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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
真なる欲望

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これが先達

認めたくはない

 滝のように冷や汗を噴出するアストリングを不思議に思いつつ、訓練室の端へ移動する。

 アストリング曰く、鋼糸を出す際の魔力制御の訓練はスペースを取らない。


「ん~じゃ、まずは片手に魔力を早くかつ小分けにして収束して。――あ、全力でね?」

「――はい」


 一旦セクハラは止めだ。

 流石のアストリングも塵も残らない攻撃に晒されたくはないのだ。


 これで死なない程度に殴られるだけならば迷わないのに。


 そんなことはどうでもいい。


 ガルライディアの全力の魔力制御。

 持ち上げた右手に0.3秒の間に5つ。


 だが、その程度(・・・・)だ。


「ふむふむ…………、うん。――そこそこ!」

「はい」


 叫びながらアストリングは魔力を全開にする。

 0.18秒の間に右手の指先に各3つ、手のひらで2つ。

 計17。

 魔法具の補助なしでも彼女ならこれくらい出来る。


 言うまでも無く、アストリングの方が格段に上手い。

 言い訳をするのなら、ガルライディアが得意なのは魔力の一極集中。

 瞬間的に魔力を1つに収束する場合、ガルライディアは魔法少女でも上から数えた方が圧倒的に早い程の収束率の速度を誇る。


 具体的には0.15秒で先程のアストリングが片手に持ってきた魔力の3倍量を指先に収束できる。

 ぶっちゃけ十分にAランク帯でも通用するレベルだ。


 ただ、ガルライディアはその程度ではいられない。


(綾生と真正面からやりあうのなら、全然足りない………………!)


 純粋な魔力量、出力での比較ならば全ての魔法少女の上をいく、それがガルライディアが打倒しようとしている魔人 ヒュアツィンテの最低限のスペックだ。

 当然そこに更に未だ正体が判然としていない魔法も加わる。


 現状では勝ち目のない勝負だ。

 戦闘を一定の時間成立させる事はガルライディアの出力と特性ならば然程困難ではない。

 だが、長期戦になった瞬間負けが確定する。


 ならば目指すは短期決戦。

 膨大な魔力の防御をぶち抜き、消耗戦に入る前に無力化するしかない。

 それを成すには相手に遠く及ばぬ己の魔力を技術で補強して立ち回るのみ。


「魔法少女歴でみるならかなり頑張ってるとは思うよ? でも、Aランクなら5か所での収束は菊ちゃんの2/3位に時間で出来る人ばっかり。と、言う訳でぇ…………、ちょいと失礼」

「へ…………?」


 右手が閃き、ガルライディアの頭部にほんの僅かな痛みが襲う。

 それは髪を引っ張られた時に似ていて――、そこまで思考したガルライディアの目にはアストリングの指につままれた己のらしき髪の毛が一本。


「……ぅわ、髪の毛ほっそやわらか……………………」

「あの……、その髪どうするんですか?」


 ちょっと引き気味の後輩にはっとさせられて、アストリングは咳払いを一つ。


 楽しむのは後だ。

 左手に隠したもう一本(・・・・)はばれていないのだから。


「まずは、魔力の収束率をより上げようか。さっき5つに分けた魔力の内の1つ分をこの髪に収束させて。あー、遅いけど髪抜いてごめんね? 魔力を込めるのって自分の魔法具の次に自分の肉体が楽だから……」

「いえ、大丈夫ですよ。ケアとか気にしてないですし」


 素でこれかよ…………。

 己の変態性以外で狂いそうになっている先輩をそっちのけでガルライディアはさっそく引っこ抜かれた髪に魔力を一気に収束。

 だが、綺麗に収まりきらない。


(普段は、銃弾だからかな………………?)


 拳銃サイズの弾丸とは言え、ガルライディアの短い髪の毛とは比較にならない体積がある。


「まずふ()てはいても……魔力を込める時点でちょっぴり抵抗があるでしょ? 更に魔法具よりも抵抗が多いからねぇ。難しいけど、これが出来るようになると魔力の収束のスペースが確保できるから頑張れ」


 なんか最初の方口をもごもごとしていた気がするが、発言はまっとうだ。

 ガルライディアは先程以上に集中して制御訓練に励む。


 傍らの先達の左手からものが消えて、口の中に移っていることなぞ少女は端から認識さえしてなかった。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。


かなりキショい。

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