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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
追憶の母

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吐露 Ⅰ

(涙の跡がある…………)


 起床後、鏡を見た守美子は自身の頬に涙の後が残っていることに気がついた。

 昨夜、覚えている限り、泣いてはいない。

 自分の情けなさに泣きそうにはなったが。


 覚えていないとなると、寝ている間ということになる。

 けれども、守美子には昨夜見ていたであろう夢の内容の記憶がない。

(そもそも夢を覚えていないことのほうが圧倒的に多いが)


 覚えていないのなら、気にしない。

 守美子は、普段どおりに朝シャワーを浴びて、着替える。

 普段どおりとは言え、昨日までの無茶の影響で、基本的に毎日同じ時間帯に目が覚める守美子にしては珍しく、盛大に朝寝坊をしでかしたが。


 シャワーを浴び終えたら、洗濯機を回して溜まっていた洗濯物を一気に片付ける。

 一人暮らしであり、守美子があまり服装に頓着せず、加えて夏であることから、溜まったとは言え、そう多くはないが。

 朝ごはんを適当に用意して、ニュースをBGMに手早く完食する。

 軽く掃除をして、洗濯物を干す。


 本日の守美子の予定は、夏休みということもあって、最近入り浸り気味の双葉子供園にて、弟妹たちに勉強を教える予定なのだ。


 守美子としては、態々高額の借用金を払って部屋を借りるのはどうかと思うのだが、子供園の方針として、収入が十分にあるものは居させられないために、一人暮らしをしているが、そんな制度が無ければ絶対に子供園から出たくなかった。


 どうせ最近のように入り浸ることになるのだし、守美子の個人的感情としても、家族と共に暮らしたいために、無駄にしか思えない。


 感情面だけでみると、そうなってしまうが、守美子(年長者)がずっといると子どもたちの自律をうながせないのだろうと分かっているため、ときたま守美子は、理性と本能の間で板挟みにあう。



 閑話休題。


 予定の時間には間に合うが、それでもなるべく早く子供園へと向かう。

 寝坊するほどまでに寝たからか、守美子の思考は大凡普段の明瞭さを取り戻していた。

 だから、昨日に比べて、遥かに処理能力は(上が)っている。


 それは即ち、普段の処理能力では理解できないことに、直面すると思考が停止するということでもあるのだが。



 ________________




「…………結、どうしているの?」

「……あ、守美子さん。お邪魔してます」


 こんなにすぐに直面するとは、一体誰が予想できたか。

 子供園に9時半頃に着いた守美子を出迎えたのは、家族。と何故かいる結であった。

 開口一番理由を問いただすと、結は少しばかり言いよどんで。


「…………守美子さんの家がわからなかった、から……?」


 そして、疑問形で守美子の頭を?マークが占領しだす。

 言った本人も説明不足なのは分かって、若干あたふたしながら、何とか説明をする。


 それを纏めると、


「昨日の私の様子から、体調が心配になってメールを送っても、連絡が付かず、様子を直接見に行こうにも住所が分からず、子供園(ここ)に来た。ということね」


 守美子の言葉に付け加えるとしたら、明と鳴音は守美子の住所を知らず、不審者(凪沙)とは連絡先を交換していないために、子供園に来る他無かったと言える。

 流石に魔法局では個人情報管理の観点から、教えて貰えない。


「確かに、メール確認してなかったわね。……心配せずとも体調は大丈夫よ」


 守美子は、妹たちとそう年の変わらない少女に心配されるような状態になっていた自分を思い出し、自嘲気味に笑みを深める。


「守美子さん、ちょっと顔色悪いけどね。それに芽衣ちゃん達にまた会いに来たかったし」

「…………………………」


 守美子は基本的に化粧をしないので(魔法少女として訓練やら戦闘やらをしてたらすぐに落ちるため)、その若干青い顔色を隠すものは何も無い。

 本人にも自覚があったために、閉口する他ない。


「――あ、結お姉ちゃん。ここ教えて?」

「分数の割り算だね。私もここ苦手だったなぁ……」


 何だろう。凄い馴染んでる。

 形容し難い表情を携えて、他の子どもに勉強を教えに向かった守美子であった。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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