第23話 開催!魔界競技大会 後編
魔界競技大会の午前の部が終わりユウたちは昼休憩に入った。
「お昼ご飯は屋台に買いに行こうか」
「「「賛成!!!」」」
ルイナたちは仲良く手を上げ元気よく返事をして四人で屋台へお昼ご飯を買いに行った。屋台には串肉やジュースが売っていた。
この昼の休憩時間にはステージの上で歌や踊りが披露され観客を楽しませていた。
そして約一時間ほどの昼休憩が終わり魔界競技大会の後半競技であるダンジョンタイムアタックが始まろうとしていた。
「それではいってきますね」
ミリティアは中央ステージに向かった。その中央ステージには大きな門が設置されていた。
「やはり魔王軍からはあなたが選出されてたんですねエネシアさん」
「初めましてミゼルディアさん。お手柔らかにお願いします」
二人が静かにけん制し合っていると続々と参加者が集まってきた。
「皆様お待たせいたしました!これよりダンジョンタイムアタックを開始します!」
この掛け声と同時にステージ中央の大きな門が開かれた。
「この門の先がダンジョンになっています!ゴールはダンジョン最深部である第十階層の転移ポータルになります。五階層以降にはリタイヤ用の転移ポータルがあるのでもしリタイヤされるのでしたらそちらをお使いください。そして第十階層には転移ポータルを守るボスがいるのでご注意ください!ほかにも階層ごとに魔物が出現するので倒されないように進みましょう!それではダンジョンタイムアタック、スタートです!」
参加者たちは、なだれ込むように門の中へと入っていった。
第一階層から四階層までは出現する魔物もスライムと弱く簡単に突破していった。
「低階層ならゴーレムを使うまでもありませんでしたね」
「さすがにここで足踏みするような人はいないでしょう」
二人はそうつぶやき第五階層へと足を進めた。五階層から七階層までの道のりは迷路のようになっていた。どの道を行こうが行き止まりやスタート地点まで戻される参加者が続出していた。ミゼルディアもほかの参加者同様にこの迷路に苦しまされていた。だがただ一人エネシアだけはすらすらと迷路を攻略し第七階層へ足を踏み入れた。
「ご主人様どうしてエネシアさんだけこの迷路を突破できたのでしょうか?」
モニター越しにミゼルディアの様子を見ていたリリィは当然の疑問をユウに投げかけた。
「ゴーレムを使ったんだよ」
「ゴーレムですか?」
「それと幻術魔法をね。それにミゼが気づけたら簡単に七階層まで行けるだろうね」
ユウとルイナそれとミリティアは一度このゴーレムの迷宮を経験しているからすぐに仕掛けを見破ることができた。
「あれ?ここの壁だけ色が違う・・・」
ミゼルディアは色の違う壁とその壁に隣接する壁を鎌で切りつけると色の違う壁だけが壊れた。するとその壊れた壁は再生を始めた。
「そういえばさっきゴーレムが何とか言ってたけどもしかして・・・」
ミゼルディアはもう一度色の違う壁を鎌で壊してみた。するとまた壁は再生を始めた。
「やっぱり・・・でもまぁ、種と仕掛けが分かればこっちのもんですよ!」
ミゼルディアは鎌を振りながら色の違う壁だけを壊して進んだ。
そして何とかミゼルディアも第七階層へ到達した。
ダンジョンの第七階層から九階層は中級の魔物が待ち構えており例年ではこの辺りからリタイア者が出始めるらしい。だが今年は第五階層でのリタイア者が多かった。
戦闘の得意なミゼルディアは難なく第九階層まで突破した。
そして第十階層の扉の前までたどり着くとそこには数体のゴーレムを引き連れたエネシアとここまでたどり着いた実力のある参加者五人がいた。
「皆さん先に進まないんですか?」
「ミゼルディアさん。実はこの先にいるダンジョンボスのドラゴンが中々手ごわくてどう突破するか話し合っていたんです」
