近接と名乗り Ⅳ
祝3000pv!ありがとうございます!
タイトルの番号を変更しました。
内容に変化はありません。
収束とは、何らかを終わらせることを示す。
集束とは、光などを一点に集中させることを示す。
収束には、他に収束的思考という、解に早く正確に辿り着く為の思考というものもある。
結の今までの魔力の扱い方は、集束に近い。
けれど、結の魔力特性は『収束』なのだ。
だから、先の質問は当然のものなのだが、
「実を言うと、僕も分からない」
アッシュからの返答には、正直がっかりする他ない。
結は既に守美子、鳴音、明にも尋ねていた。結果は察しの通り。
「そもそもで悪いんだけどさ、人間と僕達の言語は違うから、翻訳が上手くいってないだけじゃないかな?」
成る程と、結は思った。言語違うの知らなかったなとも。
「翻訳用の魔法で結達の言葉に直す形だからね。人間も異なる言語での翻訳は、意味が変わってくるでしょう?」
「そうだけどさあ……」
アッシュの説明は納得のいくものだが、結的には納得し難いようだ。
「結、そろそろお迎えの時間じゃない?」
そんなこんなで結とアッシュが話していると守美子が近づいてくる。
「あ、本当だ」
守美子の言葉に時計を見た結は、母が迎えに来てくれる予定の時間まで5分も無いことに気が付いた。
「守美子さん、ありがとう。……また、今度もお願いします」
「気をつけて帰ってね」
そうして、結は帰っていった。
「おい」
結が帰った数秒後、普段の彼女からは想像もつかない程にドスの効いた声が訓練室に響いた。
彼女の視線は、アッシュに向けられている。
「今すぐ失せろと言いたいところだが、吐け」
言葉は端的。不機嫌な様子を隠す気はさらさら無い。
それでも、アッシュは意図を察する。
「自分が魔法少女にした子の様子を見にきた、じゃ駄目かい?グラジオラス」
守美子にそう問い掛ける。
「嘘では無いが、まだ隠している事がある」
彼女の声音は冷めきり、もはや子供には見せられないような表情をしている。
そして、彼女の発言は見事に的を得ていた。
「結の精神は今、酷く不安定だ。まあ、僕は以前その不安定さに付け込んだのだけど」
彼らの問答に室温は下がる一方。
「あ、一応付け足しておくと、当初は今ほど不安定では無かったよ」
そう付け足して、アッシュは逃げるようにその場を去っていった。
「やはり、そうですか……」
背後のそんな声を聞きながら。
2人のあれこれは、また別の機会に。
守美子さんのあれは賛否両論あると思いますが奴限定なので普段に支障はありません。




