第5話 英傑たち、民の為に戦う。
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登場してくる偉人たちは筆者のイメージに則しているので、歴史的事実や最新の研究内容とは異なっている場合がありますが、予めご了承下さい。
「レオナルド様、これは一体?」
エドモンドが、信じられない、といった表情で僕を見る。
「僕にもわからない。わからないが、もしこの3人を僕が召喚したのだとしたら…。」
僕たちは生き延びられるかもしれない。
「すまない、少し良いだろうか?」
泣きながら抱き合う大男3人に気おされながら、僕は長兄と呼ばれた人物に声をかけた。
「これは失礼を致した。我ら3人は民の為、義兄弟の契りを結び漢王朝の復興を目指す者。私は中山靖王・劉勝の末裔で生を劉、名を備、字を玄徳と申します。こちらは次兄の関羽、字を雲長。そして末弟の張飛、字を翼徳と申します。」
3人は居住まいをただすと両手を顔の前で合わせて頭を下げた。
「挨拶が遅れてすまない、私はこの地を治める領主であるレオナルド・ドゥ・ヴェルモンと言います。にわかには信じられないかもしれませんが、どうやら私があなた方をここにお呼びした様です。」
「呼んだ、とはいかなる?」
立派なひげの男、関羽が訝しげに尋ねる。
「話すと長くなりますが、私たちの世界には魔法と呼ばれる不思議な力があり、皆さんは私が使ったその力でこちらにいらっしゃった様なのです。」
3人は驚いた様に顔を見合せた。
「っていうと、ここはあの世じゃねぇのかい?死んだはずの雲長兄貴がいたもんで、てっきりあの世かと。」
「お前というやつは全く…。そこもと、レオナルド殿と申したか、我らを呼び出したと申されたが、われら3人に一体何用であろうか?」
関羽は苦笑いをしながら張飛をたしなめると、僕の目を見て尋ねた。
「皆さんに助けて欲しいのです。この領地は魔族という、人ならざる者に襲われ、今まさに、多くの領民が命を落とそうとして」
その時、突如として関羽の背後から小鬼が襲い掛かった。関羽はそれを察知したのか、手に持った槍をふるい、襲い掛かった小鬼を真っ二つに切り捨てた。
「なるほど、異形の賊に襲われ、我らに助けを求めた、と。」
劉備の目つきが変わった。
「民の為に戦うことこそ、我らが若き日に掲げた理想。志半ばに倒れはしたが、また我らの力を必要とする民がいるのならば、我らは剣をふるうのみ!!」
劉備が腰の剣を抜き、天に掲げると、二人は「応!」と答えて槍を合わせた。
「雲長、翼徳、今生では、きっと桃園の誓いを果たそうぞ!!」
「長兄、今度こそ、我らの理想を。」
「そうだ!今度こそ最後までお供しまずぞ!」
3人は各々武器を手に暴れる魔族の群れに突っ込んでいった。
そこからは、まさに圧巻の光景だった。襲ってきた魔族には小鬼だけでなく、豚鬼や、闇牙猪、双頭狼までいたが、3人はそれらを次々と切り捨てていった。
僕の知る剣術や槍術とは全く違う、それでも、この3人に叶う者は世界広しといえども少ないだろう。その俊敏さ、華麗さ、そして力強さは、かつて、王都で見た王国騎士団長のそれをもはるかに上回っている。
あっという間に数十の魔族、魔物を打ち取り、逃げ惑っていた村民も命からがら僕の元へ集まり始めた。
村長が村民たちを集め、傷を負った物の手当て、武器を振るえる者は周囲の警戒を行う。
そうこうしているうちに、魔物の気配がほとんど無くなった。どうやら、3人によってほぼ駆逐された様だ。
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