ミゼルディアが質問をするとエネシアは困ったようにそう答えた。
「悪いが俺たちはここでリタイヤさせてもらうよ。あのドラゴンにはいくら挑んでも勝てる気がしないからな」
そう言い残して四人の参加者はリタイヤ用の転送ポータルの上に乗りリタイアしていった。
「で、エネシアさんはどうするんですか?あの人達みたいにリタイアしますか」
「ここまで来たのですからリタイアなんてしませんよ」
「なら早くいきましょう」
そう言ってミゼルディアは第十階層の扉を開けた。そこには確かにエネシアが言っていた通りにドラゴンが待ち構えていた。
ドラゴンはこちらを見るなり炎を吐き出し攻撃してきた。
「いきなり失礼なドラゴンですね」
ミゼルディアは炎を避けながら鎌でドラゴンを斬り上げた。わずかによろめくドラゴンの後ろにはゴールの転移ポータルがあった。
「エネシアさんゴーレムを使ってドラゴンを気を引いてください!ドラゴンの後ろに転移ポータルがあります」
「分かりました任せてください」
エネシアは巨大なゴーレムを創り出しドラゴンと戦わせた。
その隙にミゼルディアとエネシアは二人同時に転移ポータルの上に乗り魔界競技場中央ステージに転送された。
「なんと!数年ぶりに二人同時にクリアだー!気になるお二人のクリアタイムは・・・56分!今までの最速記録である1時間3分の記録を破り大会新記録です!」
この結果に会場は大いに盛り上がっていた。
そして十五分後、最後の競技であるチーム対抗バトルロワイヤルが始まろうとしていた。
「それでは最後の競技チーム対抗バトルロワイヤルのルールを説明いたします!現在、皆様の手元にはライフゲージリングがございますがこのリングは自分が受けたダメージを肩代わりしてくれるものとなっております。そしてこのリングに一定数のダメージが加えられた場合リングは壊れ装備者は各々チームの控室へ転送されるしようとなっております。勝利条件は最後の1チームになるだけ!それでは参加者の皆様は各チーム指定されたエリアへ移動してください」
ユウたちはチーム対抗バトルロワイヤルのステージとなっている森林エリアに移動した。エリアは三つあり平原エリア、山岳エリアそして、森林エリアがある。
今回チーム対抗バトルロワイヤルに参加するチームは4人1チームで今年は30チームの参加であり大会史上最も多いチーム数となっている。
「参加者すべての準備が整いましたので最終競技チーム対抗バトルロワイヤルのスタートです!」
このスタートの掛け声と同時に各地で戦闘が巻き起こった。
「ユウ、この辺りに敵はいるか?」
「ここから東に百メートル離れたところに二人さらにここから北に三百メートル離れたところに四人いるよ」
ユウはジョブを【ハンター】に変えサーチのスキルを使い周囲の参加者の人数と場所を伝えた。
「分かった行ってくる。ミゼは東の二人を任せる」
「任されました!行ってきます」
そう言って戦いに飢えた二人は飛んで行ってしまった。それから少しして二人は二つのチームを壊滅させて帰ってきた。
「ご主人様、平原エリアにて魔王様のチームを発見いたしました。いかがいたしますか」
「ミリティア達との戦闘を邪魔されたくないから先にほかのチームを倒そう。リスクはあるけど全員ばらばらで倒しに行くよ」
このユウの提案によりルイナたちはすぐにほかのチームを倒しに行った。
「・・・魔王様、ユウさんたちが行動を始めました」
「よし、我々も動くとするか」
ゴーレムの眼を通じてエネシアはユウたちの動向を監視していた。
数十分時間が経過し残りのチームはミリティアのチームとユウのチームだけとなった。
「あとはあなた達を倒せば終わりね」
「魔王という立場上、手加減はできないけど許してくれ」
お互いがにらみ合い緊張が走る中、先に動いたのはルイナだった。
