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ジョブチェンジ!  作者: うなぎタコ


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第21話 魔界のアスレチック

 穏やかな昼下がり、今日は家にミリティアが遊びに来ていた。


「ねぇミリティア、そんなにだらけてていいの?一応魔王だよね」

「最近公務が忙しかったんだ、今くらい許してくれ」

「まぁ、そういう事ならいいんだけど」


 魔王であるミリティアはソファーに寝そべりながらユウの作るクッキーが出来上がるのを待っていた。


「そういえばルイナたちはどうした。いつも一緒にいるだろ」

「あの三人は今、村にお使いに行ってるよ。もうすぐ帰って来るんじゃない」


 すると扉が開きルイナたちが帰ってきた。


「ユウ、帰ったぞ」

「頼まれたもの買ってきましたよ」

「あ、魔王様いらしてたんですね」


 ルイナたちが買ってきたものを受け取ったユウは人数分のアップルティーを作り、クッキーと一緒に机に置いた。


「それで、今日は何しに来たの?」

「ん?あ~、今から魔界にあるアスレチック施設に行かないか」

「アスレチック施設?魔界にそんなのがあるの?」

「あぁ、昔からある施設なんだが、最近リニューアルしたんだ。どうだ行くか?」

「そうだなぁ、みんなが行くなら行こうかな」


 ユウがそう言うとルイナたちは『今すぐ行きたい』と口をそろえて言ったので魔界のアスレチック施設へ行くことが決まった。

 そして出かける準備をした後、ミリティアのワープゲートを使って魔界のアスレチック施設の前までやってきた。


「まさか魔界にこんなところがあるなんて」

「今日は貸し切りだから好きにしていいぞ」


 それを聞いたルイナとミゼルディアはすぐに飛び出して行った。


「元気だなぁ、あの二人」

「ミゼさんはここに来るのは初めて見たいなのではしゃいでるんですよ。ルイナはまぁ、ただ身体を動かしたいだけですけど」

「ほら、突っ立ってないで行くぞ」


 ミリティアに背中を叩かれ建物の中へ入っていった。

 この建物は室内にトレーニングルームや食事処があり建物を抜けた先には大規模なアスレチックエリアがあった。


「思ったより広いな」

「おーいユウ」


 ユウが辺りを見渡していると、遠くの方から手を振るルイナとターザンロープで遊ぶミゼルディアがいた。


「もうあんなところまで行ったんだ」


 ユウは手を振り返してそうつぶやいた。


「ご主人様!早く、早く行きましょうよ!」

「うん、行こうか」


 ユウは今すぐ遊びたそうなリリィに手を引かれアスレチックのある方へ駆けて行った。


「ご主人様最初のコースはこれですよ」


 このコースは初心者でも楽しめるよう木の杭の上を飛んでゴールを目指すだけのコースでユウは簡単にクリアした。

 次のコースは最初のコースと似ているが木の杭の距離が延びその分跳躍力が求められる。そして空いた杭の間を大きなゴムボールが振り子のようになっていてユウたちを妨害するようになっている。

 ユウは、その後中級のコースも次々とクリアしていった。


「ふぅ~、こんなに動いたのは久しぶりだよ」

「なんだもうバテたのか」


 ユウが座って休憩していると一緒にコースを回っていたミリティアがニヤニヤしながら話しかけてきた。


「ミリティアだって途中で息を切らして休憩してたでしょ」

「仕方ないだろ、公務が忙しくて身体を動かせてなかったんだよ」


 そんな運動不足二人の言い合いをよそにリリィはあっという間にルイナとミゼルディアがいる最後のコースまで行っていた。


「わたし達も頑張ろうか」

「そうだな、私たちがこんなだと示しがつかないからな」


 二人は頑張って殺意が見え隠れする上級者コースを時間はかかったが制覇した。

 そんな二人の視界の先には最後のコースが広がっていた。


「ねぇ、なんでアスレチックに溶岩が水の代わりに敷いてあるのよ!殺す気なの?しかも刺の付いた鉄球と火炎放射器まであるし」


 この最後のコースは魔王自ら考案し制作したもので魔法の類が一切使えない高難易度のコースになっている。このコースをクリアした者は、サフィーナとルディーナの二人だけだった。


