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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
初めての変身

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無と紫紺

すみません、遅れました。

「食らいなさい」


 装飾華美な本を片手に、少女はもう一方の腕を振り下ろした。

 透明に程近い眼鏡を掛けたその目は、眼下の敵を貫くように。


「奔れ」


 身の丈を超える程の杖を両手に、敵を睨むもう1人の少女。

 黒衣に身を包み、三角帽に抑えられた金糸を揺らす。


 敵ーー街に急に接近してきた魔物を相手取るは、セージゲイズとエレクトロキュート・イグジステント。

 共同で魔物の討伐に当たっている。


 飛来した無色の純粋魔力塊が魔物の魔力の防御に穴を開け、空を奔る紫電が空いた防御の穴に叩き込まれる。


 セージゲイズが()()()()()()()()()()で開けた防御の穴はすぐに閉じてしまったが、彼女はエレクの雷撃による隙に、次弾を用意し終えていた。


「『弾け舞う小火(バースト・フレア)』」


 指の先程の大きさの火が魔物に突き刺さる。凝縮された魔火は体躯を覆う魔力をたやすく押しのけ、体内に入り込む。

 刹那ーー


「ガアアァッ!!」


 魔物の絶叫が耳朶を打つ。

 穴という穴から火の粉が吹き出した。


 凝縮した火を着弾後、爆発的に開放して、敵を内側から焼き殺す魔法『弾け舞う小火(バースト・フレア)』。


 獣は火に巻かれ、息絶えたのだった。


 __________



「明姉」


「どうしたの?鳴音」


 変身を解き、2人揃って帰路に着く。

 そのため、エレク(鳴音)の口調も普段どおりであった。


「大丈夫だと思う......?」


 誰がとは言わない。鳴音の思考を最も理解している明相手には言葉は少なくとも、全て伝わる。

 そもそも、今回の場合だと守美子にも伝わるが。


「どうでしょうね......。何にせよ、私達のやることは変わらないわ、()()()()()()()の」


 場合によっては冷たく聞こえるが、明の真意は鳴音には伝わった。

 以心伝心。この2人を形容することに関して、これほど適した言葉も中々無い。


 明も鳴音も結の事情は守美子からではあるが、聞いていた。

 もう、戦えないかもしれない。少なくともしばらくは休養が必須であると。


「これは、あの子自身がけりをつけるべきことで、他人は手伝うことは出来ても最後は1人で決めなければならないの」


「うん......。そう、だよね」


 話している内に、空も空気も黒く染まっていってしまった。

 けれど、彼女らは願った。


 少女が納得でき、自分たちの元へ帰ってくることを。

読んで頂きありがとうございます。

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