そうなの、丁度いい乗り合いの馬車があったから早く帰ってこれたの。はい、これお土産ね」


 ユウがもらったのはワインとブドウのジュース、それと果物の詰め合わせだった。


「こんなに、ありがとうございます」

「いいのよ。いつも手伝ってもらってるからそのお礼も兼ねてるの」


 トロナは笑顔でそう言った。


「それじゃあ、わたしたちそろそろ帰りますね。お土産ありがとうございます」

「お疲れ様。今日は帰ってよく休んでね」


 そしてユウたちは家に帰った。


「みんな今日はお疲れ様。今日のご飯はピザだよ!」


 ユウはアイテムボックスからホカホカのピザを取り出した。


「なんだこの食べ物、いつ作ったんだ!?」

「お客さんが少なくなった来た時に作ったんだ。ほらワイン、注いで上げるから冷めないうちに食べよ」


 ユウはルイナとミゼルディアにワインを注いだ。ユウとリリィはワイングラスにブドウのジュースを注いでワイン気分を味わい一日が終わった。


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