「これ本当にクリアできるの」

「お前たちなら問題ないだろ。ほら、あそこにいるミゼルディアを見てみろ」


 そう言われてミゼルディアの方を見てみるとコースの終盤に居た。その後ろにはルイナ、リリィと続いていた。


「こんなに殺意にあふれているコースのに、なんでこんなに楽しそうなんだろね」

「私としては楽しんでもらえてうれしいよ。どうだ、やるか?」

「やらないよ。命は大事にしたいからね」


 ユウはミリティアと殺意しかないアスレチックコースで遊ぶルイナたちを眺めていた。


「楽しかったですね最後のコース」

「えぇ、スリル満点でした」

「でもまだ遊び足りないんだよな」


 三人は話しながらユウたちのいる方へ帰ってきた。


「なぁ、ユウ。まだ遊び足りないから鬼ごっこでもしないか?」

「鬼ごっこ?まぁ、別にいいけど」

「じゃあ、あっちの広めのアスレチック場に行こう」


 ルイナに提案でアスレチックを使った鬼ごっこを五人ですることになった。

 鬼はじゃんけんの結果ユウの一人負けでユウが鬼となった。


「十秒後にスタートするからね」


 逃げる側の四人はすぐに散開し各々アスレチックを使い逃げ始めた。


「始めるか・・・ジョブチェンジ!【追跡者】」


 ユウは魔法使いから追跡者へジョブチェンジした。

 追跡者の持つスキルは視界に入った者を追跡対象とする。そして追跡対象を最短ルートで追い続けられるように常に追跡対象者の位置情報がホログラムマップに映し出されるようになっている。


「まずはどこにいるか探さないと」


 ユウは森林エリアに走りだした。森林エリアは木々の間にロープが張り巡らされているステージになっている。


「誰かいる・・・あれはミリティアか」

「もうこっちに来たのか」


 こっちに向かってくるユウを見たミリティアはロープを渡りながら逃げていった。それを追いかけるようにユウはホログラムマッを見ながら追いかけ始めた。


「ミリティア、おとなしく捕まりなさい」

「魔王である私がおとなしく捕まるわけないだろ!」


 そんな息巻いていたミリティアだったがロープに引っかかったところを呆気なく捕まってしまった。


「よし、次だ」


 次にユウは水上エリアに移動した。このエリアは水に浮かぶ丸太の上を飛んで移動するステージになっている。このエリアにはルイナとミゼルディアがいた。


「来たなユウ。私達を捕まえてみな」

「落ちずにここまで来れますか?」

「あまりわたしを舐めるなよ」


 ユウは丸太の上へ飛び乗り二人を追いかけた。丸太の上では足が良く滑りかなりバランス感覚が求められていた。普段よく体を動かしていて運動神経の良い二人も心なしかふらふらしているように見える。


「どうしたの二人ともふらふらしてるように見えるけど」

「それは違う、ふらふらしているのはユウの方だぞ」

「くっ、だけど勢いで丸太の上を飛べば・・・」


 ユウは丸太の上を勢いよく飛んで二人を追いかけた。何度も足を滑らせて水の中へ落ちそうになったが何とかルイナを捕まえることができた。ミゼルディアはいつの間にかどこかへ逃げてしまっていた。


「あとはミゼとリリィだけどどこにいるんだ」


 ホログラムマップを見るとミゼルディアは森林エリアにいることが分かった。

 ユウは森林エリアに移動し逃げたミリティアを追い続けた。


「ユウさんがここに来たということはもうルイナは捕まったんですね」

「どこに逃げても無駄だよミゼ」


 木の上を走って逃げるミゼルディアを追いかけ何とか捕まえることができた。

 後はリリィだけだがミゼルディアを追いかけているときに横目に見つけることができたおかげでホログラムマップにリリィの場所が映し出されていた。


「この森林エリアじゃあリリィを捕まえることは難しいからどうにかしてここから出さないと」


 ユウはホログラムマップを見ながらリリィを探し出した。


「やっと見つけたよリリィ」

「いつもは鬼側で追いかけることが多かったので逃げる側は新鮮で楽しいですね」


 リリィはニコニコしながら木と木の間をジャンプで飛びロープの上を走っている。

 普通に追いかけても追いつけないがユウはリリィを水上エリアに誘導するように追いかけていた。結果リリィの俊敏さと跳躍力があだとなり意気揚々と木の上を飛んでいたリリィだったが森林エリアの終わりを見誤ってしまい木の上から水上エリアの水の中へダイブしてしまった。

 水の中からリリィを救いあげた後ルイナたちと合流しみんなで温泉に入ることにした。


「う~、疲れた体に温泉がしみわたる~」

「こんなに風呂が気持ちいいと思ったのは久しぶりだな~」


 ユウとミリティアは温泉を満喫していた。


「そうだユウよ、今日は近くのホテルを予約しといたからそこに泊まるといい」

「いいの?ありがとう。今日はゆっくり休ませてもらうよ」


 そんな会話をしながら温泉を満喫したユウたちはミリティアが予約してくれたホテルに移動しベットの上に寝転ぶと疲れからかすぐに眠ってしまった。


 今日は今までにないくらい体を動かしたいい日だった。


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