第18話 金次郎さん無双 その1
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登場してくる偉人たちは筆者のイメージに則しているので、歴史的事実や最新の研究内容とは異なっている場合がありますが、予めご了承下さい。
翌日から、金次郎は精力的に働き始めた。
腕に技術のある職人たちには専門性の高い仕事を割り振り、それ以外の者たちにも体力に応じて仕事を割り振り、自ら先頭に立って働き始めた。
彼が手掛けたのは主に4つの作業である。
1つ目は、畑の整備だ。現在のいびつな形の畑が入り組んだ状態から、一定の大きさの四角い畑に耕し直し、更に畑と畑の間に人や荷車が十分に通れるだけの道を整備していく。この作業には、主に体力のある若い男たち、特に自警団として劉備たちの指揮下に入っていた元・盗賊たちが多く割り振られた。その為、監視の意味も込めて関羽が全体の作業を監督することになった。
2つ目は、農地の土壌改良である。本来、これは1つ目の作業と並行して行うことなのだが、金次郎はこの作業を2つの工程に分けて行った。
まず、近くの森から土や落ち葉などを集めてきて、畑の整備をしている班に渡し、直接の土壌改良を行う。
そして、それと並行して畑から少し離れた場所に穴を掘り始めた。聞くと、掘った穴に各家々で出た糞尿を集めて木くず、落ち葉や食べ残しのごみなどを混ぜて発酵させ、畑の肥料にするそうだ。
これには2つの目的があり、1つは単純な肥料の製造、もう一つは、糞尿を各家から回収して集めることで、疫病などが流行るのを防ぐのだそうだ。
この作業は誰もが嫌がってやりたがらなかったが、金次郎と村長が率先して参加し、少しずつ作業に参加する村民も増え始めた。
ただ、やはりこの作業に参加すると汚れてしまう為、参加した者は病気にならない様、必ず川で体をよく洗い、衣服も毎回着替える様に金次郎が指示を出していた。
浴場が欲しい、と金次郎がこぼしていたので、エドモンドらに相談することにした。
3つ目は、先日の夕食の際に金次郎が披露した食材の種、苗を集めることだ。
金次郎が、名前が覚えにくいと言ってそれぞれに新しく名前を付けたのだが、ザインの花改めザイン大根、コーライン草改めコラ芋、エルフ豆改めエルフ蕎麦、そして、コーチ茸の種や根っこ、コーチ茸の場合は生えている倒木。
これらを村の周辺からできるだけ多くかき集め、最低限食べる分量を除いて倉庫に詰め込んだ。
コーチ茸だけはとりあえず日の当たらない場所に運んできた倒木を放置し、生育状況を見るらしいが。
こちらの班はソフィーとモーリスの兄弟が中心となって進めている。
最後に、村の近くを流れるレムル川の支流から、畑に水を引く為の用水路の建設だ。
ただ、これについては何年もかかると思われるので、まずは水路を通す場所を決め、それに合わせて畑も整備していく計画とのことだ。
ただ、人手が足りないので水路の開通まで10年近くかかるのではないか、という話だった。
具体的にすぐさま何かをしなければいけないわけでもないので、この作業については職人たちを監督するエドモンドに手伝ってもらいながら、僕が中心となって行うことになった。
自警団がほとんど畑の作業に参加してしまった為、劉備と張飛は何名かを連れて村の周辺で見回りを行っている。
最近では村の近くに魔物や盗賊が出てくることは少なくなってきたが、それでも全く無くなったわけではないので、念のため、という感じである。
とはいえ、これまでの見回りと比べると格段に楽で、安全になってしまったので、劉備は見回りの傍ら森に入る班の手伝いを、張飛は狩りに精を出している。
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