ゴールドラッシュの夢
ツ)君には夢はあるか?
ボ)唐突になんだ?まぁいい、その話に乗ってやろうじゃないか
ツ)なんか初っ端から上から目線だな。もしかして夢とか馬鹿にしてる?
ボ)そんなことはない!俺にだって夢くらいある!まぁ、俺の夢はさて置き、君の夢はなんだ?
ツ)あ、僕の夢を聞いてくれるかい?
ボ)やっぱり興味ないから聞かなくていいや。
ツ)なんだよそれは!
ボ)君のショボい夢なんかどうでもいいよ。まぁ俺のスケールのデカい夢を聞いてくれよ。
ツ)ショボい言うな!
ボ)俺の夢はねぇ、金を掘り当てる!ゴールドラッシュ!アメリカンドリームって奴だ!
ツ)アメリカンドリームって、ここは日本だけどね。まぁ言いたい事はわかる。あれだろ?川とかでザルでシャッシャーって砂金取るやつ。観光地でやったことあるわ。
ボ)チッチッチッ、ちっちゃいちっちゃい!────なに?ザルでシャッシャー?シャッシャー??
ツ)う、うるさいな、砂金とか取るとこはそう言う感じなの!
ボ)俺はそんなちっちゃい話じゃなくて、金鉱脈を掘り当てたいんだよ!
ツ)そりゃまた大きく出たね
ボ)男なら夢は大きく!女子供は現実を見ろ!
ツ)なんだよその問題発言!
ボ)いいか!よく聞け!白馬に乗った王子様もサンタクロースも存在しない!都市伝説だ!
ツ)ダメダメ!そう言う夢を壊すような事を言ったら駄目!
ボ)世の中の女性陣はよく聞け!白馬に乗っているのは王子様ではなく将軍様だ!
ツ)ああ、ここでそう言うボケを言うのね
ボ)それからサンタだがな、奴はお年寄りだから無理が出来ない!だが、そう遠くない将来俺が二代目を襲名するから安心しろ!
ツ)ま、まぁそう言う事にしておきましょうか
ボ)俺は子供達に現実を突きつける事に何のためらいもないぞ!サンタは夢の国の住人ではない!現実に居るんだもん!パパがそう言ってたもん!!
ツ)いい歳こいた大人がパパ呼びかい!!そこにビックリだわ!
ボ)何がおかしい!?サンタも俺のパパも実在する!
ツ)ああ、少なくとも君のパパはいるでしょうね。何の問題もないですよ〜そう言う事にしておきましょう
ボ)いや、何言ってるんだ。問題は有る!
ツ)なんか聞くの怖いけど………とりあえず聞くけど、なんか問題があるの?
ボ)俺が二代目サンタを襲名する為に必要なものがまだ手に入らない!
ツ)あ〜、とりあえず言ってみるけど、真っ赤な鼻のトナカイとか空飛ぶソリとか?
ボ)そんなものは、もうすでに手に入れてる!
ツ)手に入れてんのかよ!?
ボ)俺がまだ手に入れることが出来ていないもの────それは世界中の子供達に配るプレゼントを手に入れる為の財源。そう!金鉱脈だ!
ツ)あ、そこにつながるわけね!
ボ)俺は君が思っているほど馬鹿ではない。俺は水面下で金鉱脈を探す為に色々調査を行っているのだ。
ツ)へぇ〜、それってどんな調査?
ボ)俺は金鉱脈を見つけるには地名がヒントになると考えた。だが地名に『金』が付く所はすでに掘り尽くされていると考えた俺は、あえて『銀』の付く地名に目を付けて、土地を買い占めようと考えた!
ツ)ああ、なんかちゃんと考えてるんだね!確かに金が採れる所って、近くに銀山だとか銅山だとかあるって聞いた事あるかも!
ボ)そこで賢い俺は『銀』の付く地名をヒントに『銀座』の土地を買い占めようと考えた訳だが…………儚い夢だった。あんなに土地が高いとは………
ツ)お前本当に馬鹿だろ?
ボ)だがこの話には続きがある。銀座の土地を買い占めるという夢に破れた俺は気付くと酔っ払って自宅の庭に穴を掘っていた。
ツ)ああ、銀座で呑み歩いて帰ってきたわけね。でも記憶なくすほど酔っ払ってもちゃんと家まで帰ってきて偉いね。穴を掘っていたのはどうかと思うけど。で、一応聞くけど金は見つかった?
ボ)いや、結局その日は金を見つける事が出来なかった。掘っても掘っても、出てくるのはダイヤモンドばかり。金鉱脈を見つける事が出来なかった俺はがっかりして掘った大量のダイヤを燃料に焚き火をして一夜を過ごしたんだ。
ツ)もったいない!なんてことしてるんだよ!お前ホントに馬鹿だろ!!
ボ)まぁまぁ、この話はまだ続きがある。
ツ)────続き?まだ何かあるのかよ。でも、もうちょっとやそっとじゃ驚かないぞ。
ボ)俺は次の日も庭を掘り続けた。そしたら出たんだ!
ツ)え?金が出たの!?
ボ)残念ながら出たのは金じゃなくて黒い水だ。ガソリンみたいな臭いがするし火もつくし、危なくて困っている。
ツ)それって、もしかして原油なんじゃ!?
ボ)水量が多くて川まで出来てしまってな。あれで水力発電出来ないか考えている所だ。
ツ)お前ホントに馬鹿だろ!
ボ)あ〜、ゴールドラッシュの夢は遠いなぁ。
〜終わり〜