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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
初めての変身

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魔力制御 Ⅱ

長め

 

「まあ、最初はそんなものでしょう。むしろ、私やエレクが初めてやった時よりも上手いですね。特性が『収束』だからでしょうけど」


「『収束』か……。大魔力の扱いに長けた特性だったか。いや、別の性質を持っている例もあったのではないか? ......まあ、兎も角、良い拾いものをしたな、ガルライディアよ」


 ガルライディアが魔力を止めてから、数秒もしない内に、セージゲイズとエレクの両名から反応が返ってきた。

 とりあえず、及第点は貰えたようだ。


「魔力漏れちゃったんですけど、あれ、どうしたら……」


 失敗して、解決策すら思い付かず、ガルライディアは目に見えて落ち込んでいた。


「ふむ……。ガルライディアよ、これを見ていろ」


 そう言って杖をガルライディアの目の前にかざすエレク。


 ガルライディアの視線がしっかりと向いているのを確認した後、エレクはゆっくりと魔力を杖に込め出した。


 魔力が杖に注がれる。ガルライディアがよく確認すると、杖の内部に魔力的な空洞があることに気が付いた。


 エレクは、最初に魔力で杖の表面を覆うと、中に魔力を込めた。

 表面の魔力に押されるように内部の魔力は、外に出ることはない。


「えーと、杖の表面の魔力を操ったまま、中に魔力を込めてるんですか?」


 ガルライディアは、自身が感じたものが合っているのか、と確認をする。


「その通りね。ただ、言うは易し、行うは難しと言う奴ね。やれば分かるのだけど、同時にやるのがなかなか大変なのよ」


「ガルライディアにとっては、これが一番の鬼門かも知れぬ……」


 セージゲイズからは確認の返事が、エレクからは不穏な言葉が聞こえてきた。


「えと、それはどういう……」


「いや、忘れてくれ!」


「教えてくださいよ!」


 ガルライディアからしてみれば忘れるのは到底無理な話だ。

 抗議をしても、エレクが口を割ることはない。


「もう……」


 不貞腐れながらも、実行にかかるガルライディア。


『フライクーゲル』に魔力を流して、なるべく端へ。

 その後、内側に魔力を込める。


 込めるのだが、結局魔力は漏れ出てしまった。


「そうなるわよね。端の魔力は込めた後も制御し続けるのよ。制御を手放さずに、魔力を込める」


 言いながら、持っている本で実践するセージゲイズ。


「とは言え、最初は難しいでしょうからね。段々とで良いわ。出来れば、毎日やりなさい」



 こうして、ガルライディア―結の日課に魔力制御の練習が追加された。


 __________


(間話-少女が学んだこと)


「あ、グラジオラスさん。こんにちは」


 魔力制御の訓練を始めた数日後、ガルライディアは魔法局にて、数日ぶりにグラジオラスに会った。


「ガルライディア、こんにちは。何か用事?」


「はい。魔力制御のコツを聞かせて下さい」


 多くの魔力を漏れなく込めることは、ガルライディアはまだ出来ずにいた。

 なので、グラジオラスに会えたのはちょうどよかったと言える。


「コツか……。普段から魔力を身体の中で動かしたりとかし続ければ、段々と出来るようになるわ。お家の中で宿題やりながら、とかね」


「やっぱり続けることですか。宿題やりながらって、難しそうですね」


 ガルライディアは、本格的に考え出してしまった。

 グラジオラスは、その様子を微笑ましく思いながら、


「慣れれば、どうということはないかな。……というか、一ついい?」


「はい、なんですか?」


「どうして、敬語なの?この前まで、普通に喋ってたりしたよね?」


 グラジオラスの指摘はもっともで、ガルライディアはこの前までグラジオラスに対してタメ口混じりで話していた。

 しかし、ガルライディアはエレクとの邂逅で学んだのだ。


「グラジオラスさん、言葉って大事ですよね。伝わらないのは、ダメですよね」


「それはそうね。ただ、急にどうしたの?」


 少々困惑気味のグラジオラスにガルライディアははっきりと答える。


「私は、ある人との会話で言葉遣いの大切さを学びました。なので、グラジオラスさんには敬語で話すのがよいと考えました」


 ある人になんとなく察しがついたグラジオラスは苦笑気味だ。


「ガルライディア、お願いだから普通に喋って。もちろん、言葉遣いは大切だわ。けど、お願いだから、ね?」


「は、はい……」


 あまりにも悲しげなグラジオラスにガルライディアが折れて、言葉遣いは元に戻ったのだった。



 ちなみにだが、グラジオラスが悲しげだったのは、普段の言動と雰囲気から年下に好かれづらいからなのだが、ガルライディアがそのことを知るのはずっと後なのだった。



読んで頂きありがとうございます。

今年も頑張りますので、また読んで頂けると嬉しく思います。

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