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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
追憶の母

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家族の形 Ⅱ

「ここが……」

「ええ、私の実家――双葉子供園よ」


 芽衣の迷子になった次の日、結は守美子に連れたって、守美子の実家というべき()()()()()()に来ていた。


 話は昨晩まで遡る。


「児童養護施設、ですか……」

『そう、簡単に言えば私は、私達は孤児――親のいない子供であるということよ』


 結は守美子に芽衣との関係性を聞いたことをかなり後悔した。本来なら興味本位に踏み込むべきでないところに土足で踏み込んでしまったのだ。

 いや、そもそも事情を聞いてからそのような後悔をすることこそ、守美子らに対する侮辱になりうる。

 まだ子供であるとは言え、手に職をつけている身なのだから、その辺りは出来ていなければならないのだ。


「それで、芽衣ちゃんもそういう子ってことで、元々の生まれが違うから名字が違う?」

『まあ、そうね。私としては名字はどうでもいいのだけど、中には病気とか事故とかで家族を亡くして来たっていう子もいるから、名字とかの統一は無し』


 本当に踏み込まなければよかった。結としては親がいないからと何かを思うことはないが、他人に触れられたくはない面というのは、誰であろうと持っているもので、今回の結はそこを突いた。守美子と自身の立ち位置を入れ替えて考えれば、すぐに気がつくであろうこと。


 結は今回考えなしであり過ぎたのだ。

 いや、結は思考を大して挟まずに行動することが多すぎるのだ。これは戦闘において命取りになりかねない。それ以前に、普段の生活でも苦労が付き纏うこととなる。(特に人間関係等)



 _______________




「ただいま」

「おかえり、お姉ちゃん!」


 守美子が扉を開けると、そこには芽衣を含む4人の子供――いずれも小学校低学年の男女が待ち構えていた。


「あ、結お姉ちゃん!」

「誰え?」

「前に助けてくれた人っ」


 初っ端から大騒ぎ。頭痛を抑えるように守美子は目元を揉みほぐす。

 はあああ、と長い溜息の後、守美子は結に向き直る。


「ごめんなさい、騒がしくて」

「ううん、こういうの嫌いじゃないんだ。それと、お邪魔します」

「はい、いらっしゃい。ほら、お客さんが来てるからどいて。通れないから」


 守美子の声に素直に従い、子どもたちは道を開ける。が、直ぐ後ろを追従してくる。

 理由はあるのかと結は芽衣に聞いてみると、


「お姉ちゃんが誰か呼ぶのなんて殆ど無いから。前に一人だけいたかな、くらい」


 との事。


 一行が廊下を進んでいると、台所(というにはかなり大きいが)らしき場所から二十代半ばの女性が現れた。髪を短く切りそろえ、その身にエプロンを纏っている。

 彼女は守美子が結、即ち施設の者以外を連れているのを見るやいなや、


「あら、守美子が人を呼ぶなんて、凪沙ちゃん以来じゃない?」


 と関心半分、からかい半分の声音で言った。ついでに肘で守美子を突っついている。

 守美子は何とも煩わしそうにしながらも、明確に拒絶することはない。


 あることに気がついて、結ははっとした。次いで自分が思い違い――偏見を持っていたことに。


()()()()()()()()じゃん……。それなのに私は何を…………)


 結は本人が自覚していたかは兎も角、他人同士が集まって施設の中で生活していると思い込んでいた。元々は血縁家族がいた者がいたのは事実であり、戸籍などの書類上は確かにそうだろう。

 けれど、それは違った。


(ここにいる人達は他人じゃないんだ。一つの()()なんだ…………)


 なんて醜いのだろうか。自分は今まで一体何を考えていたのか。

 血縁家族が欠けること無くいるからこその思い過ごしか。それがどうであれ、結は世の中にそういう人がいると知っていても、理解していなかった、否、今なお理解できていない、その事に打ち震えた。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。


こう見ると、結は何とも醜いのか、人間としては普通なのか、意見の割れそうなキャラしてやがる。なんて面倒なキャラなの……?(生みの親の発言)


誠に勝手ながら、6月の更新はこれにて最後にさせていただきます。

次回は7/1から。


最後に、7/1から新作開始します。

VRアクションものです。

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