久方ぶりのお出かけ Ⅰ
結が魔力制御の訓練を初めて数日。
今日は、魔法少女になってから初の日曜日だ。
「結、準備はいい?」
「うん、大丈夫だよ」
リビングに集まった親子はそう確認を終えると玄関にて、各々靴を履く。
「「いってきます」」
偶然にも重なり、笑い合う。
香織が鍵を閉めて、2人は街へと繰り出す。
今日は、2人で香織たっての希望のお出かけに行く。
ことの発端は、前日の夕ご飯中。
昌継はまだ帰って来ておらず、結と香織の2人だけの食事の席。
「結、明日時間ある?」
香織が突然言い出したことが原因だった。
「うん、丸々空いてるよ。どうしたの?」
お手伝いかな?と、結は思っていた。
暫く行っていないためか、結の頭にそれは浮かぶことはなかった。
香織は結の返答に笑みを浮かべて、
「明日、お洋服見に行きましょ?」
と言った。
その時の結の表情は、見ものだったとだけ追記する。
そんなこんなで急遽決定したお出かけだが、香織はもちろんの事、結も存外楽しみにしていた。
……2人揃って、目元に薄っすら隈があるのは、ご愛嬌である。香織の方は化粧で隠されているが。
2人並んで、住宅街を歩いていく。
今日の結の装いは、白いシャツワンピースにブラウンのパンツ。
香織は結と良く似た服装。絵面は双子コーデのそれである。
2人がまず向かったのは、街で一番大きなショッピングモール。
その中でも、レディースの服屋が多いフロアだ。
2人は、いくつもの店を見て回る。
基本的には、香織が選んだ服を着せ替え人形の如く結が試着して、また着替える。その繰り返し。
香織は、久方振りの娘とのショッピングに大はしゃぎ。
事実、結の数倍はテンションが高い。
可愛いさをメインにした服装、落ち着いた雰囲気の服装、様々なものを試させる。
試着するように渡された服が、一度で10着近くになり、ただでさえ狭い試着室が服の小山で圧迫された時には、それまで言われるがままに着替えていた結でも、
「流石に多すぎだよ!」
そう声を上げざるを得なかった。
それを香織が聞き入れたかは別として……。
結の試着回数が30を越えた頃、ようやく香織のエンジン(ブレーキは無いに等しい)は、多少おさまった。
その時には彼女らの手には、紙袋が5つほど握られていたが。
読んで頂きありがとうございます。
個人的な意見ですが、日常回って非常に難しく感じます。何ででしょうか?




