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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
追憶の母

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邂逅又は接近 Ⅰ

祝10万字!

「結ちゃん、お待たせ」


「ううん、大丈夫だよ、うたちゃん。待ってないよ」


 明への相談をして数日、結は謡と遊ぶ為に街中に出て来ていた。なお、ここ最近結はずっと出掛けているが、宿題はすでに終えている為、何の心配も無い。


 待ち合わせの場所に15分前に着いた(待ちきれなかったとも言う)結に、遅れる形で来た謡だが、彼女も彼女で10分前行動をしている。

 よって、待ち合わせよりも早く2人の散策は始まった。



 彼女らが先ず向かったのは、大型の衣料品店だ。

 ショッピングモールはダイバーと(さき)の戦闘にて崩壊して、瓦礫の撤去は進んでいるものの未だ建て直されていない。

 建て直すにしても、場所は変わるようだ。

 死人が出てしまった地にもう一度、とはいかないのだろう。


 それはそれとして、結と謡はやって来た衣料品店にて、秋物を物色していた。


「結ちゃん、これなんかどうかな? 似合う?」


 謡が体に当てる形で結に見せたスカートは、落ち着いた雰囲気が謡の印象と良く合っていた。

 普段自己主張をあまりしない(魔法少女関係の際は除く)謡がわざわざ示したのだ、その表情からも相応に気に入っているのが見て取れた。

 だが、


「うたちゃん、これ大丈夫? 割とお高めだよ?」


 結としては水を差す用で言うのに罪悪感が募ったが、今謡が手にしているものは、4千円程。小学生としては、出すのに少々勇気の居る金額だろう。

 けれど、謡は大丈夫だと言う。


「実はね、この前お母さんとお洋服の整理したんだけどさ、その時に秋物が足りないねってなって、それをお父さんも聞いてたみたいで、朝結ちゃんとお買い物行く話ししたら、気に入ったのを買ってきなって、お金貰ったんだ」


 曰く、壱万円貰って何着か買っておいでとのこと。

 そこで謡は、はっとした。


「そういう結ちゃんこそ、お金大丈夫なのっ?」


 謡は、結が夏休みに入る前に本を買い込んでいたことなどを知っているし、今現在結の買い物かごには無地のシャツに他にも何点か、商品が入っている。

 結の金銭面を心配する謡だが、それは杞憂に終わった。


「うたちゃん、私はお仕事的に......」


 そう。魔法少女である結は相当な高給取りなのだ。魔物を一体単独で討伐しさえすれば、簡単にひと月あたりの手取りが100を超える。

 寧ろ多少なりとも使わないと、経済に悪影響が及びかねない。

 そう守美子と明に口を酸っぱく言われたため、結の金銭感覚は段々と変化していってる。



 服を買い終えた結と謡は、次はどこへ行こうかと、話しながら街中を歩いていく。


「――じゃあ、普段あんまり行かない本屋さん巡りでもしよっか」


 何というか本当に振れない二人である。この二人が集まるとほぼ必ず本屋へと入っていく。

 謡は兎も角、結は小学校に入りたての頃はこうして本屋巡りをするようになるとは思いもしなかった。

 偶々席が近かった綾生(あやみ)と本の話になり、偶々紹介された本を気に入り、そのまま沼へと嵌まった。

 だからこそ、彼女が居なくなった後も彼女をよく思い出すのだろうか。


 そんなようなことをぼんやりと考えながら、ゆったりと歩く。

 突然、横道から人影が躍り出た。

 驚き、固まる結と謡。

 身動きの取れない彼女らの眼前で件の人影は、


 石に躓き、前のめりに倒れ込んだ。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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