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【六章】収束の魔法少女 ガルライディア  作者: 月 位相
真なる欲望

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路地裏の方がマシ

 魔法少女(馬鹿共)の一員であることから目を逸らしたり、年上へ抱いていた希望願望全てを投げうったりしてから、ガルライディアは糸使い対トンファー使いの戦いに意識を傾けた。


 糸使いが出している糸は魔力とは別の輝きを感じる。

 彼女の鉄色の髪から考えて、金属糸を魔法で作っているのだろう。


 基本的に金属を永続的に生成できる魔法少女はいない。

 彼女もその例に漏れず、使わない部分の金属糸が次々と消滅していってる。


 魔力特性『鋼線』。

 金属糸を形成、制御することに特化した特性だ。他の魔法は得意ではないが糸での拘束や縫合など、糸に関するものであればそこそこ得意とする。

 彼女は閃鋼の魔法少女 アストリング、高校一年のAランク魔法少女だ。

 大体の戦闘能力も含めてセージゲイズと同等だ。


 トンファー使いのチャイナ服の魔法少女は薄灰の魔力を纏わせたトンファーで鋼糸を弾いて、活路を開こうとする。


 だが、鋼糸は弾かれたそばから再度襲い掛かる。

 トン、と地面を甲高く踏みしめて、チャイナ服がめくれ上がるのも厭わずに魔法を発動。


 地面に伝えた衝撃を増幅して、鋼糸を揺らし制御を乱す。

 魔力特性『激震』。

 衝撃の増幅、影響範囲の拡大、方向制御などに特化している。

 また『激震』のような振動に関する特性は総じて風系統とも相性が良い。

 中学3年、ファルフジウムと同い年のBランクだが、多少戦闘能力はこちらの方が高い。

 激震の魔法少女 トレマーだ。


 チャイナ服から覗いた下着が結構際どかったことからは目を逸らし、ガルライディアは状況の分析に頭を回す。


 一見アストリングの方が有利に見えるが、段々鋼糸の本数は増えていっているのに、距離は縮まってきている。

 そこだけを見てみればトレマーの方に戦況が傾いている、が、アストリングは未だ魔法具を出していない。

 魔法具を納める鞘やホルスターの類が衣装にある魔法少女と無い魔法少女がおり、アストリングは無い側の魔法少女。だとしたら無から呼び出す形となるだろう。

 だから、それ次第で勝敗が動く。とガルライディアは見ている。


 ちなみにガルライディア、グラジオラス、ファルフジウムは収納部分がある魔法少女であり、セージゲイズ、エレク、アンドロメダ、ラークスパー、ベンゾイルは無い魔法少女である。

 さらに細かく言えば、収納部分がある魔法少女でも無からの出し入れは可能である。

 必要性は特にないが、近接戦闘時に使えるので上記3人は出来るようになっている。


 数瞬の間にトレマーは今まで以上に加速。

 アストリングとの距離を詰める。


 魔力放出に自身の『激震』の力も加えた急加速は、アストリングのような前以ての準備を必要とするタイプには捉えにくい。

 だが、Aランク魔法少女がそう易々とやられる訳がない。


 魔法少女がAランクに昇格する時の平均歴は2.4年。

 かなりの経験、練磨の先に至る一般魔法少女の限界点である。


 瞬きの間にアストリングは魔法具を呼び出す。

 出現した両手のグローブが煌き、今まで以上の鋼糸を生み出す。


 トレマーの正拳突き。

 その前腕部を絡め取り、強引に対処。


 ついでとばかりに全身に絡みつき、更には逆さにつるし上げた。


 年頃の少女を逆さ吊りにして放置。

 敗者が受けるにしても酷い仕打ちであった。


 勿論ガルライディアは目を逸らした。

 黒のスケスケなんて知らない。


 あと自分が身を置いている業界の治安が不安になってきた。

 大きな怪我をしない限りは続けるつもりでいた覚悟が揺らいできている。


「…………ぅわ、すっご」


 ちらりと視線を向けた先のファルフジウムの視線がどうも吊るされたままの少女の真ん中辺りに向いているような気もするが、考えないでおこう。


 現状、ガルライディアは戦闘能力以上に精神への負荷の受け流しの技術の向上を感じている。

 もうだめかもしれない。

お読み頂きありがとうございます。

今後も読んでくださると幸いです。

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