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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
追憶の母

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彼女の始まり

お待たせしました!

 もう何年も昔の話。


 ある少女には、とても優しい”母“がいた。

 より正確には少女()には。


 彼女は沢山の子供達の為に、家事、畑仕事、家の修理など仕事に明け暮れた。

 勿論、子供達も家事や畑仕事は手伝っていた。

 けれども、限界はあった。


 また、彼女の胸にはいつも不安が渦巻いていた。

 子供達は将来生きていけるのか。自身はどこまで介入すべきなのか。既に自身の元を去っていった我が子たちは元気なのか。

 不安が更なる不安を誘発し続けていた。

 いつしか彼女の眠りは浅い状態のままになった。


 結果的に彼女への負担は底知れないものだった。

 しかし、彼女は折れなかった。

 例え何があろうと笑顔を絶やさずに。

 彼女の母が守ってくれた家を今度は自身が守る為に。


 けれども、少女だけは知っていた。

 辛い状況に母が涙していた事を。

 いつも自分達を守ってくれるその背はとても強く、同時に弱い事を。


 後に母の側も少女が()()()()()ことを認識し、彼女にだけは弱みを見せるようになった。

 少女はそれまで以上に母と仲良くなった。


 母と少女。

 互いに支え合う2人は、例え血の繋がりが無かろうと、家族であった。


 弱みを誰かに見せられるようになったからか、母はそれまで以上に強く、美しく、そして何よりも優しくなった。

 精神的な余裕が出来たという表現が近いか。


 金銭的な余裕は無いけれど、確かに心は満たされた。


 元々病弱であった少女が寝込んだある時、母は看病をしながら、少女にあるお願いをした。


「いつか、私が居なくなっちゃった時に、誰も子供(あの子)達の面倒を見てくれる人が居なかったら、その時は力を貸してあげて」


 居なくなっちゃ、嫌だ。

 そう縋るように涙目になる少女。


「まだまだ居なくなるつもりは無いわよ。……でも、絶対じゃない」


「本当は貴女()()頼むべきでは、無いんだけどね。でもね、此処は私の、私達のお家だから、出来たら守って欲しいんだ」


 自分は身体も心も弱いから、守れない。

 そう零す少女に母は続けた。


「それなら、私にも出来ないわよ。まあ、うん。貴女の方が心は強いわよ。子供に心の強さが負けてる私でも守れるから、大丈夫だよ」


 そう愛おしげに遠い過去を臨む母の眼を、その時の言葉を少女は今でも覚えている。


 だから、彼女亡き今、自分が守らなくては。

 愛おしき家族を。笑顔を。

 母と暮らしたあのとても小さく、とても温かいあの家を。


「大丈夫だよ、()()()()。私が居るから。大丈夫……」


 彼女は後にそう溢したが、それは母にでは無く、自身に言い聞かせているようだった。

お読み頂きありがとうございます。

2章の始まりです。今後も読んでくださると幸いです。

キャラクター一覧の後書きに書いた通り、守美子さんが大暴れします。(寧ろ暴れない章無いかも)


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