恐怖 Ⅱ
久々の更新だったのに、沢山の方に読んで頂けて、非常に嬉しく思います。
ありがとうございます。
結は香織の胸元で数日ぶりの睡眠に着いた。着けた。
だから、これは夢だと分かっている。
教室で会話に講じるのは結含めて4人。
「今日、何処か行かね?」
「ごめん、放課後病院行かなきゃ……」
陽子の誘いを申し訳なさげに断るのは、かつての友人。
名を白川 綾生。
彼女は生まれつき身体が弱く、定期的に通院していた。
彼女の身体は病魔に蝕まれ、その文字通り病的なまでに細い手脚が彼女の健康状態を物語っていた。
小学校になったばかりの頃に、結と綾生は別々に迷子になって、偶々出会って2人で行動したのが関係の始まりだった。
その頃はまだ彼女の身体は健康に近かった。
その日の放課後、結は陽子、謡と遊んだ為に綾生の身に何があったのかを知る由はなかった。
周囲の風景が切り替わる。
「白川さんを見つけた人は、すぐに連絡を。そして、誘拐などには皆さんも気を付けてください。最低でも1人での行動はしないで下さい」
その翌日の朝のホームルームにて、当時4年生だった結達の担任は重々しくそう伝えた。
綾生が行方不明になったのだった。
「……放課後、みんなで捜しに行こうよ」
謡がそう言う前から結も陽子もそのつもりでいて、謡が言い出さなかったら、2人のうちの何方かが言っていただろう。
けれども、いくら捜しても見つからない。
暗くなるまで捜し、暗くなってもまた捜す。
3人とも、親に強引に捕まるまで捜し続けた。
「お巡りさん達が今捜し回ってくれているから、安心して、ね?」
当時ほんの数週間ながら仕事が少なかった香織は、そう結を宥める。けれど、彼女は止まらなかった。
止まる訳にはいかなかった。
1番付き合いが長くて、一緒に遊んで、一緒に笑って、そんな大切な友達を見つけるまで、結は一切止まるつもりはなかった。
その明る日も捜し歩き、またもや香織に捕まり、家に帰る。
「綾生、何処にいるの……?」
結を安心させる為か、夜中に捜しに行く事を止める為か、香織の胸の内に捕まりながらも、そう漏らす。
「大丈夫、大丈夫よ……」
香織は結の頭を撫でる。娘を安心させる為に。少なからず縁のある子の安全を願って。自身の事も宥める様に。
だが、現実は残酷だ。
さらに数日後、街周辺の森の中にて、少女の死体が発見され、鑑定の後、白川 綾生の物とされた。
結の視界を黒が満たした。
読んで頂きありがとうございます。
明日から新作を始めます。
ガルライディアとは一転して、ハイファンタジーになります。
是非読んでみてください。




