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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
初めての変身

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収束則 Ⅹ

「アアアッ!」


 右手の魔法具(愛本)を叩きつける。相手の魔力が薄くなっている箇所を狙った一撃。


「ーーハッ」


 嘲りとともに容易に払い落とされ、逆に反撃をもらう。

 エレクの『起源魔法(オリジン・マギカ)』を凌がれた後、グラジオラスの負担を減らすために、セージゲイズは前衛に躍り出た。


 だが、結果は火を見るより明らか。相手の防御の薄いところ、それも魔力の乱れによるものであるためダイバーの意識しない箇所への攻撃の尽くをいなし、防がれ、反撃を打ち込まれる始末。

 そもそもの問題なのだが、


(こいつ、分かってはいたけど相性が悪いわねっ……)


 魔力の乱れ、体表を覆う魔力に様々な要因でほんの僅かに空いた空白、それは当然ながら場所が変わる。それも大した前兆もない時すらある。

 そこを狙うのは至難の業、けれども彼女はそれに特化した才を持つ。


魔を垣間見る(スペル・スコープ)』により魔力の乱れは見えている。多少の変化にも磨き上げた技が対応してくれる。


 ただ、眼前の敵は別なのだ。彼の魔力特性『発散』は一箇所に留めることが非常に困難である為か、魔力の乱れの位置が変わり易いのだ。

 加えて、セージゲイズよりも数段高い近接能力。

 グラジオラスと連携を取ろうにも『断崖絶壁毀す(ディバイン・プ)白亜の加護(ロテクション)』は途切れ、それでもなおた戦い続けた彼女は既に満身創痍。

 エレクの近接能力など皆無に等しい為、結果的にセージゲイズ一人で戦う(やる)しかないのだ。


 けれども、そんな状態でそう長く持ち堪えられる訳も無く、


「いい加減、落ちろ!!」


 カウンターとして、回し蹴りをモロに食らう。

 衝撃でセージゲイズの視界は白んだ。


「ーーゲホッ、ガフ」


 咳き込んだ拍子に口の中に血の味が広がり、足下に飛び散った。肋骨3本の骨折。

 最早、立ち上がる事もままならず、両手を付かなければ身体を支える事さえ出来なくなった。


「終わりか。……まあまあ愉しかったぜ?」


 少女たちに戦うことは最早出来ず、

 対して、敵は幾つもの傷があるののの、未だ健在。


 とどめとして、ダイバーの右腕が掲げられた。

 ぽたり、ぽたりと血が滴るにつれて、纏う魔力が増大していく。腕を振りかぶり、頂上で一度止める。

 周囲を見渡し、満足げな笑みを浮かべる。


 まさしく万事急須。けれども、止められる者がただ1()()


「させないよっ!!」


 撃鉄が鳴る。以前よりも鮮やかな赤色の魔力がダイバーを弾き飛ばす。


 ざざっ、と靴擦れの音が響いた直後、

 今度は対照的にトンッ、と軽い音が鳴った。


「ごめん、遅くなっちゃった」


 3人を見たのち、一言謝る。ワンピースの裾が揺れる。


「お前、名前は?」


 忌々しげにダイバーは()()を睨む。


 ーー名前、


 聞かれて少し考えてしまった。

 魔法少女(彼女たち)と同じように名乗って良いのか、

 一度逃げ出してしまった自分に、その資格はあるのか、


 いや、と彼女はかぶりを振る。

 一度逃げたからこそ、名乗らなければ。

 共に戦う覚悟は、出来たのだから。

 もう二度と失わない為に戦う覚悟は。

 だからこそ、彼女は口上を()()綴る。


「収束の魔法少女 ガルライディア! 私は誰も失わない!!」


 両手の重みを敵へと向けて、少女は周りを赤で包んだ。

一章終わってないのに、60話超えると言う……

次章からは1話1話もっと長くします。

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