ミリティアに向かってルイナは魔剣を手に持ち飛び出したが巨大なゴーレムによって進行を妨げられてしまった。ルイナの攻撃はその巨大なゴーレムに当たり巨大なゴーレムを破壊した。破壊されたゴーレムの破片は中型サイズのゴーレムへと変化し五体ほど新たにゴーレムが生まれた。
「ゴーレムを斬っても数が増えるのか、面倒だな」
すると今度はルディーナが魔法ではない何かを唱え始めるとゴーレムの周りに青い炎が浮かびゴーレムの中へと入っていった。
「あの青い炎は怨霊・・・まさかあなた達は・・・」
「そう、私たち姉妹はネクロマンサー。そして妹のルディーナは怨霊の扱いが誰よりも得意なの。今回は死体がなかったからゴーレムを肉体としたの」
引っ込み思案な妹の代わりに姉のサフィーナがそう説明した。
「でもまぁ、相手が悪かったですね。私は死神ですよ怨霊なんてゴーレムごと冥界行きです!」
ミゼルディアが鎌を大きく振ると冥界の扉が現れた。冥界の扉は怨霊をゴーレムごと吸い込み冥界へ送った。
「ゴーレム生成にはまだ時間がかかるはず・・・今度こそ魔王様に一撃を叩きいれる」
再びルイナはミリティアに向かって剣を振ったが次はシールドに阻まれてしまった。
「今度はなんだ」
「私の【エストラシールド】ですよ」
そう言ってルイナの攻撃を防いで見せたのはサフィーナだった。そしてサフィーナの【エストラシールド】で稼いだ時間でゴーレムが二体生成されその周りを怨霊が数体飛んでいた。
「これじゃあまるで動く要塞、いや動く魔王城だですよ」
ミゼルディアが恐ろしそうにそう言った。
「ご主人様どうしましょう」
「わたしに任せて。みんなは危ないから私の後ろに居てね」
そう言ってユウはジョブを【魔法使い】に変え杖を握った。
「ミリティア、私も手加減できないからこの魔法をしっかり受け止めてね。」
そう言ってユウは深く息を吸って杖に魔力を溜め始めた。すると次第に空を雷雲が覆い辺りが暗くなった。
「雷鳴よ轟け竜の如く!喰らえ【ドラゴナイトサンダー】!!」
ユウが魔力の籠った杖を振り下ろすと雷雲の中からミリティア目掛けてユウの魔力で生み出された雷を纏った巨大な竜が突っ込んでいった。この魔法はユウの持つ魔力に依存するため計り知れない威力を誇っていた。
当然サフィーナの【エストラシールド】は破られミリティアたちに絶大なダメージを負わせ最終競技であるチーム対抗バトルロワイヤルが終わった。
そして魔界競技大会の閉会式が終わりユウたちは魔王城にある庭でバーベキューを楽しんでいた。
「ご主人様このお肉おいしいですね」
「さすが最高級の肉だね」
「まさか優勝できるなんて思ってもいませんでしたよ」
ユウたちが食べている肉は魔界競技大会の優勝景品であるマヒガリ牛という魔界最高級のブランド牛の肉である。
「まだまだありますからどんどん食べてくださいね」
「ユウよ酒は飲まんのか」
片手にワインを持ち頬が赤くなっているミリティアがやってきた。
「いや、飲まないけどもしかして酔ってる?」
「酔ってるわけないだろまだ少ししか飲んでないだぞ」
ユウは少し視線をミリティアの歩いてきた方へ向けるとワインボトルが二本も開けられていた。
「とこれでユウよいつからそんなに背が低くなったんだ」
「それわたしじゃなくてお皿運んでくれてるゴーレムだよ。やっぱり酔ってるじゃん」
「ユウ、魔王様の相手は私がやろう」
そう言ってやってきたのはワインを持ったルイナだった。
「ありがとうルイナ助かるよ」
ルイナはミリティアと離れたところでワインを飲みに行った。
「ユウさん夜も遅いことですし今日は魔王城にお泊りになってください。部屋も空いてますから」
「うん、そうさせてもらうよ」
ユウはサフィーナの提案を受け入れ今日は魔王城に泊まることにした。
この賑やかなバーベキューは夜更けまで続いた。




