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第1話 伯爵家嫡男、追放される。

誤字・脱字・不明な表現等があればコメント欄でご指摘お願いします。

登場してくる偉人たちは筆者のイメージに則しているので、歴史的事実や最新の研究内容とは異なっている場合がありますが、予めご了承下さい。

「モンテール伯爵家嫡男、レオナルド殿!鑑定宝珠の色は赤!魔力量は1等級、魔法適性は召喚術!」

 神官によって鑑定結果が宣告されると、周囲がざわつき始めた。

 この日はモンテール伯爵家の長男、レオナルド、つまり僕の「成人の儀」当日であり、貴族にとって最も重要である魔力総量と魔法適性の鑑定が行われる日である。


 魔力総量は1等級から10等級まであり、1等級が最も使える魔力の量が多いとされる。また、魔法適性は火、水、土、雷、氷、光、闇、召喚術の8種類があり、別名「神聖魔法」とも呼ばれる光魔法が最も希少とされている。次に希少なのが「万物を無に帰す」闇魔法で、その次に雷、氷魔法が続く。召喚術は土魔法に次ぐもっとも下賤な魔法とされている。

 召喚術とは、主に魔力を糧とする魔物や魔族を召還して使役する魔法であるが、召喚した対象を支配下に置く為には大きな魔力差が必要であり、基本的には下等な魔物を使役できるといった程度にとどまっている。

 そもそも貴族社会においては、魔物の様な下賤な生き物を使役することは恥であり、強く忌避される魔法適性である。


 成人の祝いに集まってくれた親戚や領民の代表者、聖教会の神官・修道士たちは大騒ぎになってしまった。

 父ヴィクトールも頭を抱えて立ち尽くしており、母エレオノールはめまいを起こしたのか、倒れて侍女たちに介抱されている。


 そんな人々の様を僕は冷めた瞳で見渡していた。

 何故なら、ちょうど1年前、夢に現れた「神を名乗る何か」によって、今日のこの結果が示されていたからだ。

 その日以来、僕は隠れて召喚術の研究を続けてきた。実際の召喚は行わなかったが、召喚術に関する研究を行った文献や、実際の召喚術師の記録などを読み漁った。

 また、剣や槍、弓の鍛錬にも力を入れてきた。この後に何が起こるかを知っていたからだ。


「名門たるモンテール伯爵家の嫡男が召喚術師などと、認めるわけにはいかぬ!!即刻廃嫡すべきだ!」

 そう叫んだのは母方の叔父であるフィリップ・ド・ヴァランタン侯爵だ。

 すぐに集まった人々から「そうだそうだ」と声が上がる。


「かくなる上は是非に及ばず、レオナルドは本日をもって廃嫡とし、替わって弟アレクサンドルを嫡男とする!ついては神官殿、本来は来年行うべきアレクサンドルの鑑定の儀を、今この場でお願いしたい!」

 父ヴィクトールが声高に宣言すると、神官が「ならば」と弟の鑑定を始めた。


 弟の鑑定結果は、魔力総量が3等級、魔法適性は雷と土。

 土魔法は低等級とされる魔法だが、そもそも複数の魔法適性を持つ者は希少であり、雷魔法は高位とされており、居並ぶ者たちは万雷の拍手を弟に送った。

 覚悟はしていたが、僕はこの時の光景を死ぬまで忘れないだろう。


 父とその周囲の人々の蔑むような眼と、弟の勝ち誇ったような瞳を。



ご拝読ありがとうございます。

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