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第15話 金次郎の野菜話 その2

誤字・脱字・不明な表現等があればコメント欄でご指摘お願いします。

登場してくる偉人たちは筆者のイメージに則しているので、歴史的事実や最新の研究内容とは異なっている場合がありますが、予めご了承下さい。

 金次郎が次に取り上げたのは、草のツルの部分が紫色のこぶの様になっている植物だった。

「これは?」

「これはコーライン草というそうです。この根の部分が食べられるのではないか、と何度か試みたそうなのですが、非常にまずく、食べると腹を下すそうで、」

「それは食べられないということでは?」

 エドモンドが金次郎の話をさえぎった。確かに、今の話を聞く限り、毒がある様だ。

「このままでは、ということではないかと思っています。」

 金次郎が笑いながら答える。

「私のいた国でも、毒があって食べられない作物もありましたが、中にはあく抜きという作業をすることで食べられる様になる物もあります。聞く限り、少しだけ食べる分には腹を下す者は少なく、どうしても食べるものが無いときに仕方なく食べていた様です。これを食べられる様にする方法を見つけられれば、畑で育てられます。」

 自信満々に答える金次郎に、エドモンドもそれ以上は何も言わなかった。

 金次郎はこの他にもいくつかの草や花について説明をしてくれたが、それらはどちらかというと、食料というよりは薬として使用されている物の様だった。


「最後の2つはすごいですよ。」

 金次郎が目をキラキラと輝かせながらキノコと種のついた草を取り出した。

「これはエルフ草では?」

 モーリスが金次郎の取り出した草を見て言った。

 エルフ草のことは僕も知っている。この草の種を煮出した汁をエルフが好んで飲むのだ。何度か飲んだことがあるが、そこまで美味しい物でもない。

「これも今夜試してみたいのですが、私の国にある蕎麦とそっくりなんです。形も香りも瓜二つ。これがもし蕎麦と同じであれば、やせた土地でも育ち、体にも良い上に美味い、という最高の食べ物になります。私も江戸詰めをしていた頃に近所に美味い蕎麦屋がありましてな、よく通ったものです。」

「でもまだ、そのソバという物と同じかどうかわからないのでは?」

 モーリスの問いかけに、少し驚いた顔をする。

「ですから、夕食で試してみるのですよ。」

 金次郎がにこりと笑って答えた、


「もう一つのそれは何ですか?キノコの様ですが?」

 気を取り直して、最後の食材について尋ねる。

「これはコーチ茸と呼ばれるもので、毒が無く食べられるキノコだそうです。少し違いますが、私の国で食べられている椎茸というキノコに似ております。枯れた倒木から生えておりましたので、上手くすれば村で育てられるかもしれません。」

 比較的やせた土地でも育てられそうな植物がいくつも見つかったことで、食糧事情に少しだけ希望の光が差し込んできた。

 ただ、まだ本当に畑で育てられるかわからないうえに、いくつかは食べられるかどうかもわからないのだが。

ご拝読ありがとうございます。

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