久方ぶりのお出かけ Ⅲ
今は一話1000〜2000文字くらいなのですが、今のままで良いのか、増やすべきなのか、思い悩んでいます。
宜しければ、ご意見の方お願いします。
食後に結と香織は、香織の服を見に行って、今度は逆に結が香織を着せ替え人形の如き扱いをしたり、本屋や雑貨屋など気の赴くままに、楽しんだ。
夕日に照らされながら、親子は帰路に着いていた。
握られている紙袋は総数8つ。他にも、元々持っていたバッグには、本や雑貨などが入っている。
「買い過ぎたわね……」
ぼそりと呟かれた。それが2人の現状を最も的確に表している。
「でも、楽しかったね」
「えぇ。また、今度は家族3人で行きたいわね」
今日の戦利品はずしりと重たい。
質量だけでなく、その思い出が激しく存在を主張する。
(失いたくないなぁ……。私に守れるようになれるかな?)
大切な人と出掛けて、はしゃいで、ゆっくり帰る。
そんな今日みたいな日を、日常を、失うたくない。
そんな思いは結のなかで、強まるばかり。
魔法少女になってから、その傾向は特に強い。
「……結?どうしたの?」
遠い目をしている結を訝しみ、香織は声をかけた。
「ううん、こんな日がずっと続けばいいなって」
思いの外、返答は早かった。
「そうね……。悪くはなさそうね」
「でも、時間が進んで大人になるっていうのも悪いものじゃないわ」
香織は、思いを馳せるように黄昏色の空を見上げた。
「子供の頃は、ずっと子供のままでも良かった。けどね、こうして、自分の子供と歩いたり、出かけたり、そういうことは子供のままじゃ出来ないわ」
香織の視線が結へ向く。
「だからね、結。今私はすっごく幸せなの。いつかあなたにもわかるわ」
まずは、相手を見つけなきゃだけどね。
そう、香織はおどけてみせる。
「まだ、よく分かんないよ」
結が眉を寄せる。
「まだ分からなくても大丈夫よ。私もこんな事言うようになったの最近だからね」
娘を微笑ましく思いつつ、過去の自分も母親から見たら同じように映ったのだろうと、少し苦笑する。
「お父さんが帰ってきたら、ファッションショーでもしましょう」
「うん。お出かけの自慢もしちゃおっか」
結の将来に幸あらんことを。その願いはきっと叶う。
彼女は、そう思った。
読んで頂きありがとうございます。




