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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
追憶の母

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邂逅又は接近 Ⅱ

「......ええっと、大丈夫、じゃないよね?」


 思い切り顔面をアスファルトに打ち据えたのだ。大丈夫とは言い難いだろう。

 取り敢えず、転んだ少女に手を貸して起き上がらせる。

 少女は痛みに涙目になりながら、泣き出してはいない。


「お膝怪我しちゃってるね。結ちゃん、絆創膏とか持ってない?」


 謡が先に気が付いたが、少女は膝を擦り抜いてもいた。顔についた擦り傷に目がいってしまって、良く見れてなかったと人知れず反省する結は、慌てたように鞄から絆創膏と消毒液を取り出して、はたと気が付いた。


「先に傷洗わないとね。でも、近くに水道とか無いしね。......ちょっと待っててね?」


 そう二人に向けて言うと、結は近くのコンビニに入っていく。

 そこで、飲料水のペットボトルとちょっとしたお菓子を購入する。

 すぐに二人の下へ戻る。


 少女にお菓子を食べさせながら、傷を洗い流して消毒及などの治療をする。

 その間、少女は一度たりとも声を上げなかった。とても強い子だと結は思った。

 その時に鞄に書かれた名前らしきものが目についた。

 それは、井上 ――。掠れて名前を読み取ることはできなかった。


「......それで芽衣ちゃんはお姉さんとはぐれちゃったんだね? お姉さんの見た目とか分かるかな?」


 芽衣と名乗った7歳の少女は保護者的立場の姉とはぐれて探し回っている内に、結と謡の前に現れたそうだ。

 人探しを手伝う気満々だった結は、外見的特徴を尋ねてからそれに気が付いて、謡をちらりと見る。

 本来は遊びに来ている謡に聞いてからすべきだった。

 そんな結だったが、謡は、わかっているとでも言うように緩く首を振る。

 謡の性格的に芽衣の事は見捨てられない。

 ......結にもそれが分かっていたからこそ、先に聞くという発想がなかったのだろうか。


「えっと、お姉ちゃんは背が大きく(おっきく)て、髪はいつもポニーテールで、ええっとそれから............」


 続きの言葉が出てこないのか、段々と尻すぼみになっていった。

 それでは正直埒が明かないので、結は対象を絞るための質問をする。


「芽衣ちゃん、お姉さんの背は私達よりどれ位大きい? あと何歳かな?」


 そんな結の質問に芽衣は辿々しくも何とか答える。


 その後、幾つかの質問で得た情報を纏めると、


「身長160cm位で髪型はポニーテール、高校生。あと今日の服装はパンツスタイルに白無地のシャツ。......くらいかな? 分かったのは」


 己の思考をまとめるようにそう口に出した謡。内容は結も把握していたが、なにか引っかかる。


(どこかで聞き覚えがあるんだよなあ......。どこでだろ? ポニテ、身長160cm、高校生。............あっ)


 必死に思考を巡らせる。そうして結の頭に浮かんだのは、一人。


「芽衣ちゃん、そのお姉さんこの人?」


 結はマギホンに入っている写真を見せる。画面を見据えた芽衣の目が見開かれた。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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